採ってよい株の見分け方
行者にんにくは一年に一度しか葉を出さないので、採りすぎると翌年の芽が細り、数年かけて株が消えます。採ってよいのは、葉が三枚出ている充実した株だけです。
二枚の株は採らず、一枚の株には手を付けません。植えた年も採りません。この線引きさえ守れば、同じ株から十年以上採り続けられます。
| 状態 | 採ってよいか | 理由 |
|---|---|---|
| 植えた年の株 | 採らない | 根が張るまで養分を残す |
| 葉が一枚 | 採らない | 採ると光合成ができなくなる |
| 葉が二枚 | 見送るのが安全 | 翌年に備えて太らせる |
| 葉が三枚以上 | 一枚だけ採る | 残した葉で養分を作れる |
採り方は根元から一枚だけ
採るときは葉を引き抜かず、地際の白い部分を少し残してはさみか包丁で切ります。引き抜くと鱗茎ごと持ち上がり、株そのものを失うことになります。
採りごろは葉が開き切る直前で、関東平野部なら四月下旬から五月中旬が目安です。開き切ってしまうと繊維が固くなり、香りも落ちていきます。
- 葉の枚数を数える
- 株ごとに葉の枚数を数え、三枚以上の株だけを選びます。二枚以下の株には印を付けて手を付けません。
- 地際で切る
- 白い部分を一センチほど残し、はさみで切ります。引き抜くと鱗茎が持ち上がり、株ごと失います。
- 外側の葉から採る
- 内側の若い葉は残し、外側の開いた葉から採ります。内側の葉がその年の養分を作り続けます。
- 採った日を記録する
- 採った日と枚数を株ごとに残します。翌年の芽の太さと見比べると、採りすぎかどうかが分かります。
採る量を増やしたいときは、株数を増やすのが唯一の道です。一株から多く採る方法はありません。
採ったあとの保存と使い方
行者にんにくは香りが命で、採ってから時間がたつほど抜けていきます。その日のうちに使うのがいちばんですが、保存するなら乾かさない工夫が要ります。
湿らせた紙に包んで袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で三日から五日は持ちます。量が多いときは、さっとゆでて冷凍するか、しょうゆ漬けにすると香りを長く楽しめます。
| 用途 | 扱い方 | 持つ期間 |
|---|---|---|
| すぐ食べる | 湿らせた紙に包んで野菜室 | 三日から五日 |
| まとめて残す | さっとゆでて小分けに冷凍 | 一か月ほど |
| 香りを残す | 生のまましょうゆに漬ける | 冷蔵で二週間から一か月 |
株分けで確実に増やす
行者にんにくは年を追うごとに子株ができ、数年で株がひとかたまりになります。込み合ったまま置くと葉が細るので、掘り上げて分けます。これが最も確実な増やし方です。
適期は涼しくなる十月で、休眠中なので株への負担が軽く済みます。掘り上げたら手で自然に離れるところで分け、無理に引きちぎらないようにします。
- 十月に掘り上げる
- 株から十五センチ離れた位置にスコップを入れ、根を切らないよう大きく掘り上げます。土は軽く落とします。
- 自然に離れる所で分ける
- 手で持って左右に開き、抵抗なく離れる場所で分けます。引きちぎると鱗茎が割れて腐りやすくなります。
- 一株ずつ植え直す
- 分けた株を十五センチから二十センチの間隔で植え直し、芽が二センチの深さになるようにします。
- 翌年は採らない
- 分けた株は根の張り直しに一年かかります。翌年の春は採らずに葉を残し、株を養います。
種を採ってまく方法
五月から六月に伸びる花茎に白い花が咲き、夏に黒い種ができます。種から育てると収穫までに五年以上かかりますが、株数を大きく増やすにはこの方法しかありません。
種は乾かすと発芽しにくくなるので、採ったらすぐにまきます。発芽は翌春で、一年目は細い葉が一枚出るだけです。数年は掘り返さない場所を選んでまきます。
- 黒く熟してから採る
- 実が割れて黒い種が見えたころに採ります。緑のうちに採ると発芽しません。数株分だけ花茎を残しておきます。
- 採ったらすぐまく
- 乾かすと発芽が落ちるので、その日か翌日にまきます。深さ一センチほどの浅い場所へ置きます。
- 苗床に名札を立てる
- 翌春まで芽が出ません。名札を立て、掘り返さない場所を選び、覆いをして乾かさずに越冬させます。
種を採らせた株はその年の消耗が大きくなります。種を採るのは充実した株だけにし、他の株は花茎を早めに切ります。
収穫でつまずいたときの立て直し
採ったら翌年の芽が細った、葉が固い、株が消えた。行者にんにくの失敗はほとんどが採りすぎで、戻すには年単位の時間がかかります。
- 翌年の芽が細くなった
- 採りすぎです。二年から三年は収穫を休み、六月の施肥と覆いを欠かさずに株を養い直します。
- 葉が固くて筋っぽい
- 採るのが遅れています。翌年は葉が開き切る前、四月下旬から五月中旬を目安に採ります。
- 採ったら株が消えた
- 葉を引き抜いて鱗茎ごと外れた可能性があります。以後は必ず地際で切り、引かないようにします。
- 分けた株が育たない
- 分けるときに鱗茎が割れたか、深植えです。芽の位置が二センチの深さか確かめ、深ければ浅く植え直します。
行者にんにくの収穫に使うもの
穫るときより、穫ったあとに困ります。入れるものと、しまうものを先に用意しておきます。
- 収穫ばさみ探す言葉「収穫ばさみ 野菜」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜7cm のステンレス製。先が丸いものは実を傷つけにくいです。
引きちぎると株のほうに傷が残り、そこから病気が入ります。次の実を穫るつもりなら、切って穫ります。
- 折りたたみコンテナ探す言葉「折りたたみコンテナ 20L」
- 規格の目安
- 20L 前後。使わないときに畳めるものが置き場所を取りません。
袋に入れると重みで下の実が潰れます。積み重ねられる箱なら、そのまま持ち帰れます。
- 鮮度保持袋探す言葉「野菜 鮮度保持袋 有孔」
- 規格の目安
- 厚さ 0.02mm 前後の有孔ポリ袋。葉物用と実物用でサイズを分けます。
穴のない袋に入れると蒸れて傷みます。穴あきの袋は湿りを保ちながら呼吸を通します。
- 新聞紙・保存箱探す言葉「野菜 保存 コンテナ 通気」
- 規格の目安
- 通気穴のある箱。根菜は新聞紙に包んで立てて入れます。
根菜と芋類は洗わずに土を落として乾かし、暗く涼しい場所に置くほうが長くもちます。
- よく切れる普通のはさみで足りる作物は多く、専用の収穫ばさみが要るのは硬い茎のものだけです。
- 真空保存機は、量が出るようになってから考えれば十分です。
行者にんにくの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は行者にんにくの育て方にまとめています。
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