夏果か秋果かで品種を選ぶ
イチジクは、前年に伸びた枝の先に付く夏果と、その年に伸びた枝に付く秋果の二種類の実り方があります。家庭では一本しか植えられないことが多いので、どちらを主に採るかを最初に決めてから品種を選びます。
関東平野部の露地なら、秋果専用種か夏秋兼用種が育てやすい組み合わせです。夏果は冬の寒さで芽が傷むと採れないため、寒風の当たる場所では秋果に絞ったほうが失敗しません。
| 品種 | 実り方 | 向いている場所 |
|---|---|---|
| 桝井ドーフィン | 夏秋兼用 | 日当たりのよい庭や大型の鉢 |
| 蓬莱柿 | 秋果専用 | 寒風の当たる場所や寒冷地寄り |
| バナーネ | 夏秋兼用で夏果が大きい | 冬に凍らない暖かい庭 |
| ホワイトゼノア | 夏秋兼用で耐寒性が高い | 冬の冷え込みが強い地域 |
苗の札に「夏果」「秋果」の記載がないときは、店員に実の付き方を確かめてから買います。ここを間違えると剪定のやり方まで変わります。
植え付けは落葉期の晴れた日に
植え付けの適期は、葉が落ちて休眠している12月から3月上旬です。暖地では11月から植えられますが、寒冷地は凍害を避けて3月中旬から4月上旬の春植えにします。芽が動き出してからの植え付けは根が傷みやすく、一年目の伸びが鈍ります。
| 地域 | 植え付け適期 | 避ける時期 |
|---|---|---|
| 暖地 | 11月〜3月上旬 | 真夏と芽が動く4月以降 |
| 中間地 | 12月〜3月上旬 | 土が凍る1月の厳寒期 |
| 寒冷地 | 3月中旬〜4月上旬 | 12月〜2月 |
ポット苗は一年中売られていますが、真夏に買ったものはそのまま鉢で秋まで管理し、落葉してから植え替えるほうが安全です。
鉢植えの手順
イチジクは根の張りが早く、小さな鉢だとすぐに根詰まりして実が小さくなります。最初は8号から10号、三年目には12号以上か大型のプランターを目安に、一回りずつ大きくしていきます。
- 鉢底石を薄く敷く
- 厚く入れると土の量が減って乾きやすくなります。イチジクは水切れに弱いので、底穴が隠れる程度の一層にとどめます。
- 用土は保水と排水を両立
- 赤玉土六に腐葉土三、軽石一が目安です。市販の果樹用培養土でも構いません。酸性を嫌うので苦土石灰をひとつかみ混ぜておきます。
- 接ぎ木部を土に埋めない
- 根鉢の上面が鉢土と同じ高さになるように置きます。深植えすると株元が蒸れ、カミキリムシの侵入にも気づきにくくなります。
- 植えたら三分の一切り戻す
- 一本の棒のような苗なら、高さ40から50センチで切り戻します。切った位置から出る枝を主枝にして骨格を作ります。
ベランダの鉢はコンクリートの照り返しで真夏に根が煮えます。鉢の下にすのこを敷き、鉢の側面に日が当たらないように置きます。
地植えの手順
地植えは成木で幅3メートル前後まで広がります。狭い庭では株間を2メートル取り、後述の一文字仕立てで横に低く広げると管理が楽になります。水はけが悪い場所では実が割れやすく根も傷むので、盛り土をして植えます。
植え穴の土を確かめるときは、握って団子になり指でつつくと崩れる程度が理想です。粘土のように固まるなら腐葉土と軽石を多めに混ぜ、さらさらで形にならないなら堆肥を増やして保水力を持たせます。
- 穴は直径と深さ50センチ
- 掘り上げた土に腐葉土をバケツ二杯と苦土石灰を二握り混ぜて埋め戻します。化成肥料は根に直接触れると傷むので植え穴には入れません。
- 水がたまる場所は高植え
- 穴に水を入れて半日で引かなければ、地面より20センチ高く土を盛ってその上に植えます。浅く広がる根が滞水で腐るのを防ぎます。
- 支柱を一本添える
- 根が張るまでの一年は風で揺れて細根が切れます。苗の横に支柱を立て、八の字にひもで結んで固定します。
- たっぷり水を与える
- 植え終わったら株元に土手を作り、バケツ一杯の水を二回に分けて注ぎます。土が沈んだら足して高さをそろえます。
西日が強い塀ぎわは冬の乾燥で枝が枯れ込みます。南向きで午後に少し日陰になる場所が理想です。
根付かないときの切り分け
植えた年の五月になっても芽が動かない、あるいは伸びた新芽がしおれるときは、原因を順に確かめます。多くは水の問題で、肥料や病気ではありません。
判断の目安は、指で幹を軽く曲げてみて弾力があるかどうかです。しなるなら生きているので水の管理を直して待ちます。乾いた音がして折れるようなら根が枯れているので、地際まで切り戻して株元からの萌芽を待つか、苗を植え直します。
| 症状 | 考えられる原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 芽が動かない | 根鉢の中まで水が届いていない | 株元に穴をあけてゆっくり注水し、表土を覆う |
| 新芽がしおれて枯れる | 根腐れか深植え | 掘り上げて黒い根を切り、高植えにやり直す |
| 葉が黄色く小さい | 土が酸性か根詰まり | 苦土石灰を表土に混ぜ、鉢なら一回り大きくする |
| 枝先だけ枯れる | 冬の寒風による枯れ込み | 枯れた部分を緑の芽の上で切り戻す |
新しい葉が出て、その葉が手のひらより大きくなったら根付いたと判断してよい目安です。
イチジクの植え付けに使うもの
木は一度植えたら動かせません。植え穴と支柱をきちんと作るかどうかで、その後の何年かが決まります。
数量は苗木 1 本を単位にしています。
- 完熟堆肥・腐葉土探す言葉「完熟堆肥 バーク 40L」
- 規格の目安
- バーク堆肥か腐葉土。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つ(直径 60cm × 深さ 50cm)に 20〜30L を掘り上げた土と混ぜます。
穴を大きく掘って土を入れ替えるのが植え付けの本体です。ここを手抜きすると、根が広がらないまま何年も伸び悩みます。
- 支柱(添え木)探す言葉「園芸支柱 太い 180cm」
- 規格の目安
- 直径 25〜30mm × 長さ 180cm。1 本の添え木か、2 本の二脚(鳥居型)。
根が張るまでの 1〜2 年、風で株元が動くと細い根が切れ続けます。細い支柱では木の重さを支えられません。
- 樹木用の結束テープ探す言葉「樹木 誘引 テープ 幅広」
- 規格の目安
- 幅 20mm 前後の伸びる素材か、麻ひもと当て布。
幹は太ります。細いひもで縛ると食い込み、そこで水の通り道を締めてしまいます。幅の広いもので 8 の字に留めます。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 樹木」
- 規格の目安
- 粒状で長く効くタイプ。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つに 50〜100g。根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。
植え付け直後は根が傷んでいます。濃い肥料が触れると、そこから傷みが広がります。
- 鉢で育てるなら支柱は短いもので足ります。180cm の添え木は地植え用です。
- 植え穴に石を入れる必要はありません。水はけが悪いなら、盛り土にして高く植えるほうが効きます。
イチジクの収穫までのコツは作物ページに
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