実が付かない原因を切り分ける
ハスカップは自分の花粉では実になりません。別品種の花粉が必要で、しかも花が同じ時期に開いている必要があります。花が咲いたのに実が付かないとき、原因はおおむね三つに絞れます。
| 状態 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 一本しか植えていない | 自家不和合性 | 別品種を近くに植える |
| 二本あるが花期がずれる | 早生と晩生の組み合わせ | 花期が重なる品種を足すか、花粉を冷蔵保存して使う |
| 二本とも咲くが実が落ちる | 低温か虫不足 | 人工授粉と霜よけをする |
| 実は付くが小さくしなびる | 受粉が不十分で種が少ない | 花の数日目に筆で受粉する |
花期が重なる組み合わせを選ぶ
関東では3月上旬から下旬に咲きます。同じ北海道系でも早咲きと遅咲きがあり、一週間以上ずれると受粉の機会が減ります。苗を買うときは、店に花期の表示があれば同じ区分の二品種を、なければ同じ系統から二品種を選びます。三品種植えると、花期のずれをどれかが埋めてくれるので安定します。
品種の札に「早生」「中生」「晩生」とあれば、隣り合う区分どうしで組み合わせます。早生と晩生の二本だけでは花期が重なる日がわずかしかなく、実の付きが不安定になります。
- 開花日を記録する
- 各株の最初の花が開いた日と、最後の花が散った日を記録します。重なりが五日以下なら、翌年に三本目を足す判断材料になります。
- 重ならないときは花粉を保存する
- 早咲きの株の花を摘み、雄しべを紙の上で一日乾かして花粉を落とし、乾燥剤と一緒に冷蔵庫に入れます。一〜二週間は使えます。
人工授粉のやり方
三月は昼の気温が十度に届かない日も多く、ハチの活動が鈍いので、家庭では人工授粉をしたほうが確実です。晴れて風の弱い日の午前十時ごろ、花が開いて雄しべの先が黄色くなったころが適期です。
- 花粉の出る花を確かめる
- 雄しべの先を指で軽く触って、黄色い粉が付くかを確かめます。粉が付かない花はまだ早いか終わっているので、別の花を探します。
- 筆で別品種へ運ぶ
- 柔らかい筆か綿棒で一方の品種の花粉を取り、もう一方の品種の花の中心にある雌しべの先に軽く触れます。往復して両方の品種に付けます。
- 二〜三日おきに繰り返す
- 花は順に開くので、一回で終わらせず、開花中は二〜三日おきに繰り返します。全部の花を狙わず、枝ごとに数輪ずつで十分です。
花の中心が茶色く変わったら受粉時期を過ぎています。まだ白っぽく透き通った花を選びます。雨の日は花粉が流れるので、翌日の晴れを待って行います。
早春の寒さから花を守る
花自体はマイナス七度程度まで耐えるといわれますが、受粉した直後の幼果は霜で傷みます。関東では三月の遅霜が幼果に当たることがあるので、霜の予報が出た夜は覆いをします。
霜が当たったかどうかは翌朝に花を見て確かめます。花弁が水浸しのように透けて垂れていれば凍っています。凍った花は戻りませんが、まだつぼみの花は無事なので、以後の夜は必ず覆いをします。
| 場面 | 対策 | 外す目安 |
|---|---|---|
| 霜の予報の夜 | 不織布か寒冷紗を株全体にふわりとかける | 翌朝、日が当たり始めたら外す |
| 寒風が続く | 風上側に防風ネットを立てる | 四月に入ったら外す |
| 鉢植え | 軒下か玄関脇に移す | 花が終わり葉が開いたら戻す |
覆いをかけたままにすると虫が入れず受粉が落ちます。日中は必ず外します。
虫を呼ぶ工夫
三月に活動するのはミツバチよりマルハナバチや小さなハナアブです。近くに早春の花があると来やすくなるので、クロッカスやムスカリ、菜の花などを株の周りに植えておくと受粉の助けになります。殺虫剤は開花中は使いません。
鉢植えを二本並べているなら、開花中は鉢どうしを50センチ以内に寄せます。虫が一株から別の株へ移る距離が短いほど、自然の受粉だけでも実が付きやすくなります。
- 足元に早春の花を植える
- 前年の秋に球根やナバナを株の周囲一メートル以内に植えておきます。三月に花が続けば、虫が居着いてハスカップの花にも寄ります。
- 開花中は薬をまかない
- アブラムシが出ても、開花中は水で洗い流す程度にとどめ、殺虫剤は花が終わってから使います。
受粉後に実を確かめる
受粉がうまくいくと、花が散って一週間ほどで花の付け根が緑色に膨らみ始めます。膨らまずに黄色くなって落ちる実は受粉していません。四月中旬にどの程度残ったかを見て、翌年の品種追加や人工授粉の回数を判断します。
四月中旬に残った幼果が花の数の半分以上なら、翌年も同じやり方で十分です。三割を下回るなら、人工授粉の回数を増やすか、花期の重なる三本目を植える判断をします。
| 時期 | 見るところ | 判断 |
|---|---|---|
| 花後一週間 | 付け根の膨らみ | 緑に膨らめば受粉成功 |
| 四月中旬 | 残った幼果の割合 | 半分以下なら人工授粉を増やす |
| 五月上旬 | 実の大きさのそろい | 不ぞろいなら花期のずれを疑い品種を足す |
ハスカップの受粉に使うもの
1 本では実らない木があります。自分の木がそれに当たるなら、道具の前に相手の品種が要ります。
- 授粉用の毛ばたき探す言葉「人工授粉 毛ばたき 園芸」
- 規格の目安
- 柔らかい毛のはたき。梵天と呼ばれる授粉専用のものもあります。
花から花へ軽く触れて回ります。強くこすると花が傷むので、撫でる程度で十分です。
- 授粉用の花粉探す言葉「授粉用 花粉 果樹」
- 規格の目安
- 品種の合う花粉。石松子(増量材)と混ぜて使うものが多いです。
受粉樹を植える場所がないときの代わりです。品種の組み合わせが合わないと実らないので、そこを先に確かめます。
- 綿棒・小筆探す言葉「綿棒 授粉 園芸」
- 規格の目安
- 普通の綿棒か、細い筆。
花の数が少ないときは、1 輪ずつ確実に付けられます。品種を変えるときは新しいものに替えます。
- 1 本で実る品種なら、受粉の道具は要りません。まず自分の品種を確かめます。
- 受粉樹を近くに植えられるなら、人工授粉そのものが要らなくなります。
ハスカップの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はハスカップの育て方にまとめています。
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