植え場所は半日陰と湿り気で決まる
フキは林の縁や川べりに自生する山菜で、強い日ざしと乾きを嫌います。一日中日が当たる場所に植えると、夏に葉が縁から枯れ込み、葉柄が細く硬くなります。建物の北側や落葉樹の下のように、午前だけ日が差す半日陰がいちばん合います。
土は水はけがよくても、乾ききらない場所を選びます。雨のあとしばらく湿っているくらいがちょうどよく、水たまりが半日残るような場所は根が傷みます。一度植えると数年動かさないので、あとから邪魔にならない庭の隅を選んでください。
| 場面 | 向き不向き | 起きること |
|---|---|---|
| 一日中日が当たる花壇 | 向かない | 夏に葉が焼け、葉柄が硬くなる |
| 午前だけ日が差す北側 | いちばん向く | 葉柄が長く柔らかく伸びる |
| 落葉樹の下 | 向く | 夏は日陰、春は日が差して芽が動く |
| 乾いた砂地で風が抜ける場所 | 向かない | 水切れで生育が途中で止まる |
植える時期は春の芽出し前か秋
植え付けは、地上部が動いていない二月下旬から三月中旬か、葉が枯れたあとの十月から十一月です。春に植えると同じ年から葉が茂り、秋に植えると根が先に張るので翌春の出足がそろいます。どちらでも構いませんが、寒い地域なら春植えのほうが無難です。
植えた年は葉が小さく、収穫できる太さになりません。収穫の本番は翌年からと考えて、一年目は葉を茂らせて株を太らせることに使います。焦って採ると株が育たず、その後の数年の収量が落ちます。
- 二週間前に土作り
- 植え穴の周りを三十センチほど掘り返し、完熟堆肥を一平方メートルに三キロほど混ぜます。フキは酸性の土でもよく育つので石灰は要りません。
- 水はけの確認
- 掘った穴に水を張り、三十分でおおむね引くかを見ます。半日たっても残るなら十センチほど土を盛って高くします。
- 植え穴を並べる
- 株間四十センチから五十センチ、条間六十センチほどで、深さ十センチの浅い溝を掘ります。数年で広がるので詰めすぎません。
地下茎は芽のついた太いものを選ぶ
植える材料は種ではなく、地下茎(土の中を横に伸びる茎)です。園芸店では春先に「フキの根株」として袋入りで並びます。太さが小指以上あり、白い芽が二つか三つ付いているものを選ぶと、その年から葉が出ます。
知り合いの畑から分けてもらう場合は、掘りたてのものをその日のうちに植えます。乾かすと芽が死にます。すぐ植えられないときは、湿らせた新聞紙に包んで冷暗所に置き、二日から三日で植え終えてください。
- 太さと芽を見る
- 小指ほどの太さがあり、白いとがった芽が付いた節を選びます。細くて芽の見えない部分は、その年の収穫にはなりません。
- 十五センチに切る
- 芽が二つか三つ入るように、清潔なはさみで十五センチ前後に切り分けます。短く切りすぎると勢いが出ません。
- 切り口を乾かす
- 切ったあと日陰で三十分ほど置き、切り口の水気が引いてから植えます。ぬれたまま埋めると腐りやすくなります。
浅く寝かせて植えるのが基本
地下茎は横に伸びる茎なので、立てずに寝かせて植えます。深さは五センチから十センチで、思ったより浅くて構いません。深く埋めると芽が地上に出るまでに力を使い果たし、最初の葉が出ないまま消えることがあります。
植えたあとはたっぷり水を与え、上に落ち葉やわらをかぶせて乾きを止めます。芽が出るまで三週間ほどかかることもあるので、出ないからと掘り返さず、土を湿らせたまま待ってください。
- 芽を上にして寝かせる
- 溝の底に地下茎を横向きに置き、白い芽が上を向くように向きをそろえます。向きがずれても出てきますが、遅れます。
- 五センチかぶせる
- 掘り上げた土を五センチから十センチかぶせ、手のひらで軽く押さえて土と密着させます。踏み固めはしません。
- たっぷり水を与える
- 植え穴の周りが十分湿るまで、ゆっくり時間をかけて水を与えます。表面だけ濡らしても地下茎までは届きません。
- 落ち葉をかぶせる
- わらや落ち葉を三センチほど敷いて乾きを防ぎます。芽が出てきたら、かぶさっている分だけよけてやります。
フキは一度根づくと地下茎が横へ広がります。花壇の中に自由に広がると困る場合は、深さ三十センチほどの板や仕切りを埋めて範囲を区切っておくと後が楽です。
プランターは深さ三十センチ以上
ベランダでも育てられますが、地下茎が横に伸びるので、深さより幅のある容器が向きます。深さは三十センチ以上、幅は六十センチ以上あると、二年目もそのまま使えます。浅い鉢では夏に土が乾ききって株が細ります。
用土は野菜用の培養土に腐葉土を二割ほど混ぜ、水持ちをよくします。受け皿に水をためるのは根腐れのもとですが、真夏だけは朝の水やりに加えて夕方も見て、乾いていれば足してください。
| 容器 | 土の量の目安 | 植える地下茎 |
|---|---|---|
| 深さ30センチ・幅60センチの箱型 | 約25リットル | 2本から3本 |
| 直径40センチの丸鉢 | 約20リットル | 2本 |
| 深さ20センチ未満の浅鉢 | 向かない | 夏に乾いて枯れる |
植え付けでつまずいたときの切り分け
フキの植え付けの失敗は、ほとんどが深さと乾きに集まります。芽が出ない、出ても消えるという相談の多くは、深く埋めすぎたか、植えたあとに水が足りなかったかのどちらかです。まず埋めた深さを思い出して確かめてください。
植えて一か月たっても何も出ないときは、一本だけそっと掘って地下茎を見ます。白く固ければまだ生きているので埋め戻して待ちます。褐色でぶよぶよなら腐っているので、時期を変えて新しい株を入れ直します。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 一か月たっても芽が出ない | 植え穴が深すぎる | そっと掘り、深さ5センチに植え直す |
| 芽は出たが葉が広がらない | 水切れか日ざしが強い | 敷きわらを足し、よしずで午後の日を切る |
| 地下茎がぶよぶよで臭う | 水がたまる場所に植えた | 10センチ土を盛り、乾く場所へ移す |
| 葉が出たがすぐ黄ばむ | 植え付け直後の乾燥 | 株元に水を与え、落ち葉で覆う |
フキの植え付けに使うもの
植え付けの日にそろっていないと後から張り直しになるのが、マルチと防虫ネットです。苗を買う前に用意しておきます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 穴あき 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が早いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。両端を埋めるぶんが要るので、畝の長さ + 1m で見ます。
地温を上げ、雨のはね返りを止め、雑草を抑えます。土からはねる泥は病気の入り口なので、病気が出やすい畑ほど効きます。
- マルチ押さえ(U 字ピン)探す言葉「マルチ押さえ ピン」
- 規格の目安
- 長さ 15cm 前後の鉄製。プラスチック製より風に強いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 20〜30 本。50cm 間隔が目安。
マルチは土をかぶせて留めるのが基本ですが、風の通る場所ではピンを足さないと一晩でめくれます。
- 防虫ネット探す言葉「防虫ネット 目合い1mm」
- 規格の目安
- 目合い 1mm、幅 180cm。トンネル支柱(長さ 210cm・直径 8mm)と合わせて使います。
- 数量の目安
- ネットは畝 1 本(3m)で 4m。支柱は 50cm 間隔で 7 本。
1mm はモンシロチョウやコナガなど、卵を産みに来る蛾や蝶を止めるための目です。アブラムシやアザミウマはこれでは通ります。狙う虫で目合いを決めてください。
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm のステンレス製。目盛りの付いたものは植え穴の深さを見るのに使えます。
根鉢と同じ大きさの穴を掘るための道具です。柄と刃が一体になっているものは曲がりません。
- 支柱を立てない作物なら、トンネル支柱は要りません。
- 穴なしマルチをカッターで開ければ、株間の違う作物にも 1 本で使い回せます。
フキの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はフキの育て方にまとめています。
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