季節で欲しい日当たりが変わる
行者にんにくは、落葉樹が葉を広げる前の春に日を浴びて養分をため、夏には葉陰で休むという暮らし方をしています。一年を通して同じ明るさが要るわけではありません。
そのため置き場所は、春は明るく夏は暗くなる場所が正解になります。落葉樹の下がちょうどこの条件で、建物の北側や東側の壁ぎわもよく似た明るさになります。
| 時期 | 欲しい日当たり | 気をつけること |
|---|---|---|
| 3月〜4月 | 半日は日が差す明るさ | この時期の光が翌年の芽を作る |
| 5月 | 木漏れ日ほどの明るさ | 気温が上がる日は日陰へ移す |
| 6月〜8月 | 日陰でよい | 地上部は枯れて休眠に入る |
| 9月〜11月 | 明るい日陰 | 土を乾かさないことが第一 |
落葉樹の下がいちばん向く
庭に落葉樹があるなら、その下は行者にんにくにとって最良の場所です。春は枝が裸なので日が差し、五月以降は葉が茂って日陰になり、秋には落ち葉が土の上に積もって乾きを防いでくれます。
常緑樹の下は一年中暗く、春の光が足りないので株が太りません。針葉樹の下も落ちた葉が土を固めるため向きません。植える前に、その木が冬に葉を落とすかどうかを確かめます。
- 冬に葉が落ちるか見る
- 冬に枝が裸になる木を選びます。常緑樹の下は春も暗く、株が太らないまま数年かけて細っていきます。
- 幹から離して植える
- 幹から五十センチ以上離した位置に植えます。幹に近すぎると木の根と水を奪い合い、掘るときも根を傷めます。
- 落ち葉はそのまま残す
- 秋に落ちた葉は掃かずに株の上に残します。自生地と同じ覆いになり、土の乾きと凍結を和らげます。
ベランダと鉢は夏の逃げ場を作る
鉢植えは動かせるのが強みです。三月から四月は日の差す場所に置いて葉を育て、五月に入ったら建物の北側や大きな鉢の陰など、直射日光の当たらない場所へ移します。
コンクリートの床は夏に高温になるので、鉢を直接置かずにすのこやレンガの上に載せて風を通します。手すり近くの照り返しも葉を焼くので、床に近い低い位置のほうが安全です。
- 春は明るい場所
- 三月から四月は日の差す場所に置きます。この時期にしっかり日を浴びた株ほど、翌年の芽が太くなります。
- 五月に日陰へ移す
- 気温が二十五度を超える日が続くようになったら、北側や木陰へ移します。葉先が黄ばむ前に動かすのが目安です。
- 床から浮かせる
- すのこやレンガの上に鉢を置き、床の熱が直接伝わらないようにします。鉢の下を風が抜けると土の温度が下がります。
- 寒冷紗をかける
- 移す場所がないときは、遮光率五割ほどの寒冷紗を張って日を和らげます。真上ではなく南西側に張ると効きます。
風通しと湿りを両立させる
半日陰がよいからといって、風の抜けない隅に置くと葉が蒸れて病気が出ます。求めるのは「暗くて湿った場所」ではなく「日は和らぐが風は抜ける場所」です。
地面が乾いて土ぼこりが立つような場所は、腐葉土やバークで覆って湿り気を保ちます。覆いがあると地温の上がりすぎも防げるので、夏を越す力が変わってきます。
- 囲まれた隅は避ける
- 三方を壁や塀に囲まれた場所は空気が動かず、葉が蒸れます。少なくとも一方が開けた場所を選びます。
- 株元を覆う
- 腐葉土やバークを三センチほど株元に敷きます。乾きと地温の上がりすぎを抑え、雨のはね返りも防げます。
- 込み合いを解く
- 子株が増えて葉が重なってきたら、数年に一度掘り上げて株間を広げます。葉の間に風が通る密度に戻します。
冬は寒さより乾きに気をつける
行者にんにくは自生地で雪の下に埋もれて冬を越すので、寒さそのものには強い植物です。関東平野部の冬の寒さで枯れることはまず起こりません。
むしろ問題になるのは、雪の代わりに冷たい風が吹き抜けて土が乾くことです。落ち葉や腐葉土で株の上を覆い、土がからからにならないようにしておけば、春に元気な芽が上がります。
- 落ち葉で覆う
- 十二月に入ったら株の上に落ち葉や腐葉土を五センチほどかけます。雪の代わりの布団になり、乾きと霜柱を防ぎます。
- 月に一度は湿りを見る
- 晴天が続いた冬は土が乾きます。指を差し込んで乾いていれば、暖かい日の午前に水を与えます。
- 鉢は北側で凍らせない
- 鉢は土が少なく凍りやすいので、北側の軒下に寄せるか、鉢を土に埋めて温度の急な変化を和らげます。
置き場所を間違えたときの立て直し
葉が焼けた、葉が細い、年々小さくなる。行者にんにくの不調は水や肥料より、置き場所そのものが合っていないことが原因である場合が多くあります。
- 葉先から茶色く枯れる
- 日が強すぎるか乾きすぎです。すぐに日陰へ移し、株元を腐葉土で覆います。移せない庭なら寒冷紗を張ります。
- 葉が薄くて色が淡い
- 春の光が足りません。常緑樹の下や北側の暗すぎる場所です。秋に掘り上げ、春だけ明るくなる場所へ移します。
- 年々株が小さくなる
- 採りすぎか光不足のどちらかです。二年ほど収穫を休み、春に日が差す場所へ移して様子を見ます。
- 梅雨に株元が腐る
- 水はけと風通しの不足です。畝を高くして植え直し、覆いを薄くして株元に空気が入るようにします。
行者にんにくの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は行者にんにくの育て方にまとめています。
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