季節ごとに水のやり方を変える
行者にんにくの水やりは、葉のある春と、地上部の消える夏から冬とで考え方が変わります。葉のある時期は生育に水が要り、休眠中は水を吸わないものの、土がからからになると鱗茎が傷みます。
地植えなら春の乾いた日と、真夏の日照りが続くときだけ与えれば足ります。鉢植えは土が少ないので、休眠中も土の中がほんのり湿った状態を保ちます。
| 時期 | 地植えの水やり | 鉢植えの水やり |
|---|---|---|
| 3月〜5月 | 晴天が続いたら株元へ | 表面が乾いたらたっぷり |
| 6月〜8月 | 日照りが続くときだけ | 四日から七日に一度、少なめに |
| 9月〜11月 | ほぼ雨まかせでよい | 表面が乾いたら控えめに |
| 12月〜2月 | 覆いをして乾かさない | 月に二回ほど、暖かい日の午前に |
水は株元ではなく覆いの上から
水を株元に直接かけると土がはねて葉に泥が付き、病気のもとになります。腐葉土やバークで覆っておき、その上から静かに与えると、水が広がって土全体に染みこみます。
与えるときは表面を濡らすだけで終わらせず、土の下十センチまで湿るようにたっぷり与えます。少量を毎日かけると根が浅い場所にしか伸びず、乾きに弱い株になります。
- 覆いの上から与える
- 腐葉土やバークの上からジョウロの口を低くして静かに注ぎます。泥がはねず、水が横に広がって染みこみます。
- 十センチ下まで湿らせる
- 与えたあと指を土に差し込み、十センチ下まで湿っているかを確かめます。表面だけならもう一度与えます。
- 朝のうちに済ませる
- 夏は昼に与えると土が蒸れて根が傷みます。朝の涼しいうちに与え、夕方は葉を濡らさないようにします。
肥料は少なく、時期を絞る
行者にんにくは、やせた林の土でゆっくり育つ植物です。肥料を効かせすぎると葉ばかり大きくなって香りが薄れ、株元が腐りやすくなります。年に二回、控えめに与えれば十分です。
施すのは葉の出る前の三月と、葉が枯れて休眠に入る前の五月下旬から六月です。追肥(育ちの途中で足す肥料)は化成肥料を少量にするか、油かすや完熟堆肥といったゆっくり効くものを選びます。
- 三月に芽出しの分
- 芽が動く前に、株の周りへ完熟堆肥をひと握りか油かすを少量まきます。株元に直接触れないよう外側へ置きます。
- 六月に来年の分
- 葉が枯れ始めるころ、同じ量をもう一度施します。この肥料が鱗茎にたまり、翌年の芽の太さになります。
- 液肥は薄めて使う
- 鉢植えなら春の間だけ、表示より薄めた液体肥料を月に一回与えます。濃い液肥は根を傷めるので避けます。
葉が大きいのに香りが弱い株は、肥料が多すぎます。その年の追肥は止め、覆いを薄くして株元を乾かし気味にします。
覆いを絶やさないことが最大の管理
行者にんにくの世話でいちばん効くのは、水やりでも肥料でもなく、株元を覆い続けることです。落ち葉や腐葉土の層があるだけで、土の乾きも地温の上がりすぎも霜柱も同時に和らぎます。
覆いは分解して減るので、春と秋の年二回、減った分を足します。厚さは三センチから五センチが目安で、厚すぎると芽が出にくくなるため、春の芽出し前には少しかき分けておきます。
- 春と秋に足す
- 分解して減った覆いを、三月と十月に三センチほど足します。落ち葉、腐葉土、バークのどれでも構いません。
- 芽出し前にかき分ける
- 二月下旬から三月上旬、芽の出る場所の覆いを軽くかき分けて薄くします。厚いままだと芽が上がりにくくなります。
- 株元に密着させない
- 白い茎に覆いが張り付くと蒸れて腐ります。株の際は少し空け、輪を描くように敷きます。
休眠中も土を乾かさない
初夏に地上部が枯れると、そこに植物があることを忘れて水やりも覆いも止めてしまいがちです。しかし地下の鱗茎は生きていて、土がからからに乾くと縮んで翌年の芽が小さくなります。
枯れた場所には名札を立てて、掘り返しや踏みつけを防ぎます。鉢植えは特に乾きやすいので、夏も四日から七日に一度、土の中の湿りを確かめて与えます。
- 名札を立てる
- 地上部が消えると場所が分からなくなります。枯れる前に名札を立て、掘り返しや踏みつけを防ぎます。
- 夏も湿りを確かめる
- 指を土に差し込み、五センチ下が乾いていれば与えます。表面が乾いていても下が湿っていれば見送ります。
- 鉢は日陰で管理する
- 休眠中の鉢は日陰に置いたままにします。日なたでは土の温度が上がり、鱗茎が蒸れて傷みます。
水と肥料でつまずいたときの切り分け
葉先が枯れる、株元が腐る、葉が大きいのに香りが弱い。原因が水か肥料かで手当てが逆になるので、土を触って湿りを確かめてから決めます。
- 葉先が茶色く縮む
- 乾きすぎです。土の下十センチまで湿るように与え、覆いを足します。日が強い場所なら日陰へ移します。
- 白い茎が柔らかく腐る
- 水のやりすぎか覆いの押し付けです。覆いを株の際から外し、水やりを控えて土の表面を乾かします。
- 葉は立派だが香りが薄い
- 肥料が多すぎます。その年の施肥を止め、翌年は量を半分にします。香りは翌年から戻ってきます。
- 芽が年々細くなる
- 六月の施肥を飛ばしたか、採りすぎです。葉の枯れる前に肥料を与え、一年か二年は収穫を休みます。
行者にんにくの育てている間に使うもの
植え付けたあとにやることは、追肥・除草・水やりの 3 つに集約されます。専用品より、切らさないことのほうが効きます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8 追肥」
- 規格の目安
- 粒状。ひとつまみがおよそ 5g、大さじ 1 がおよそ 10g です。
- 数量の目安
- 追肥 1 回で 1 ㎡あたり 30〜50g、畝 1 本で 50〜90g。1kg 袋なら 10 回以上もちます。
株から少し離した位置にまいて土と混ぜます。株元に直に置くと、濃さで根が傷みます。作物ごとの量は都道府県の施肥基準が正確です。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 液体肥料探す言葉「液体肥料 野菜 原液」
- 規格の目安
- 1000 倍に薄めて使う原液タイプ。800ml 前後の 1 本で、ジョウロ何十杯ぶんにもなります。
粒の肥料は効き始めるまで数日から 1 週間かかります。すぐ効かせたいとき、鉢やプランターで使います。
- 三角ホー(草かき)探す言葉「三角ホー 除草」
- 規格の目安
- 刃幅 10〜15cm、柄の長さ 120cm 前後。立ったまま使える長さを選びます。
雑草は根から抜くより、小さいうちに表土ごと削るほうが早く終わります。かがまずに済むので続けられます。
- 敷きわら・刈り草探す言葉「敷きわら 家庭菜園」
- 規格の目安
- 稲わら 1 束でおよそ 3〜4 ㎡ 分。刈った草を乾かしたもので代えられます。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 1 束の半分ほど。
夏の乾きと地温の上がりすぎを抑えます。マルチと違い、そのまま鋤き込んで土に返せます。
- 活力剤は肥料の代わりにはなりません。肥料を切らしていないなら急ぎません。
- 肥料は種類を増やすより、1 袋を切らさないほうが効きます。
行者にんにくの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は行者にんにくの育て方にまとめています。
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