冬のにんにくは地下で働いている
地上部が止まって見える12月から2月は、根が伸び、株が低温にさらされて花芽と分球の準備をする時期です。この低温期間が足りないと分球せず、一片のままの球になります。寒さは避けるものではなく、必要な条件だと考えてください。
一方で葉は少しずつしか増えません。春の肥大に使えるのは冬までに作った葉の量で決まるので、冬の管理の目的は「増やす」ことではなく「減らさない」ことです。凍上、乾燥、雑草、肥料切れの四つを止めるのが仕事になります。
| 地域 | 冬の株の姿の目安 | 冬にやること |
|---|---|---|
| 暖地 | 葉4〜5枚。伸びすぎやすい | 追肥は控えめ、土寄せで守る |
| 中間地 | 葉3〜4枚、草丈10〜15センチ | 12月に追肥、乾いたら潅水 |
| 寒冷地 | 雪の下で葉2〜3枚 | 雪はどけず、止め肥は雪解け後 |
寒冷地で雪の下に入るなら、雪は最良の断熱材です。無理に雪をどけず、根雪の下でそのまま越冬させてかまいません。
1回目の追肥は12月
植え付けから約1か月から1か月半、根が張って葉が3枚ほど出たころが1回目の追肥(育てている途中で足す肥料)です。中間地ではおおむね11月下旬から12月中旬にあたります。ここで効かせておくと、寒さに耐える体力がつき、春の立ち上がりが早くなります。
- 量の目安
- 化成肥料で1平方メートルあたり30から50グラム。株元に直接触れさせず、条の間か株から10センチ離した位置にまきます。
- まいたら土に混ぜる
- 表面に置くだけでは効きません。軽く中耕して土と混ぜ、株元に土を寄せます。この土寄せ(株元へ土を寄せること)が凍上の予防も兼ねます。
- マルチ栽培の場合
- 穴から少量ずつ落とすか、液肥を規定倍率で潅注します。マルチを剥がすと地温が下がるので、剥がさない方法を選びます。
- 生育が遅れている株
- 葉が2枚以下で細い株には、この回だけ薄い液肥を追加します。ただし2月以降に取り返そうとしないでください。
2回目は2月から3月上旬の止め肥
2回目は球の肥大が始まる直前、中間地で2月下旬から3月上旬です。これが最後の追肥なので止め肥と呼びます。肥大に必要な養分をここで用意しておき、以降は足しません。
3月下旬以降に窒素を効かせると、球が締まらず貯蔵中に腐りやすくなり、余分な葉が出る二次生長も起きます。遅れた年は追肥そのものを見送るほうが安全です。肥料を足さない判断も管理のうちです。
| 時期 | 回 | ねらい |
|---|---|---|
| 11月下旬〜12月中旬 | 1回目 | 越冬前の体力づくり |
| 2月下旬〜3月上旬 | 2回目(止め肥) | 球の肥大に使う養分 |
| 3月下旬以降 | 追肥しない | 二次生長と貯蔵性の低下を防ぐ |
寒冷地は雪解けが遅いので、止め肥は雪が消えて葉が立ち上がってからで間に合います。暦ではなく株の動きで判断してください。
凍上と乾燥から株を守る
冬の被害でいちばん多いのが凍上です。土が凍って持ち上がるときに株ごと押し上げられ、根が切れて浮いた株はそのまま枯れます。浅植えの畝と、マルチのない裸地で起きやすくなります。
- 浮いた株は押し戻す
- 凍みが緩んだ日中に、浮いた株を指で押し下げて土をかぶせます。凍っているあいだに触ると根がさらに切れます。
- 株元に土か腐葉土
- 寒波の前に株元へ2から3センチ土を寄せるか、腐葉土や籾殻を敷きます。地温の振れ幅が小さくなり、凍上が減ります。
- 冬でも乾いたら水
- 雨の少ない太平洋側では冬に乾きます。表土が数センチ乾いたら、暖かい日の午前中に一度だけたっぷり与えます。
- 夕方の潅水はしない
- 夜間に凍って根を痛めます。水やりは気温が上がる午前に済ませ、夕方以降は土を濡らさないでください。
雑草と泥はねを冬のうちに止める
にんにくは草丈が低く葉も細いので、雑草に負けやすい作物です。冬に伸びるスズメノカタビラやホトケノザを放置すると、春に一気に覆われて日照と養分を奪われます。小さいうちに取るほうが手数が少なくて済みます。
草を取る理由は養分の奪い合いだけではありません。株元が草で覆われていると風が通らず、土がいつも湿った状態になります。この湿りが、春に出る春腐病とさび病の下地をそのまま作ってしまいます。
- 手取りは根ごと
- 地際で切ると再生します。土が湿った日に根から抜き、抜いた草は畝の上に置かず外へ出します。
- 敷き藁で泥はねを防ぐ
- 畝の表面を藁や刈草で覆うと、雨のたびに跳ねる泥が減ります。春腐病とさび病の第一歩を抑える対策です。
中耕は葉が触れ合う前の2月までに済ませます。3月以降に根を切ると肥大期に響き、球が小さくなります。
冬に出る症状から原因を切り分ける
葉先が枯れる、色が薄い、伸びが止まるといった症状は原因が違い、対処も逆になることがあります。見た目だけで肥料を足すと、二次生長や貯蔵性の低下につながります。
切り分けの順番は、まず葉のどこが傷んでいるかを見て、次に畝の湿り具合を手で確かめ、最後に葉数を数えることです。この順で見ると、寒さによる傷みと肥料切れを取り違えにくくなります。
- 葉先だけ白く枯れる
- 寒風と霜による傷みで、多くは問題ありません。株の中心が緑なら回復します。追肥での対応は不要です。
- 全体が黄色く薄い
- 肥料切れか過湿です。畝が湿っているなら排水を、乾いていて色が薄いなら12月の追肥を前倒しします。
- 葉が横に倒れて広がる
- 暖地で伸びすぎた兆候です。追肥を止め、土寄せして株を立て、春の窒素を減らして締めます。
- 株ごと浮いて枯れる
- 凍上か、鱗片の腐りです。掘って底に根がなければ植え直しはできないので、その穴は空けたままにします。
にんにくの冬越しに使うもの
越冬する野菜は、寒さそのものより、霜柱で根が持ち上がることで傷みます。土を凍らせないのが目的です。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 防寒 べたがけ」
- 規格の目安
- 目付 20〜30g/㎡。透水性があり、かけたまま水をやれるもの。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
ビニールと違って蒸れず、光も通します。かけっぱなしにできるので、冬のあいだ手がかかりません。
- トンネル支柱探す言葉「トンネル支柱 210cm 8mm」
- 規格の目安
- 直径 8mm × 長さ 210cm。畝幅 60cm ならこれで足ります。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 50cm 間隔に 7 本。
不織布を株に直接かけると、霜が降りた朝に葉が張り付いて傷みます。浮かせるだけで違います。
- 敷きわら・もみ殻探す言葉「敷きわら 家庭菜園」
- 規格の目安
- 稲わら 1 束でおよそ 3〜4 ㎡ 分。もみ殻でも代えられます。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 1 束の半分ほど。
株元に敷くと、霜柱で根が持ち上がるのを防げます。春には鋤き込んで土に返せます。
- 暖地で耐寒性のある葉物なら、何もかけずに越せるものが多いです。
- ビニールトンネルは、日中に開け閉めできる人向けです。閉めっぱなしだと晴れた日に蒸れます。
にんにくの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はにんにくの育て方にまとめています。
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