肥料は年三回、時期で役割が違う
八朔は実を枝に付けたまま冬を越し、収穫と同時に翌年の花芽を作ります。ほかの果樹より長く実を養うので、肥料が切れると次の年の花が減り、隔年結果を招きます。三月の春肥、六月の夏肥、十一月の秋肥(お礼肥)の三回に分け、量は木の大きさで変えます。
| 時期 | 役割 | 量の目安(成木一本) |
|---|---|---|
| 三月上旬 | 芽出しと花を作る | 有機質の果樹用肥料を三握りから四握り |
| 六月中旬 | 実を太らせる | 同じ肥料をふた握り |
| 十一月上旬 | 収穫前の体力回復と翌年の花芽 | 同じ肥料をふた握りから三握り |
鉢植えは表の三分の一を目安にし、ゆっくり効く緩効性の化成肥料を鉢の縁に沿って等間隔に置きます。一度に多く与えるより回数を増やすほうが根を傷めません。
肥料を置く場所は枝先の真下
柑橘の細い根は、枝が広がっている外周の真下に集まっています。幹の際にまいても吸われません。枝先の真下を目安に、輪を描くように浅く土と混ぜます。八朔は樹冠が広がりやすいので、年々まく輪も外へ動かします。
- 枝先の真下に線を引く
- 一番外側の枝の先端から真下に落とした位置を目安に、幅三十センチの輪を想像します。そこに肥料をまき、移植ごてで表面の土と軽く混ぜます。
- マルチをめくって施す
- 株元に藁やバークを敷いているなら、一度めくって土の上に肥料を置き、戻します。マルチの上にまくと雨で流れて効きません。
- 施したあとに水をやる
- 乾いた土に置いたままでは肥料が溶けません。施したその日にたっぷり水をやり、肥料を土になじませます。
水やりは夏の実太り期に集中する
地植えの八朔は根付いてしまえば、普段の水やりはほとんど要りません。ただし七月から九月は実が急に太る時期で、この時期に二週間以上雨が降らないと実が小さいまま止まり、皮が厚くなります。葉がしおれてから水をやるのでは遅く、土が乾いてきたころに朝まとめて与えます。
| 時期 | 地植え | 鉢植え |
|---|---|---|
| 三月から六月 | 雨任せでよい | 表土が乾いたら鉢底から流れるまで |
| 七月から九月 | 十日雨がなければ一株二十リットル | 毎朝、真夏は夕方も |
| 十月から二月 | 不要 | 土が乾いて二日から三日おいてから |
実が枝に付いている冬も、鉢植えは完全には乾かしません。乾きすぎると実の中の袋がすかすかになります。
六月下旬から七月に摘果する
八朔は花が多く咲き、六月に自然に落ちる生理落果が終わったあとも実が多く残ります。すべて残すと一つひとつが小さく、翌年の花も減ります。七月上旬までに、葉八十枚から百枚に実一個を目安に摘み取ります。三百グラム以上の大玉に育てたいなら、この摘果(実の数を減らして残す実を大きくする作業)が最も効く手入れです。
- 傷のある実と小さい実から摘む
- 形がいびつな実、傷やかいよう病の斑点がある実、枝の内側の日が当たらない実から順に摘みます。上向きに付いた実は日焼けしやすいので、これも早めに落とします。
- 葉の数で残す実を決める
- 一本の枝に葉が三十枚あるなら実は一個、百枚なら一個から二個が目安です。数えるのが面倒なら、実と実の間隔が二十センチ以上あくように間引きます。
- 八月にもう一度見る
- 七月に残した実が肥大して枝が垂れてきたら、細い枝の実をさらに落とします。枝が地面に着く実は病気になりやすく、味も落ちます。
摘果を迷ったら多めに落とします。八朔は実が付きすぎた翌年に花が来ない性質が強く、少なめに残すほうが毎年安定します。
株元の管理と草取り
株元に草を茂らせると、夏の水と肥料を草に取られ、カミキリムシの隠れ場所にもなります。半径一メートルは草を抜き、藁やバークチップを五センチほど敷いて乾燥と地温の上がりすぎを防ぎます。マルチは冬の凍結よけにもなるので、十一月に厚くしておくと根が守られます。
- 梅雨明けにマルチを敷く
- 七月上旬、草を抜いた株元に藁かバークチップを敷きます。幹の周り十センチは空けて、幹が蒸れないようにします。
- 十一月に厚く足す
- 秋肥を施したあとにマルチを厚くします。根の周りの温度が下がりにくくなり、実の凍害も軽くなります。
実が小さい・酸っぱいときの原因
せっかく実が付いたのに小さい、収穫しても酸っぱくて食べられないという年は、水と肥料と実の数のどれかが崩れています。実の大きさと皮の厚さを見て原因を切り分けます。
| 実の姿 | 疑う原因 | 次の年にすること |
|---|---|---|
| 小さい実がたくさん付く | 摘果が足りない | 七月上旬までに葉八十枚に一個へ絞る |
| 皮が厚くごつごつしている | 肥料の窒素が多い、夏の水切れ | 夏肥を減らし七月から九月の水を切らさない |
| 大きいが酸が抜けない | 収穫が早い、貯蔵が短い | 一月以降に採って一か月以上追熟する |
| 去年は多く今年は花が無い | 隔年結果に入っている | 成り年の摘果を強め秋肥を必ず施す |
八朔の育てている間に使うもの
木の管理は、施肥と草の始末と、幹を守ることです。年に数回しかやらないぶん、道具は長く使えるものを選びます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 有機質肥料探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に、寒肥で 1〜2kg。実を穫ったあとのお礼肥に 300〜500g。
樹冠の外側の地面に、浅く溝を掘って埋めます。細い根は幹の近くではなく、枝先の真下に伸びています。量は樹種と樹齢で変わります。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- バーク堆肥(マルチング用)探す言葉「バーク堆肥 マルチング 40L」
- 規格の目安
- 40L 前後の袋。株元に厚さ 5cm ほど敷きます。
- 数量の目安
- 株元 1 ㎡ で 50L 前後。
夏の乾きと冬の凍結の両方を和らげます。年々分解して土に混ざるので、土壌改良も兼ねます。
- 幹に巻く防虫テープ探す言葉「カミキリムシ 幹 ネット 防虫」
- 規格の目安
- 幹に巻く網か、専用のテープ。地際から 50cm ほどを覆います。
テッポウムシ(カミキリムシの幼虫)は幹に卵を産みます。入られてからでは手の打ちようが減るので、産ませないのが基本です。
- 草刈り鎌・三角ホー探す言葉「草刈り鎌 園芸」
- 規格の目安
- 刃渡り 15cm 前後の鎌か、刃幅 10〜15cm の三角ホー。
株元の草は、幹に虫を呼び込みます。株元 50cm だけでも空けておくと、幹の様子を確かめられます。
- 若木のうちは寒肥だけで足ります。実を穫るようになってからお礼肥を足します。
- 除草剤は幹の近くでは使わないほうが無難です。根が吸います。
八朔の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は八朔の育て方にまとめています。
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