一年の流れをつかむ
フキの一年は、二月の花芽から始まり、五月から六月の葉柄の収穫で山を迎え、夏に休んで冬に地上部が枯れる、という順に進みます。毎年同じ順でくり返すので、時期ごとの株の姿を覚えてしまえば管理は難しくありません。
作業が集中するのは春だけで、夏から秋は水を切らさないことがほぼすべてです。忙しい月と何もしない月がはっきりしているので、春先の予定に植え付けと株分けを入れておくとうまく回ります。
| 時期 | 株の様子 | すること |
|---|---|---|
| 2月から3月 | 地際にフキノトウが出る | 採取と植え付け、株分け |
| 4月から6月 | 葉柄が伸びる | 追肥と収穫 |
| 7月から9月 | 生育が鈍る | 水やりと敷きわら |
| 10月から1月 | 葉が枯れて休む | 刈り取りと堆肥入れ |
月別のやることカレンダー
関東平野部の露地を前提にした目安です。寒い地域は全体を二週間ほど遅らせ、暖かい地域は二週間ほど早めます。芽の動きは気温で決まるので、暦よりも株元の様子を見て判断してください。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 2月 | フキノトウの採取、植え付け | つぼみが固いうちに |
| 3月 | 植え付け、株分け、肥料 | 芽が動く前に終える |
| 4月 | 敷きわらを敷く、水やり | 葉が広がり始める |
| 5月 | 収穫の始まり | 葉柄が太さ1センチから |
| 6月 | 収穫の本番、収穫後の肥料 | 梅雨のうちに採り切る |
| 7月から8月 | 水やりと日よけ | 生育は鈍って当たり前 |
| 9月から10月 | 水やり、傷んだ葉の整理 | 秋に少し盛り返す |
| 11月から12月 | 枯れ葉の刈り取り、堆肥 | 地上部がなくなる |
| 1月 | 休み | 何もしない |
二月から三月はフキノトウの時期
雪や霜が緩むころ、株元の土を持ち上げるようにして丸いつぼみが出てきます。これがフキノトウで、開く前の固い状態が香りも味もいちばんです。全部採ると株の力が落ちるので、株ごとに半分は残してください。
同じ時期は植え付けと株分けの適期でもあります。地上部が動く前なら地下茎を切っても株が弱りにくいので、増やしたい、場所を移したいという作業はこの一か月に集めます。
- つぼみを探す
- 株元の落ち葉をよけ、地際にふくらみがないか見ます。土から頭が2センチのぞいたころが採りごろです。
- 半分残して採る
- 1株から出たつぼみのうち半分は残します。残した分が葉柄の伸びる力になり、株が続きます。
- 同じ月に株分け
- 混んできた株は掘り上げ、芽の付いた地下茎を15センチに切って植え直します。芽が動く前に終えます。
五月から六月が葉柄の収穫の本番
葉が広がって葉柄が太さ一センチを超えたら収穫が始まります。五月に入ると次々に伸びてくるので、太いものから順に採っていきます。梅雨の後半になると硬く筋っぽくなるので、六月のうちに採り切るのが目安です。
採り終えたら肥料をひと握り与え、次の年に向けて株を太らせます。ここで肥料を忘れると翌年の葉柄が細くなるので、収穫と追肥(育ちの途中で足す肥料)はひとつづきの作業と考えてください。
- 太いものから採る
- 太さ1センチ以上、長さ40センチ以上の葉柄を選び、株元をねじって折り取ります。細いものは残して太らせます。
- 3分の1は残す
- 1株の葉柄の3分の1以上は残します。全部採ると光合成ができず、翌年の芽の数が減ります。
- 採ったら肥料
- 収穫が一段落した6月下旬に、1株あたりひと握りの化成肥料を株の周りにまき、軽く土と混ぜます。
夏から秋は株を休ませる
七月から八月は生育がほとんど止まります。この時期に無理に肥料を足すと根が傷むので、やることは水やりと日よけだけです。葉が焼けても株は生きているので、傷んだ葉を落として秋を待ちます。
九月に涼しくなると新しい葉が出て、株は少し盛り返します。ここで出た葉は収穫せず、そのまま光を受けさせて地下茎に養分をためさせます。冬に葉が倒れたら刈り取り、堆肥をかけて終わりです。
| 月 | 株の状態 | 手当て |
|---|---|---|
| 7月 | 葉が大きいが伸びが止まる | 朝の水やりと敷きわら |
| 8月 | 葉の縁が焼けることがある | 傷んだ葉だけ切る |
| 9月 | 新しい葉が出る | 採らずに茂らせる |
| 10月 | 葉が濃い緑で安定 | 水やりだけ |
| 11月から12月 | 黄ばんで倒れる | 刈り取って堆肥を置く |
予定がずれたときの立て直し
春の作業を逃すことはよくあります。植え付けが四月にずれても、水を切らさなければその年は葉が茂り、翌年から普通に採れます。無理に真夏に植えるのだけは避けて、秋の十月まで待つほうが確実です。
収穫が遅れて七月になってしまった場合は、硬い葉柄を無理に使わず、細く柔らかいものだけを選びます。採り遅れた年は肥料を早めに与えて、株の回復を優先してください。
| 場面 | 起きること | 立て直し方 |
|---|---|---|
| 植え付けが4月にずれた | その年の収穫はない | 水を切らさず翌年に回す |
| 株分けを逃した | 葉が小さいまま | 秋の10月にもう一度できる |
| 収穫が7月にずれた | 筋っぽく硬い | 細い葉柄だけ採り、早めに肥料 |
| 夏に水やりを忘れた | 葉が枯れ込む | 枯れ葉を切り、株元を覆って秋を待つ |
フキの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
フキの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はフキの育て方にまとめています。
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