切る量は去年の実の数で決める
八朔は実が多く付いた翌年に花が減る隔年結果(成り年と裏年を交互に繰り返すこと)が出やすい柑橘です。剪定の量は決まった数字ではなく、去年どれだけ実が付いたかで変えます。成り年の後は枝を休ませるために少なめに切り、裏年の後は花芽の付いた枝を減らして翌年に備えます。
| 去年の状態 | 今年の切り方 | 狙い |
|---|---|---|
| 実が多く枝が垂れた(成り年) | 枯れ枝と混み枝だけ抜く | 木を休ませ来年の花芽を守る |
| 実が少なく枝が勢いよく伸びた(裏年) | 長く伸びた枝を三分の一切り戻す | 枝の数を絞って実を付けやすくする |
| 植えて三年以内 | 骨格の枝を三本から四本選ぶだけ | 木の形を作る |
去年の実の数を覚えていないなら、枝先を見て判断します。短い枝がたくさん出ているなら成り年の後、長い枝が一本立ちしているなら裏年の後です。
剪定は三月中旬から四月上旬
柑橘は落葉樹と違い、冬に切ると切り口から寒さが入って枝が枯れ下がります。芽が動き出す直前の三月中旬から四月上旬に一回だけ切るのが基本です。夏の剪定は、伸びすぎて徒長(枝が勢いよく上に伸びすぎること)した太い枝を根元から抜く程度にとどめます。
- 枯れ枝と内向きの枝を抜く
- まず枯れた枝、幹の内側に向かって伸びる枝、交差する枝を根元から切ります。ここまでで風通しが良くなるなら、その年はそれ以上切らなくても構いません。
- 徒長枝を根元で切る
- 真上に一メートル以上伸びた太い枝は花が付かず、養分を取るだけです。付け根から切ります。途中で切ると同じような枝が三本出て余計に混みます。
- 残す枝の先は触らない
- 八朔の花芽は前年に伸びた枝の先に付きます。残すと決めた枝の先端を切り詰めると、その年の花を落とすことになります。
切り口が直径二センチを超えたら癒合剤を塗ります。柑橘は切り口から枯れ込みやすく、放っておくと幹まで届きます。
骨格は開心自然形で低く保つ
家庭で管理しやすい高さは二メートル半までです。幹を一本立てず、地上五十センチから六十センチで三本から四本の主枝を外へ広げる開心自然形にすると、脚立なしで収穫と摘果ができます。八朔の実は重いので、主枝が斜め四十五度前後で立ち上がっていると枝折れしにくくなります。
- 主枝を三本から四本選ぶ
- 植えて二年目から三年目の春に、方向が重ならず太さのそろった枝を選びます。一本だけ太い枝があるなら、その枝の先を軽く止めて他の枝と勢いをそろえます。
- 高さは二メートル半で止める
- 主枝が目標の高さを越えたら、外向きの芽の上で切り戻します。毎年少しずつ低く保つほうが、一度に切り下げるより木への負担が軽くなります。
- 主枝の途中から出る枝を整理する
- 主枝から横に出る枝は三十センチから四十センチ間隔で残し、間の枝は付け根から切ります。実の付く枝を平らに広げるつもりで残します。
枝を見て花芽と葉芽を見分ける
八朔の花芽は前年の春から夏に伸びた、長さ十センチから二十センチの充実した枝に付きます。春に切るときは、この枝を残すのが最優先です。細くて短い枝や、秋に伸びた柔らかい枝には花が付きにくいので、混んでいるならそちらを間引きます。
| 枝の姿 | 翌春に付くもの | 扱い |
|---|---|---|
| 十センチから二十センチで葉が濃く節が詰まる | 花芽が付きやすい | 残す |
| 五センチ以下の短い枝 | 花は付くが実は小さい | 混んでいれば間引く |
| 秋に伸びた柔らかく葉が薄い枝 | 花はほぼ付かない | 先を軽く切るか根元で抜く |
| 一メートル以上まっすぐ伸びた太い枝 | 花は付かない | 根元から切る |
枝を切るか迷ったら、日当たりを優先します。八朔の実は日が当たる外側の枝ほど大きく甘くなります。
剪定のあとの手当て
切った枝は放置せずに片付け、株元に散った葉も集めます。剪定の翌週に春の肥料を株元に施すと、切り口の下から新しい芽がそろって出ます。切りすぎたと感じたら、その年は肥料を控えめにして枝を暴れさせないようにします。
- 切り枝を片付ける
- 枝をそのまま株元に置くと、カミキリムシの幼虫やカイガラムシの越冬場所になります。細かく切って可燃ごみか堆肥に回します。
- 春肥を与える
- 剪定後に有機質の果樹用肥料を一株あたりふた握りから三握り、枝先の真下あたりに輪を描くようにまきます。幹の際に集めると根を傷めます。
切りすぎて実が付かないときの立て直し
強く切った翌年は、枝ばかり伸びて花が付かないことが多くなります。木は枯れていないので焦らず、伸びた枝を残して二年で元に戻します。逆に何年も切らずに実が付かなくなった木は、一度に切らず三年かけて低くします。
| 木の状態 | 疑う原因 | 立て直し方 |
|---|---|---|
| 枝が勢いよく伸びるが花が無い | 切りすぎで木が枝を作る状態に戻った | 翌春は枯れ枝だけ抜き、伸びた枝を残す |
| 内側の枝が枯れて外側だけに実が付く | 何年も切らず日が入らない | 三年かけて中央の太い枝から一本ずつ抜く |
| 実が小さく数だけ多い | 裏年後に枝を減らさなかった | 六月に摘果して来年の枝を作らせる |
| 切り口から枝が枯れ下がる | 冬に切った、または癒合剤なし | 枯れた部分の下で切り直し癒合剤を塗る |
三年以上放置した木を一年で低くすると、枯れるか三年間実が止まります。毎年三分の一ずつ低くするのが安全な目安です。
八朔の剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
八朔の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は八朔の育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。