春の作業は「増やす」ではなく「減らす」
春のにんにくは、葉で作った養分を球に送るか、余計な芽や花に使うかの分かれ道にいます。だから春の管理はほとんどが取り除く作業です。2本目の芽を抜き、花茎を摘み、追肥(育てている途中で足す肥料)を切り上げる。この三つで球の大きさが決まります。
逆に春に手を加えすぎるのも失敗のもとです。3月以降の窒素追肥、深い中耕、過剰な潅水はどれも球を緩ませます。やることを絞って、あとは触らないほうが良い結果になります。
| 株の姿 | 春にやること | やってはいけないこと |
|---|---|---|
| 芽が2本出ている | 細いほうを3月に抜く | 両方残して太らせようとする |
| とうが伸びてきた | 根元近くで切り、芽として使う | 伸びきるまで放置する |
| 葉が濃く軟らかく茂る | 潅水と追肥を切り上げる | もうひと押しの追肥をする |
| 葉が黄ばみはじめた | 潅水を止めて収穫に備える | 肥料で立て直そうとする |
作業の順番は、芽かき(余分な芽を根元から取ること)、止め肥、とう摘み、潅水停止の順です。逆にすると効き目が薄くなるので、暦ではなく順番で管理します。
芽かきは2本出た株の細いほうを抜く
一つの穴から芽が2本出ているのは、植えた鱗片の中に芽が二つあったためです。そのままにすると養分が二分され、両方とも小ぶりの球になります。3月ごろ、株が動き出して太さの差が見えた時点で細いほうを抜きます。
- 時期は3月
- 寒さが緩んで葉が立ち上がり、2本の太さの差がはっきりしてから行います。冬のうちに抜くと残す側を見誤ります。
- 株元を押さえて抜く
- 残す株の株元を指で押さえ、細いほうを真上ではなく斜めに引き抜きます。押さえずに引くと残す株の根まで浮きます。
- 抜けないときは切る
- 根が絡んで動かないなら、無理をせず地際でハサミで切ります。残す株の根を傷めるほうが損失が大きくなります。
- 抜いた芽は食べられる
- 若い葉にんにくとして炒め物や汁物に使えます。捨てずに済むので、抜く判断の心理的な負担も軽くなります。
抜いたあとは株元に土を寄せて、緩んだ根を落ち着かせます。この一手間を省くと、抜いた側の穴から水が入って腐りやすくなります。
とう(花茎)は伸びきる前に摘む
4月から5月に、株の中心から花のつぼみをつけた茎が伸びます。これを残すと養分が花に回り、球が二割ほど小さくなります。摘む合図は、茎が真っすぐ伸びてつぼみが膨らみ、先端が少し曲がりはじめたころです。
- 根元近くで切る
- 葉の付け根から出ている茎を、上位の葉を傷めない高さでハサミで切ります。手で引き抜くと株ごと持ち上がります。
- 晴れた日の午前に
- 切り口が濡れたままだと雑菌が入ります。雨の日と夕方は避け、乾く時間のある晴天の午前に行います。
- 遅れても摘む
- 花が開きかけていても、残すより摘んだほうが球は太ります。ただし固くなっているので食用には向きません。
| 地域 | とうが立つ時期 | 収穫の目安 |
|---|---|---|
| 暖地 | 4月中旬〜下旬 | 5月下旬〜6月上旬 |
| 中間地 | 5月上旬〜中旬 | 6月上旬〜中旬 |
| 寒冷地 | 6月中旬以降 | 7月上旬 |
摘んだにんにくの芽の扱い
摘んだ花茎が、店で売られているにんにくの芽です。採れる期間は株ごとに数日しかなく、家庭菜園ならではの収穫物になります。太さが鉛筆ほどで、指で曲げるとしなる状態がいちばんおいしい時期です。
とうが立つのは球の肥大が最終段階に入った合図でもあります。つまり芽の収穫は、あと3週間ほどで球を掘るという予告です。芽を摘んだ日を記録しておくと、収穫日の見当がつけやすくなります。
- つぼみは落とす
- 先端の膨らんだ部分は繊維が固いので切り落とします。食べるのはまっすぐな茎の部分だけです。
- すぐ使わないなら冷蔵
- 湿らせた紙で包んで袋に入れ、冷蔵で4日から5日。硬くなる前に使い切るほうが風味が残ります。
- 下ゆでして冷凍
- 30秒ほど塩ゆでして水気を切り、小分けにして冷凍すれば1か月ほど持ちます。凍ったまま炒め物に使えます。
とうが出ない株もあります。暖地系や暖冬の年には立たないことがあり、異常ではありません。その場合は葉の枯れ具合だけで収穫を判断します。
春の水と肥料は切り上げる
肥大期の3月から4月は水を必要としますが、5月に入って葉が黄ばみはじめたら潅水を止めます。収穫直前まで水を与えると、球が水を含んで貯蔵中に傷みやすくなります。
追肥は2月から3月上旬の止め肥までで終わりです。とう摘みのあとに「もうひと押し」と肥料を足すと、球が締まらず、余分な葉が出る二次生長の引き金になります。
| 時期 | 水 | 肥料 |
|---|---|---|
| 3月〜4月 | 乾いたら与える | 止め肥まで。以降なし |
| 5月 | 控えめに | 与えない |
| 収穫2週間前 | 止める | 与えない |
二次生長と玉割れの原因を切り分ける
収穫前によく起きる失敗が二次生長と玉割れです。二次生長は球の内側の鱗片から余分な葉が伸びて球が変形する現象で、春の窒素過多と暖冬が主な原因です。玉割れは収穫が遅れて外皮が裂け、鱗片がばらける状態です。
- 春の窒素を足さない
- 止め肥以降は与えないのが最大の予防です。生育が良く見える年ほど足したくなりますが、そこで我慢します。
- 系統を地域に合わせる
- 寒地系を暖地で作ると二次生長が出やすくなります。二年続けて出たなら、品種の選び直しを検討してください。
- 収穫を遅らせない
- 玉割れは待ちすぎで起きます。葉の枯れ具合を毎日見て、条件がそろった日に掘り上げます。
- 起きた球は先に食べる
- 二次生長や玉割れの球は貯蔵が効きません。乾燥は同じようにしたうえで、優先して使い切ります。
| 収穫時に見えた姿 | 考えられる原因 | 翌年に向けた手当て |
|---|---|---|
| 球の中から葉が伸びている | 春の窒素過多と暖冬 | 止め肥以降の追肥をやめる |
| 外皮が裂けて鱗片がばらける | 収穫が遅れた | 葉の枯れ具合を毎日見て掘る |
| 球が扁平で締まらない | 系統が地域に合っていない | 寒地系と暖地系を選び直す |
| 一片のまま分球しない | 冬の低温が足りない | 植え付けを早め、暖地系を選ぶ |
割れた球や変形した球は翌年の種にしないでください。同じ性質が出やすく、畑の中で失敗を再生産することになります。
にんにくの育てている間に使うもの
植え付けたあとにやることは、追肥・除草・水やりの 3 つに集約されます。専用品より、切らさないことのほうが効きます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8 追肥」
- 規格の目安
- 粒状。ひとつまみがおよそ 5g、大さじ 1 がおよそ 10g です。
- 数量の目安
- 追肥 1 回で 1 ㎡あたり 30〜50g、畝 1 本で 50〜90g。1kg 袋なら 10 回以上もちます。
株から少し離した位置にまいて土と混ぜます。株元に直に置くと、濃さで根が傷みます。作物ごとの量は都道府県の施肥基準が正確です。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 液体肥料探す言葉「液体肥料 野菜 原液」
- 規格の目安
- 1000 倍に薄めて使う原液タイプ。800ml 前後の 1 本で、ジョウロ何十杯ぶんにもなります。
粒の肥料は効き始めるまで数日から 1 週間かかります。すぐ効かせたいとき、鉢やプランターで使います。
- 三角ホー(草かき)探す言葉「三角ホー 除草」
- 規格の目安
- 刃幅 10〜15cm、柄の長さ 120cm 前後。立ったまま使える長さを選びます。
雑草は根から抜くより、小さいうちに表土ごと削るほうが早く終わります。かがまずに済むので続けられます。
- 敷きわら・刈り草探す言葉「敷きわら 家庭菜園」
- 規格の目安
- 稲わら 1 束でおよそ 3〜4 ㎡ 分。刈った草を乾かしたもので代えられます。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 1 束の半分ほど。
夏の乾きと地温の上がりすぎを抑えます。マルチと違い、そのまま鋤き込んで土に返せます。
- 活力剤は肥料の代わりにはなりません。肥料を切らしていないなら急ぎません。
- 肥料は種類を増やすより、1 袋を切らさないほうが効きます。
にんにくの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はにんにくの育て方にまとめています。
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