病気はほぼ春に集中する
にんにくの被害は、秋から冬にはほとんど出ず、3月から5月に一気に現れます。気温が上がって葉が茂り、雨が増える時期が重なるためです。つまり、冬のあいだに予防の準備を終えておけば、春に慌てずに済みます。
予防の中身は特別なことではありません。畝を高くする、泥はねを止める、株間を空ける、連作を避ける。この四つで、春の病気の大半は発生の勢いが変わります。
| 時期 | 警戒するもの | 現れ方 |
|---|---|---|
| 11月〜2月 | ほぼなし | 冬季は病勢が進まない |
| 3月〜4月 | さび病・アブラムシ | 下葉の橙色の斑点、新葉の巻き |
| 4月〜5月 | 春腐病・葉枯れ | 株元の軟化、葉の水浸状の斑 |
| 収穫期 | 貯蔵中の腐り | 乾燥不足と収穫前の窒素過多が原因 |
さび病は気温9から18℃で動く
さび病は気温がおよそ9℃から18℃で活発になり、24℃を超えると止まります。だから春の3月から5月と、秋の9月から10月に出やすく、家庭菜園で問題になるのはほとんど春のほうです。下葉に橙色の細かい斑点が浮き、放置すると葉全体が粉を吹いたようになります。
- 見つけたら葉ごと外へ
- 斑点の出た葉を根元から抜き取り、畑の外で処分します。畝に置くと胞子がそのまま次の葉に移ります。
- 風を通す
- 株間が詰まっていると葉が乾かず広がります。周りの雑草を取り、葉が重なっている部分をほどきます。
- 窒素を切る
- 葉が軟らかく茂っているほど侵されます。春に追肥(育てている途中で足す肥料)をしていたら止めます。止め肥までで終える設計が効きます。
- 広がったら早めに収穫
- 葉の半分以上が侵されると肥大は止まります。球が育っているなら、平年より早く掘り上げる判断もあります。
さび病が出た畝は、翌年ネギ類を作らないでください。ネギ、タマネギ、ニラも同じ病原に侵されるため、輪作の相手にはなりません。
春腐病は泥はねから始まる
春腐病は細菌による病気で、葉に水がしみたような斑が出て、葉脈に沿って広がり、最後に株元と球を腐らせます。侵入経路は主に、雨で跳ねた泥と、作業でついた傷です。
一度株元まで進んだ株は治りません。抜いて畑の外へ出し、周囲に広げないことが対応の中心になります。だからこの病気は、出てからの対処ではなく発生前の設計で決まります。
- 畝を高くする
- 20センチ以上の高畝にして水を停滞させません。粘土質の畑では畝の肩に排水の溝を切ります。
- 畝の表面を覆う
- マルチか敷き藁で土を露出させないことが、泥はね対策として最も効きます。冬のうちに済ませておきます。
- 傷をつけない
- 3月以降の深い中耕や、とう摘みで葉を裂く作業が入口になります。作業は晴れて乾く日の午前に限ります。
- 未熟な堆肥を入れない
- 分解途中の有機物は菌の増える場になります。堆肥は完熟したものだけを、植え付け前に入れます。
害虫はウイルスを運ぶものを警戒する
にんにくで葉を食い荒らす害虫はそれほど多くありませんが、問題はアブラムシとチューリップサビダニがウイルスを媒介することです。ウイルスに感染した株は年々小さくなり、その球を種にすると畑全体の力が落ちていきます。
| 害虫 | 出る時期 | 見つけ方と対応 |
|---|---|---|
| アブラムシ | 3月〜5月 | 新葉の内側に群がる。粘着テープで取り、周囲の雑草を除く |
| チューリップサビダニ | 貯蔵中と植え付け後 | 葉のねじれ、貯蔵球の乾き。疑わしい球を種にしない |
| ネギコガ | 4月〜6月 | 葉の内側が白く筋になる。食害葉を摘み取る |
| ネギアザミウマ | 5月以降 | 葉のかすれた白い傷。株間を空けて風を通す |
葉が細く縮れ、縞状に色が抜ける株はウイルス感染を疑います。回復しないので、球は食べてもよいが種球には絶対に使わないでください。
予防の設計は輪作と排水から
にんにくは9か月間同じ場所にいるので、畑の条件がそのまま結果になります。病気が出てから薬に頼るより、植える前の設計で発生の下地を減らすほうが、家庭菜園では確実に効きます。
- ネギ類の連作を避ける
- ネギ、タマネギ、ニラ、らっきょうを含めて2年から3年空けます。病原が土に残るためです。
- 排水を最優先で作る
- 水はけの悪い畑は高畝と溝で必ず改善します。春腐病もさび病も、湿った条件で勢いを増します。
- 株間を欲張らない
- 15から20センチを守ります。詰めると葉が乾かず、収量も上がらないので、失うものしかありません。
- 種球を持ち込み口にしない
- 傷、カビ、変形のある鱗片は植えません。病気の多くは畑ではなく種球から入ってきます。
出てしまったあとの切り分けと手当て
病気が出た年は、収量を守る判断と、翌年に持ち越さない判断を分けて考えます。今年の球はできる範囲で収穫し、種と土だけは切り離すのが基本の考え方です。
見切りをつける基準は葉の残り具合です。緑の葉が半分以上あるなら肥大はまだ進むので待ちます。半分を切ったら、その株はもう太らないと判断して掘り上げたほうが、傷みが進む前に収穫できます。
- 今年の球は掘って選別
- 株元が柔らかい球は貯蔵できません。掘ったその場で分け、健全なものだけを乾燥に回します。
- 残渣を畑に残さない
- 葉も根も抜き取って畑の外へ出します。土にすき込むと病原がそのまま残り、翌年の発生源になります。畝の上に山積みにするのも同じです。
- 種球は買い直す
- 病気の出た畑で採れた球は、見た目が良くても種にしません。一年分の費用で畑の状態を切り替えられます。
- 畝の場所を変える
- 翌年は同じ畝を使わず、排水のよい別の場所に移します。同じ場所しかないなら高畝を作り直します。
| 見えている症状 | 考えられる原因 | その年にとる手当て |
|---|---|---|
| 下葉に橙色の粉状の斑点 | さび病 | 侵された葉を抜き、窒素を止める |
| 葉が水浸状に変色し株元が軟らかい | 春腐病 | 株ごと抜いて畑の外へ出す |
| 新葉が縮れ縞状に色が抜ける | ウイルス感染 | 球は食べる。種球には使わない |
| 球だけが貯蔵中に腐る | 乾燥不足と収穫前の窒素 | 乾燥を延ばし、翌年は止め肥まで |
にんにくの収穫までのコツは作物ページに
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