樹の年数と姿で剪定の強さを決める
グレープフルーツは春に伸びた枝(春枝)に翌年の花がつきます。その枝を切ってしまうと実がならないので、剪定は「切りすぎない」ことが最大の原則です。樹の年数と今の姿を見て、どれくらい切るかを先に決めます。
剪定の目的は、樹の内側まで日光と風を通して、どの枝にも実がつく状態を保つことです。柑橘は葉が多いほど実が甘くなるので、葉を減らすための剪定ではなく、混み合いを解消するための間引きと考えます。切る本数より、切った後に樹の内側が見えるかどうかで仕上がりを確かめます。
| 樹の状態 | 剪定の強さ | 主な作業 |
|---|---|---|
| 植え付け一〜三年の若木 | ごく弱く | 主枝を三本選び、それ以外の枝を軽く整理 |
| 実がなり始めた四〜六年目 | 弱め | 混み合った枝と内向きの枝を間引く |
| 実がなる成木で樹が混んでいる | 中程度 | 上に伸びた強い枝を根元から抜き、光を入れる |
| 何年も放任して大きくなりすぎた | 二〜三年かけて段階的に | 一度に三割以上切らず、毎年少しずつ低くする |
一度に全体の三割以上の枝を切ると、翌年は花がほとんどつかず、勢いの強い枝ばかり出て樹が乱れます。
剪定の適期は三月上旬から中旬
剪定は厳しい寒さが終わり、新芽が動く直前の三月上旬から中旬に行います。冬のうちに切ると切り口から寒さが入って枝枯れが広がり、四月以降に切ると芽を傷めて春枝の伸びが遅れます。暖地なら二月下旬から、寒い年は三月下旬まで待つのが目安です。
収穫が遅れて三月にまだ実がついているときは、先に実を全部収穫してから切ります。実を残したまま剪定すると、樹が実と新芽の両方に養分を取られて弱ります。
- 枯れ枝と病気の枝を切る
- 冬の寒さで枯れ込んだ枝先、カイガラムシが多くついた枝、かいよう病の斑点が多い枝を先に切って処分します。これだけでも風通しが良くなります。
- 内向きと交差する枝を抜く
- 樹の内側に向かって伸びる枝、ほかの枝と交差してこすれる枝を付け根から切ります。中心に光が入るようになれば、内側の枝にも花がつきます。
- 強く立った枝を根元から抜く
- 垂直に一メートル近く伸びた太い枝は徒長(勢いだけ強くて花がつきにくい伸び方)した枝なので、付け根から切ります。途中で切ると、そこからさらに強い枝が出ます。
- 残す枝は切り戻さない
- 去年の春に伸びて葉のついている枝は、翌年の花がつく枝です。先端を切り戻すと花の数が減るので、そのまま残します。
若木は主枝三本の開心形に仕立てる
植え付けから三年間は、実をならせずに骨組みを作る期間です。幹から出る枝のうち、方向の違う三本を主枝に選び、それぞれが四十五度ほど外に向かって開くように育てます。中心を開けた形にすると、樹が低く保て、収穫や防寒作業が楽になります。
主枝が三本そろわない苗もあります。二本しか出ないときは無理に三本にせず、翌年に幹の途中から出る枝を待って足します。方向が偏っていても、ひもで引いて広げれば二年ほどで直ります。
- 一年目に主枝候補を選ぶ
- 植え付け時に高さ五十センチほどで幹を切り、そこから出た枝のうち、三方向に伸びる元気なものを三本残します。残りの枝は付け根で切ります。
- 二年目に角度をつける
- 主枝が立ち気味なら、ひもで下に引いて四十五度前後に広げます。ひもは幹に食い込まないよう、布を挟んで緩めに結びます。
- 三年目に副主枝を配置
- 各主枝から左右に出た枝を一本ずつ副主枝として残し、それ以外の強い枝を整理します。ここまでできれば骨組みが完成です。
夏枝と秋枝の扱い方
六月から七月に伸びる夏枝と、九月に伸びる秋枝は、春枝より太くて勢いが強く、花がつきにくい枝です。放っておくと樹の上部に集まって日陰を作るので、伸びている途中で手で摘み取るか、付け根から切ります。ただし若木では樹を大きくするために、方向のよい夏枝は残して構いません。
| 枝の種類 | 伸びる時期 | 扱い |
|---|---|---|
| 春枝 | 四〜五月 | 翌年の花がつく。残す |
| 夏枝 | 六〜七月 | 成木では付け根から切る。若木は方向がよければ残す |
| 秋枝 | 九〜十月 | 寒さで枯れやすい。伸び始めに摘む |
夏枝を切ると、その下から再び夏枝が出ることがあります。九月以降に出る枝は冬に枯れやすいので、その時点で摘み取ります。
切りすぎて花がつかなくなったときの立て直し
強く切った翌年に花がつかず、勢いの強い枝ばかり出るのは、よくある失敗です。この年は焦って再び切らず、出てきた枝の中から方向のよいものを残して、ほかを間引くだけにします。二年目には春枝が出て花がつくようになります。
- その年は切らない
- 剪定を一年休み、伸びてきた枝をそのまま伸ばします。肥料も控えめにして、枝の勢いを落ち着かせます。
- 夏に強い枝だけを間引く
- 六月に垂直に伸びた枝の中から、三本に一本の割合で付け根から抜きます。全部は抜かず、残した枝を翌年の骨組みにします。
- 翌春に軽く整える
- 翌年の三月に、混み合った部分だけを間引きます。この年に出た春枝に花がつくので、それ以降は通常の弱い剪定に戻します。
グレープフルーツの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
グレープフルーツの収穫までのコツは作物ページに
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