9月・10月 — 土づくりと植え付け
にんにくの一年はここから始まります。石灰は植え付けの2週間前、堆肥と元肥(植える前に土へ混ぜておく肥料)は1週間前に入れ、あいだを空けます。植え付けの適期は、冬までに葉3から4枚まで育つ時期から逆算して決めます。
この二か月でやり直しの効かないことが二つあります。畝の高さと、鱗片の向きです。どちらもあとから直せないので、多少手間でもここで丁寧にやっておくと、翌年6月までの管理がずっと楽になります。
秋のうちに置き場所も決めておきます。ネギやタマネギ、らっきょうを作った畝は2年から3年空けてください。同じ病原を共有するため、連作した年は春の病気の出方がはっきり変わります。
| 月 | 作業 | 要点 |
|---|---|---|
| 9月上旬 | 畑の準備開始 | 石灰を入れて耕す。前作がネギ類の畝は避ける |
| 9月中旬 | 元肥・畝立て | 堆肥と緩効性肥料。畝は20センチ以上高く |
| 9月中旬〜10月下旬 | 植え付け | 深さ5から7センチ、尖った先を上、株間15から20センチ |
| 10月中旬〜11月 | 出芽の確認 | 1か月出ない穴は掘って向きと腐りを確かめる |
植え付けは寒冷地が9月上旬から中旬、中間地が9月下旬から10月中旬、暖地が10月上旬から下旬が目安です。
11月・12月 — 1回目の追肥と冬支度
葉が3枚ほどになったら1回目の追肥(育てている途中で足す肥料)です。まいたら軽く中耕して土に混ぜ、そのまま株元に土を寄せます。この土寄せ(株元へ土を寄せること)が、冬の凍上を防ぐ役目も兼ねます。
この時期の目標は、年内に葉3から4枚、草丈10から15センチまで育てることです。この姿で冬に入れれば春の立ち上がりが早く、届かない年は春にどれだけ手をかけても球は小さいままで終わります。
逆に暖地で伸びすぎている場合は追肥を控えます。年内に30センチを超えるような株は寒害と二次生長のもとなので、肥料で押すのではなく、土寄せで守る方向に切り替えてください。
| 月 | 作業 | 要点 |
|---|---|---|
| 11月 | 草取り・敷き藁 | 小さいうちに根ごと抜く。泥はねを藁で防ぐ |
| 11月下旬〜12月中旬 | 1回目の追肥 | 1平方メートルあたり30から50グラム、株から10センチ離す |
| 12月 | 土寄せ | 株元に2から3センチ。凍上と寒風から守る |
| 12月 | 乾燥時の潅水 | 乾いたら暖かい日の午前に一度。夕方は避ける |
1月・2月 — 見守りと止め肥
1月は作業が最も少ない月です。凍上で浮いた株を押し戻すことと、草を取ることだけをやります。2月下旬になると球の肥大準備が始まるので、最後の追肥を入れます。
冬の低温は避けるものではありません。一定期間の低温に当たることで分球のスイッチが入るので、寒さそのものは必要な条件です。暖冬の年に分球しない一片球が増えるのはこのためです。
2月の追肥は止め肥と呼ばれ、これが最後になります。3月下旬以降に窒素を足すと球が締まらず、貯蔵中に腐りやすくなるので、時期を逃したら追肥そのものを見送るのが正解です。
| 月 | 作業 | 要点 |
|---|---|---|
| 1月 | 浮いた株を戻す | 凍みが緩んだ日中に押し下げて土をかぶせる |
| 1月 | 草取り | 冬草を根ごと。畝の上に置かず外へ出す |
| 2月中旬 | 中耕 | 葉が触れ合う前に済ませる。以降は根を切らない |
| 2月下旬〜3月上旬 | 2回目の追肥(止め肥) | これが最後。以降は窒素を足さない |
寒冷地は雪解け後に葉が立ち上がってから止め肥を入れます。暦より株の動きを優先してください。
3月・4月 — 芽かきと肥大の開始
気温が上がると葉が一気に伸び、球の肥大が始まります。この時期にやるのは芽かき(余分な芽を根元から取ること)と水の管理だけで、肥料は足しません。暖地では4月後半からとうが立ちはじめます。
肥大期は水を必要とするので、乾いたら与えます。ただし深い中耕はしません。3月以降に根を切ると肥大に直接響き、切り口が春腐病の入口にもなるため、土をいじる作業は2月までに終えておきます。
4月からは見回りの月でもあります。さび病は気温が9℃から18℃のあいだで動くので、春先の暖かい日が続いたあとに下葉を裏返して橙色の斑点を探す習慣をつけると、広がる前に手が打てます。
| 月 | 作業 | 要点 |
|---|---|---|
| 3月 | 芽かき | 2本出た株の細いほうを、株元を押さえて抜く |
| 3月 | 潅水 | 乾いたら与える。肥大期は水を必要とする |
| 4月 | さび病の見回り | 下葉の橙色の斑点を探す。見つけたら葉を抜き取る |
| 4月中旬〜下旬 | とう摘み(暖地) | つぼみが膨らんだら根元近くで切る |
5月・6月・7月 — とう摘みと収穫
最後の一か月は判断の連続です。とうを摘み、葉の枯れ具合を毎日見て、晴天が続く日を選んで掘り上げます。待ちすぎると玉割れ、早すぎると小さく、貯蔵も効きません。
収穫は葉が3割から4割枯れたころが目安で、とう摘みからおよそ3週間から4週間後にあたります。日付と葉の状態の両方が条件を満たし、なおかつ土が乾いている日を選ぶのが理想です。
掘ったあとの乾燥まで含めて収穫だと考えてください。風通しのよい日陰に2週間から4週間吊るし、外皮がかさかさに鳴るまで乾かします。ここを省くと、どれだけ良い球でも夏を越せません。
| 月 | 作業 | 要点 |
|---|---|---|
| 5月上旬〜中旬 | とう摘み(中間地) | 切り口が乾く晴れた午前に行う |
| 5月 | 潅水を止める | 葉が黄ばみはじめたら水を切って締める |
| 5月下旬〜7月上旬 | 収穫 | 葉の3から4割が枯れ、晴天が数日続いた日に掘る |
| 収穫後2〜4週間 | 乾燥 | 風通しのよい日陰で吊るす。直射日光に当てない |
収穫は暖地が5月下旬から6月上旬、中間地が6月上旬から中旬、寒冷地が7月上旬が目安です。
地域で暦をずらす
同じ月の表でも、寒冷地と暖地では作業が半月から一か月ずれます。標高が100メートル上がるごとに数日遅くなると考えて、自分の畑の基準日を一度決めてしまうと、毎年の判断が楽になります。
ずれる幅は工程によって違います。植え付けと収穫は地域差が大きく一か月近く動きますが、芽かきととう摘みは株の姿で決まるため、暦ではなく目の前の株を見て判断するほうが確実です。
| 工程 | 暖地 | 中間地 | 寒冷地 |
|---|---|---|---|
| 植え付け | 10月上旬〜下旬 | 9月下旬〜10月中旬 | 9月上旬〜中旬 |
| 1回目の追肥 | 12月中旬 | 12月上旬 | 11月下旬 |
| 止め肥 | 2月中旬 | 2月下旬〜3月上旬 | 雪解け後 |
| 収穫 | 5月下旬〜6月上旬 | 6月上旬〜中旬 | 7月上旬 |
遅れを取り戻す手当てと記録
作業が遅れた年は、取り返せるものとそうでないものを分けて考えます。植え付けと止め肥は時期が過ぎたら戻せませんが、芽かきととう摘みは株の姿さえ合っていれば数日の遅れを吸収できます。
にんにくは年に一度しか作れないので、記録がそのまま技術になります。日付だけでなく、そのときの株の姿を書き残すと、翌年の判断が具体的になります。3年分たまると、自分の畑の暦ができあがります。
- 植え付け日と品種名
- 系統(寒地系か暖地系か)も一緒に。二年分並べると、自分の畑に合う系統が見えてきます。
- 年内最後の葉数
- 冬に入ったときの葉数と草丈を記録します。この数字が翌年の植え付け日を決める根拠になります。
- とうが立った日
- 収穫のおよそ3週間から4週間前にあたります。畑ごとの目安になり、掘るタイミングを外しにくくなります。
- 収穫日と乾燥期間
- 貯蔵が効いたか、途中で傷んだかを併せて残します。乾燥が足りたかどうかの判断基準になります。
| 遅れた作業 | その年に起きること | とる手当て |
|---|---|---|
| 植え付けが11月にずれた | 葉数が足りず球が小さい | 追肥を早め、収穫を遅らせない |
| 止め肥を逃した | 肥大に使う養分が足りない | 追肥はせず、水切れだけ防ぐ |
| 芽かきをしないまま4月 | 2本とも小ぶりの球になる | 今からでも細いほうを切る |
| とう摘みが遅れた | 球へ回る養分が減る | 見つけしだい切り、収穫は予定どおり |
にんにくの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
にんにくの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はにんにくの育て方にまとめています。
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