完熟の見分け方
イチジクは収穫後に追熟しない果物です。早く採ると甘くならず、遅れると割れて腐ります。木の上で見分ける手がかりは、実の向き、先端の目の開き、触ったときの弾力の三つです。
朝と夕方で実の姿が変わるので、見る時間を朝に固定します。指で実の腹を軽く押して、少し沈んで戻る弾力があれば食べごろです。固くて押し返すなら翌日、押した跡が残るなら過熟の目安です。
| 見た目 | 状態 | 判断 |
|---|---|---|
| 実が上向きで固い | 未熟 | 採らない |
| 実が横を向き色づき始める | 熟し始め | 二、三日待つ |
| 実が垂れて先端の目がやや開く | 完熟 | その日の朝に採る |
| 目から蜜が出て皮が割れる | 過熟 | すぐ採って当日中に食べる |
品種によって色づきが違い、蓬莱柿は赤紫、桝井ドーフィンは赤茶、ホワイト系は黄緑のまま熟します。色より実の垂れ方で判断します。
採り方と時間帯
収穫は朝の涼しいうちに行います。日中に採ると実の温度が高く、その日のうちに傷みます。イチジクの果柄からは白い乳液が出て皮膚がかぶれることがあるので、手袋をして採ります。
収穫用のはさみは、果柄が固い夏果や太い枝の実に使います。秋果はほとんど手で外せますが、外れないときは無理に引かず、はさみで軸を切って実に傷を付けないようにします。
- 果柄を持って上に軽く持ち上げる
- 実を握らず、付け根の軸を持って上向きに軽くひねると自然に外れます。実を引っ張ると皮が裂けて日持ちしません。
- 乳液を実に付けない
- 軸から出る白い液が実に付くと変色します。採ったらすぐ軸を下にして置き、液が実に流れないようにします。
- 重ねずに並べる
- 熟した実はわずかな圧で潰れます。浅い容器に一段に並べ、実同士が触れないようにして運びます。
- 毎日見回る
- 秋果は一本の枝で下から順に熟し、九月から十月は毎日数個ずつ熟します。二日空けると過熟の実が出て鳥やアリを呼びます。
雨の翌日の実は水っぽく、味が薄くなります。雨の直後は食べる分だけ採り、加工用は数日おいてから採ると甘みが戻ります。
夏果と秋果の採り方の違い
夏果は六月下旬から七月にかけて、秋果は八月下旬から十月に熟します。夏果は大きく水分が多いので日持ちがさらに短く、秋果は小ぶりで甘みが濃くなります。
夏果は前年の枝先に付いた小さな実が越冬したものなので、数は少なくても一つが大きく、採り遅れるとすぐ裂けます。秋果に比べて一日早めに採り、当日に食べ切るつもりで収穫します。
| 種類 | 時期 | 特徴と採り方 |
|---|---|---|
| 夏果 | 6月下旬〜7月中旬 | 大きく水っぽい。梅雨の雨に当てず早めに採る |
| 秋果の初期 | 8月下旬〜9月 | 気温が高く一日で熟す。毎朝採る |
| 秋果の盛期 | 10月 | 甘みが最も濃い。二、三日に一度でよい |
| 秋果の末期 | 11月上旬 | 熟しきらないことが多い。小さな実は諦める |
十一月に霜が降りると残った実は熟しません。未熟な実は取り除いて木を休ませます。
保存と加工
生のイチジクの日持ちは冷蔵で二、三日です。食べきれない分はすぐに加工します。皮ごと煮るジャムや赤ワイン煮、乾燥させたドライイチジクなら数か月保存できます。
加工する場合も、採った日のうちに火を入れるか冷凍するのが基本です。翌日に回すと実の中から発酵が始まり、酸っぱい香りが出て風味が落ちます。量が多いときは、まず丸ごと冷凍して後日まとめて煮ると失敗しません。
- 冷蔵は二、三日以内
- 一つずつ紙で包んで野菜室に入れます。洗うのは食べる直前にし、濡れたまま保存しません。
- 冷凍は丸ごと
- 軸を取って丸ごと袋に入れて冷凍します。半解凍でシャーベット状にして食べるか、煮て使います。
- ジャムは皮ごと煮る
- 四つ切りにして重さの三割から四割の砂糖で煮ます。皮に色と香りがあるのでむかずに使い、レモン汁で固まりを助けます。
- 干すなら半分に切って
- 半分に切り、切り口を上にして晴天の日に三日から五日干します。夜は室内に取り込み、雨を避けます。
加工用は完熟より一日早い、やや固めの実のほうが煮崩れせず扱いやすくなります。
実が付かない・熟さないときの切り分け
イチジクは受粉なしで実が付くので、花の心配は要りません。実が付かない、付いても熟さないときは、木の年数か剪定か水のどれかが原因です。
| 症状 | 考えられる原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 実がまったく付かない | 植えて一、二年の若木 | 三年目まで待ち、肥料を控える |
| 夏果だけ付かない | 冬に枝先を切った | 翌冬は枝先を残す |
| 実が小さいまま止まる | 水切れか実の付けすぎ | 水やりを増やし、摘心で数を絞る |
| 色づいても甘くない | 熟期の雨か日照不足 | 熟期は水を控え、日当たりに移す |
| 上の実が熟さず冬になる | 摘心が遅れた | 翌年は七月下旬に摘心する |
実が付いてから熟すまでには一か月半から二か月かかります。九月中に膨らみ始めていない実は熟さないと判断してよい目安です。
イチジクの収穫に使うもの
木の実は、落として拾うと傷みます。高さのあるところから、傷めずに下ろすための道具です。
- 収穫ばさみ(先丸)探す言葉「収穫ばさみ 果樹 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 5cm 前後。
引っぱって穫ると、枝が裂けて翌年の芽まで落ちます。軸を残して切るのが基本です。
- 高枝切りばさみ(採果器付き)探す言葉「高枝切りばさみ 採果」
- 規格の目安
- 伸ばして 2〜3m。切った実を受ける籠の付いたもの。
脚立で無理な姿勢を取るより安全です。籠付きなら、切った実がそのまま落ちません。
- 収穫かご・コンテナ探す言葉「収穫かご 果樹 コンテナ」
- 規格の目安
- 20L 前後。浅めのものは実を重ねずに済みます。
深い容器に積むと、下の実が自分の重さで傷みます。柔らかい果実ほど浅い容器で。
- 保存用の緩衝材探す言葉「果物 緩衝材 ネット」
- 規格の目安
- 果実用のネットキャップか、新聞紙。
一つずつ包むと、傷んだ実から隣へ移りません。長く置く実ほど効きます。
- 手の届く高さに仕立てているなら、高枝切りばさみは要りません。低く保つほうが管理も楽です。
- 専用の収穫かごでなくても、浅い箱に新聞紙を敷けば足ります。
イチジクの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はイチジクの育て方にまとめています。
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