寒地系か暖地系かを最初に選ぶ
にんにくで最初に決めるのは品種の系統です。ここを地域と合わせないと、あとの管理をどれだけ丁寧にやっても球が太りません。寒地系は冬に完全に休眠し、強い低温に当たったあと春に一気に肥大します。暖地系は休眠が浅く、冬も葉を伸ばしながら春を迎えます。
寒地系の代表が福地ホワイト六片で、鱗片は6片前後と少なく一片が大きくなります。暖地系は上海早生や平戸、壱州早生などで、鱗片は10片前後と多く一片は小ぶり、収穫も半月から一か月早まります。関東の平地は中間地で両方作れますが、暖冬の年は寒地系が不利です。

| 地域 | 向く系統 | 代表的な品種 |
|---|---|---|
| 北海道・東北・高冷地 | 寒地系 | 福地ホワイト六片などの六片系 |
| 関東・中部の平地 | 両系統が可能 | 六片系/壱州早生 |
| 西日本・四国・九州 | 暖地系 | 上海早生・平戸・嘉定 |
寒地系を暖地で作ると低温が足りず、分球しない一片種になったり、余分な葉が出る二次生長を起こしやすくなります。
種球は大きさより重さで選ぶ
種球は見た目の大きさではなく、持ったときにずしりと重い鱗片を選びます。同じ大きさでも軽いものは内部が乾いていて、発根が揃わず春まで差が縮まりません。食用として売られている輸入球は発芽を抑える処理をしている場合があるので、種球として売られているものを使います。
- ばらすのは植える当日
- 早くばらすと切り口から水分が抜け、発根が遅れます。薄皮は一枚残す程度にとどめ、鱗片を裸にしないでください。
- 外周の厚い鱗片を使う
- 外側にある厚みのある鱗片を種にします。中心寄りの細く曲がった鱗片は球が小さくなりやすいので、食用に回したほうが得です。
- 傷とカビは外す
- 底の付け根が茶色く欠けたもの、押すとへこむもの、青いカビが見えるものは植えません。春腐病を畑に持ち込む原因になります。
- 必要量を逆算する
- 株間15センチなら1平方メートルあたりおよそ25株。1球から取れる種鱗片は寒地系で5から6片、暖地系で8から10片が目安です。
土づくりは二段階に分けて行う
にんにくは酸性土を嫌い、ペーハー6.0から6.5を好みます。植え付けの2週間以上前に石灰を入れて耕し、1週間前に堆肥と元肥(植える前に土へ混ぜておく肥料)を入れます。石灰と肥料を同時に入れると窒素が飛び、根も傷みます。
収穫まで9か月ほど畑を占有するので、元肥は緩効性を主体にやや厚く入れます。未熟な堆肥は春腐病の温床になるため、完全に熟したものだけを使ってください。前作がネギやタマネギだった畝は避けます。
| 資材 | 1平方メートルあたり | 入れる時期 |
|---|---|---|
| 苦土石灰 | 100グラム前後 | 植え付け2週間前 |
| 完熟堆肥 | 2キログラム前後 | 植え付け1週間前 |
| 緩効性化成肥料 | 100グラム前後 | 植え付け1週間前 |
水はけの悪い畑では畝を20センチ以上高くします。にんにくの春の病気はほとんどが停滞水と泥はねから始まります。
深さと向きで出芽の揃いが決まる
鱗片は尖った側が芽、平らで硬い側が根の出る底です。上下を逆に植えると芽が土の中で曲がり、出芽が一週間以上遅れてその差は最後まで残ります。一片ずつ向きを確かめて植えるだけで、収量がはっきり変わります。
- 深さは5から7センチ
- 鱗片の上に3から5センチの土がかぶる深さです。浅いと冬の凍上で持ち上げられ、深すぎると出芽が遅れて葉数が足りません。
- 尖った先を上に立てる
- 先端を上、平らな底面を下にして垂直に押し込みます。横に倒れたまま埋めると芽が地表に出るまでに余計な力を使います。
- 株間15から20センチ
- 条間は25から30センチ取ります。詰めて植えると春に葉が重なって風が通らず、さび病が広がるうえ球も太りません。
- 植えたら一度潅水する
- 土が乾いているならたっぷり水をやります。発根が始まらないまま乾くと、鱗片がそのまま痩せて消えてしまいます。
黒マルチは地温維持と雑草抑制、泥はね防止に効きます。暖地では春に地温が上がりすぎるため、5月に剥がすか白黒のものを選びます。
植え付け時期は冬の姿から逆算する
適期の考え方は「冬に入るまでに葉3から4枚、草丈10から15センチ」です。早すぎると年内に伸びすぎて寒害と二次生長を招き、遅すぎると根が張らないまま越冬して春に伸びません。カレンダーではなくこの姿を基準にします。
| 地域 | 植え付け | 収穫の目安 |
|---|---|---|
| 寒冷地 | 9月上旬〜中旬 | 7月上旬 |
| 中間地 | 9月下旬〜10月中旬 | 6月上旬〜中旬 |
| 暖地 | 10月上旬〜下旬 | 5月下旬〜6月上旬 |
適期を逃したら数を欲張らないことです。大きい鱗片だけに絞って植え、株数を減らして一株あたりの余力を確保するほうが結果は良くなります。
プランターで作るときの条件
にんにくは根が深く張るので、容器は深さ25センチ以上が条件です。20リットル前後のプランターで4株から5株が上限で、詰めると全部が小さくなります。露地より乾きやすいので、冬でも表土が乾いたら水をやります。
- 用土と元肥
- 野菜用培養土に緩効性肥料を規定量。石灰は培養土に含まれることが多いので、追加する前に袋の表示を確かめます。
- 置き場所
- 冬も日が当たる場所に置きます。軒下は雨が当たらず乾きすぎるので、屋外の日なたのほうが失敗しません。
- 追肥は液肥で細かく
- 容器は肥料が流れ出やすいため、12月と2月の固形追肥(育てている途中で足す肥料)に加えて、生育が鈍いときだけ薄い液肥を足します。
出芽しないときの確かめ方
植えて2週間から3週間で芽が出ます。1か月たっても出ない穴は掘って確かめてください。鱗片が茶色く柔らかければ腐っているので植え直し、白いまま上下が逆なら向きを直して埋め戻せば間に合います。
- 一つの穴から2本出た
- 鱗片の中に芽が二つあった状態です。冬のあいだは両方残し、春先に細いほうを抜きます。抜き方は芽かき(余分な芽を根元から取ること)の回で扱います。
- 年内に伸びすぎた
- 暖地で早植えすると年内に草丈30センチを超えます。追肥を控えて生育を抑え、強い寒波の前に株元へ土を寄せて守ります。
- 芽が黄色く止まった
- 深植えか排水不良を疑います。指で株元の土を軽くほぐし、畝の肩に溝を切って水の抜け道を作ってください。
にんにくの植え付けに使うもの
植え付けの日にそろっていないと後から張り直しになるのが、マルチと防虫ネットです。苗を買う前に用意しておきます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 穴あき 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が早いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。両端を埋めるぶんが要るので、畝の長さ + 1m で見ます。
地温を上げ、雨のはね返りを止め、雑草を抑えます。土からはねる泥は病気の入り口なので、病気が出やすい畑ほど効きます。
- マルチ押さえ(U 字ピン)探す言葉「マルチ押さえ ピン」
- 規格の目安
- 長さ 15cm 前後の鉄製。プラスチック製より風に強いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 20〜30 本。50cm 間隔が目安。
マルチは土をかぶせて留めるのが基本ですが、風の通る場所ではピンを足さないと一晩でめくれます。
- 防虫ネット探す言葉「防虫ネット 目合い1mm」
- 規格の目安
- 目合い 1mm、幅 180cm。トンネル支柱(長さ 210cm・直径 8mm)と合わせて使います。
- 数量の目安
- ネットは畝 1 本(3m)で 4m。支柱は 50cm 間隔で 7 本。
1mm はモンシロチョウやコナガなど、卵を産みに来る蛾や蝶を止めるための目です。アブラムシやアザミウマはこれでは通ります。狙う虫で目合いを決めてください。
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm のステンレス製。目盛りの付いたものは植え穴の深さを見るのに使えます。
根鉢と同じ大きさの穴を掘るための道具です。柄と刃が一体になっているものは曲がりません。
- 支柱を立てない作物なら、トンネル支柱は要りません。
- 穴なしマルチをカッターで開ければ、株間の違う作物にも 1 本で使い回せます。
にんにくの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はにんにくの育て方にまとめています。
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