猛毒の植物と葉がよく似ている
行者にんにくは、猛毒のイヌサフランやスズランと葉の形がよく似ています。取り違えて食べた事故が毎年のように起きており、命に関わります。庭で育てる場合も、この点だけは必ず押さえます。
見分けの決め手は香りです。行者にんにくは葉をちぎると強いにんにくの香りが立ちますが、イヌサフランやスズランには香りがありません。少しでも迷うものは食べません。
| 見た目 | 行者にんにく | イヌサフランやスズラン |
|---|---|---|
| 香り | ちぎると強いにんにくの香り | 青くさいだけで香りがない |
| 葉の付け根 | 赤紫を帯びた薄い膜に包まれる | 膜がなく地際から直接出る |
| 葉の柄 | はっきりした柄がある | 柄がないか、ごく短い |
| 生えている場所 | 自分で植えた場所と山地の林 | 庭や花壇に植えた球根から出る |
少しでも迷ったら食べません。香りがしない、膜がない、植えた覚えのない場所から出ている。この三つのどれか一つでも当てはまるものは捨てます。
他所から来た株と混ぜない
事故の多くは、よそから持ち込んだ株や球根が同じ場所に混じることで起きています。自生地から採ってきたものや、誰かにもらった名札のない株を、育てている場所へそのまま植えないことが確実な予防になります。
自生地での採取は保護のために禁じられている場所も多く、行政の規制が入っている地域もあります。買うなら苗として売られているものを選び、来歴の分かる株だけを庭に入れます。
- 来歴の分かる苗を買う
- 園芸店や種苗会社の苗を選びます。名札のない株や、山から採ってきた株を庭に持ち込まないことが第一の予防です。
- 場所を分けて植える
- スズランやイヌサフランを庭で育てているなら、行者にんにくとは離れた場所に植えます。隣接させないようにします。
- 名札を必ず立てる
- 植えた日と品名を書いた名札を立てます。地上部が消える植物なので、記録がないと数年で分からなくなります。
- 収穫前に香りを確かめる
- 採る前に葉を一枚ちぎって香りを確かめます。にんにくの香りが立たない株には手を付けません。
葉を食べる虫は少ないが油断しない
行者にんにくは強い香りを持つので、葉を食い荒らす虫は多くありません。それでもナメクジやヨトウムシは新芽をかじり、アブラムシが花茎に付くことがあります。
葉の枚数が少ない植物なので、一枚食われるだけでも打撃になります。春の芽出しから葉が開くまでの短い期間だけ、こまめに見回るのが効きます。
| 症状 | 疑う相手 | 手当て |
|---|---|---|
| 新芽がえぐれ、光る筋が残る | ナメクジ | 夜に見回って取る。覆いを薄くする |
| 葉が夜のうちに大きく食われる | ヨトウムシ | 株元の土を掘って探し、取り除く |
| 花茎に小さな虫が密集 | アブラムシ | 水で流すか指で取る。放置しない |
| 葉に白い筋が曲がりくねる | ハモグリバエ | その葉を切って処分する |
病気は湿りすぎと込み合いから出る
行者にんにくの病気は、株元が常に濡れている状態と、子株が増えて葉が重なった状態から出ます。白い茎が柔らかく腐る軟腐や、葉に黒い斑点が広がる病気が代表的です。
薬で治すより、覆いを株の際から外して風を通し、数年に一度は掘り上げて株間を広げるほうが効果があります。傷んだ葉は早めに切り取り、その場に落とさず持ち帰ります。
- 株の際を空ける
- 覆いが白い茎に張り付いていると蒸れます。株の際は少し空け、輪を描くように敷き直します。
- 込み合いを解く
- 子株が増えて葉が重なってきたら、十月に掘り上げて分け、株間を十五センチ以上に戻します。
- 傷んだ葉を持ち帰る
- 斑点や腐りの出た葉は根元から切り、その場に落とさず袋に入れて処分します。翌年の発生源になります。
夏の日焼けと乾燥も障害のうち
病害虫より多いのは、夏の直射日光と乾燥による葉焼けです。葉先から茶色くなって縮み、そのまま枯れ上がります。病気ではないので広がりませんが、その年の養分づくりは終わってしまいます。
五月に入って気温が上がってきたら、日陰へ移すか寒冷紗を張ります。地植えは覆いを厚めにし、土の温度が上がりすぎないようにしておくと被害が減ります。
- 葉先の色を見る
- 葉先が黄ばんできたら日差しが強すぎる合図です。焼ける前に日陰へ移すか、寒冷紗で日を和らげます。
- 覆いを厚くする
- 五月に腐葉土を足して覆いを五センチにします。土の温度の上がりすぎと乾きを同時に抑えられます。
- 焼けた葉は残す
- 焼けた葉も残っている部分は養分を作ります。全体が枯れるまでは切り取らずに置きます。
異変が出たときの切り分け
葉が食われた、茎が腐った、葉が縮れた、株が消えた。それぞれ原因が違い、急いで手を打つものと放っておいてよいものがあります。まず休眠かどうかを見分けます。
- 初夏に地上部が消えた
- 毎年の休眠です。病気ではないので掘り返さず、覆いを足して乾かさないようにして待ちます。
- 白い茎が柔らかい
- 腐りが入っています。その株を抜いて処分し、周りの覆いを外して土の表面を乾かします。
- 新芽だけ食われる
- ナメクジかヨトウムシです。夜に見回って取り、株元の覆いを一時的に薄くして隠れ場所を減らします。
- 植えた覚えのない芽
- 他の球根植物の可能性があります。香りと葉の付け根の膜を確かめ、判断が付かないものは食べずに抜きます。
行者にんにくの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は行者にんにくの育て方にまとめています。
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