一年の作業を表で見る
グレープフルーツは五月に咲いた花が翌年の二月から四月に熟します。つまり、樹の上に実がついたまま冬を越し、その間に翌年の花芽も作られます。この重なりを頭に入れて、剪定・施肥・防寒の時期を外さないことが安定した収穫のこつです。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 一月 | 防寒の点検、鉢は室内側へ | 最低気温マイナス三度を下回る夜は不織布二重 |
| 二月 | 早い実の収穫始め、寒肥の準備 | 実の皮が黄色く色づき軽く押して弾力があれば |
| 三月 | 剪定、春肥、植え付け、鉢の植え替え | 上旬に剪定、下旬から植え付け |
| 四月 | 新芽の展開、アゲハの幼虫の見回り | 新葉に食い跡があれば幼虫を探す |
| 五月 | 開花、人工授粉は不要 | 白い花が咲き、強い香りがする |
| 六月 | 生理落果、夏肥、夏枝の整理 | 小さい実が自然に落ちきったら追肥 |
| 七月 | 摘果、水切れ防止 | 葉七十〜八十枚に実一個 |
| 八月 | 毎朝の水やり、カイガラムシの確認 | 鉢は朝夕二回、日焼けした実は取る |
| 九月 | 秋枝の摘み取り、台風対策 | 支柱を確認し鉢は壁際へ |
| 十月 | 秋肥、色づき始め | 実が黄ばみ始めたら防寒の準備 |
| 十一月 | 防寒設置、鉢は南側へ | 最低気温が五度を下回る前に |
| 十二月 | 防寒の点検、水やりを減らす | 土が乾いて三日ほどたってから少量 |
三月から五月:剪定と芽出し
三月は一年で最も作業が集中する月です。上旬に剪定を済ませ、中旬に春肥を与え、下旬から植え付けや植え替えを行います。四月に新芽が伸び始めたら、アゲハチョウが卵を産み始めるので、新葉の裏を見て回ります。五月の開花は自家受粉するので人工授粉は要りませんが、雨が続く年は結実が減ります。
植え替えは三月下旬が適期で、鉢の底から根が出ていたり、水がしみ込みにくくなっていたら根詰まりの合図です。根鉢の外側を三分の一ほどほぐし、一回り大きな鉢に新しい用土で植え直します。
- 三月上旬に剪定
- 枯れ枝、内向き枝、強く立った枝を切り、去年の春枝は残します。実が残っていれば先に収穫します。
- 三月中旬に春肥
- 枝先の真下に油かすと化成肥料をまきます。鉢植えは規定量の三分の一から五分の一にします。
- 四月に幼虫の見回り
- 新葉に黒っぽい鳥の糞のような幼虫がいれば、アゲハの幼虫です。見つけ次第、手で取って処分します。
六月から八月:落果・摘果・水管理
六月に小さい実が自然に落ちる生理落果があります。これは樹が自分で実の数を調整しているので、落ちても心配は要りません。落果が終わったら夏肥を与え、七月に摘果します。七月から八月は水切れで実が落ちる時期なので、鉢植えは朝の水やりを欠かさず、地植えも雨が十日以上なければ株元に水を与えます。
| 時期 | 起きること | 対応 |
|---|---|---|
| 六月上旬〜中旬 | 小さい実がぼろぼろ落ちる | 生理落果。何もしなくてよい |
| 六月下旬 | 落果が止まり実が残る | 夏肥を与える |
| 七月中旬〜八月上旬 | 実が親指大に育つ | 葉七十〜八十枚に一個へ摘果 |
| 八月 | 日焼けで実の一面が白くなる | 日焼けした実を取り、遮光ネットを検討 |
梅雨明け直後は急に日差しが強くなり、実の南西側が日焼けします。鉢植えは午後の西日が当たらない位置に動かすと防げます。
九月から十一月:防寒の準備
九月に伸びる秋枝は冬に枯れやすいので伸び始めに摘みます。台風の時期は鉢を壁際に寄せ、地植えは支柱の結びを確かめます。十月に秋肥を与え、実が黄ばみ始めたら防寒の準備に入ります。十一月中に最低気温が五度を下回る前に、不織布や寒冷紗で樹全体を覆える状態にしておきます。
- 秋枝を摘む
- 九月に出た若い枝は、指でつまんで柔らかいうちに摘み取ります。硬くなってからは付け根で切ります。
- 台風前に固定
- 鉢は倒れないよう壁際に寄せてひもで固定します。地植えは支柱と幹の結び目を確かめ、緩んでいれば結び直します。
- 十月中旬に秋肥
- 化成肥料を枝先の真下にまきます。この肥料は実の味を良くし、冬の寒さに耐える体力を作ります。
- 防寒資材を用意
- 不織布は樹をすっぽり覆える大きさを二枚、支柱は覆いが葉に触れない高さのものを用意します。
十二月から二月:越冬と収穫、寒さで葉が落ちたときの手当て
十二月から二月は最低気温との戦いです。マイナス三度を下回る予報の夜は不織布を二重にし、鉢植えは軒下や玄関の内側に移します。実は樹上で完熟させるほど酸味が抜けますが、寒さで実が凍ると味が落ちるので、厳寒期に入る前に収穫するか、防寒下で残すかを地域で判断します。
寒さで葉が落ちても、枝が緑なら春に芽吹きます。三月まで枯れた部分を切らずに待ち、緑との境目が見えてから切り戻します。落葉した年は実が減りますが、樹は回復するので肥料を控えめにして枝の再生を優先します。
| 地域 | 実の扱い | 防寒 |
|---|---|---|
| 関東内陸 | 十二月中に収穫して室内で追熟 | 不織布二重と株元のわら |
| 関東沿岸・南向き | 二月まで樹上に残せる | 不織布一枚、寒波の夜は二重 |
| 暖地 | 三〜四月まで樹上で完熟 | 寒波の夜だけ覆う |
グレープフルーツの栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
グレープフルーツの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はグレープフルーツの育て方にまとめています。
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