症状から原因を絞る
八朔の不調は、葉に出るもの、実に出るもの、幹に出るものに分けると原因が絞れます。まず葉と実を近くで見て、どこに何が出ているかを確かめてから対処します。
| 症状 | 疑う原因 | まず確かめること |
|---|---|---|
| 葉に白い線がうねる | ハモグリバエ(エカキムシ) | 新葉に集中しているか |
| 葉と実に丸い盛り上がった斑点 | かいよう病 | 斑点の周りが黄色く縁取られているか |
| 葉がすすで汚れたように黒い | カイガラムシかアブラムシの排せつ物 | 枝に白や茶の粒が付いていないか |
| 幹の根元におがくず状のふん | カミキリムシの幼虫 | 幹に直径五ミリほどの穴が無いか |
| 実の一部が水っぽくしぼむ | 凍害 | マイナス三度以下の夜があったか |
| 葉が食われ黒い幼虫がいる | アゲハの幼虫 | 葉裏に黄色い卵が無いか |
かいよう病は雨とトゲで広がる
かいよう病は柑橘に多い細菌の病気で、葉と実にコルク状の盛り上がった斑点を作ります。雨のしぶきと風で広がり、枝のトゲや虫の食い傷から入ります。八朔は温州みかんより出やすい品種で、梅雨と台風の後に急に増えます。実に出ると食べられなくはないものの見た目が悪くなり、翌年まで菌が残ります。
- 病葉と病果を取り除く
- 斑点の出た葉と実は見つけ次第取り、ごみとして処分します。地面に落とすと雨で菌が跳ね上がって次の葉に付きます。
- トゲを切る
- 枝のトゲは風で葉と実を傷つけ、そこから菌が入ります。冬から春の剪定のときに、手の届く範囲のトゲをはさみで切り落とします。
- 風よけを作る
- 風で葉がこすれるほど広がります。北風と台風の当たる面に防風ネットか生け垣があると、発生が目に見えて減ります。
- 梅雨前に銅剤をまく
- 発生の多い木では、五月中旬と梅雨明けに果樹用の銅を含む殺菌剤を葉の表裏にかけます。雨の前日に済ませると効果が続きます。
かいよう病の斑点とそうか病の斑点は似ていますが、かいよう病は周りが黄色く縁取られ、中央がコルク状に盛り上がります。
カミキリムシは幹の根元を見て捕まえる
ゴマダラカミキリは六月から八月に幹の地際に卵を産み、幼虫が幹の中を食い進みます。放っておくと一本の木が二年で枯れます。株元に木くずのようなふんが落ちていたら、中に幼虫がいる合図です。成虫は昼間に幹や枝にいるので、見つけたら手で捕まえます。
- 六月から八月に幹を見回る
- 週に一度、地際から五十センチまでの幹を見ます。皮がかじられた跡や、産卵で付けられた小さな傷を見つけたら、その部分を削って卵を潰します。
- ふんを見つけたら穴を探す
- おがくず状のふんの上を探すと直径五ミリほどの穴があります。針金を差し込んで幼虫を刺すか、幹の穴に注入する果樹用の殺虫剤を使います。
- 株元に物を置かない
- 根元に剪定枝や草を積むと成虫の隠れ場所になります。地際が見える状態を保つと、産卵の傷を早く見つけられます。
アゲハとエカキムシは新芽の時期に手で取る
柑橘の若い葉はアゲハの幼虫とハモグリバエの幼虫(エカキムシ)が好みます。どちらも薬を使わなくても、新芽が伸びる四月から五月と八月から九月に毎朝見て手で取れば十分です。若い木は葉を食い尽くされると育ちが一年遅れるので、この時期だけは見回りの頻度を上げます。
| 見た目 | 正体 | 対処 |
|---|---|---|
| 葉裏に黄色い粒の卵 | アゲハの卵 | 指で潰す |
| 鳥のふんに似た黒白の幼虫 | アゲハの若い幼虫 | 割りばしでつまんで取る |
| 緑色の大きな幼虫 | アゲハの終齢幼虫 | 一晩で葉を食い尽くすので必ず取る |
| 新葉に白い線がうねって縮れる | エカキムシ | 線の先端の幼虫を指で潰すか葉ごと取る |
成木は多少食われても実に影響しません。植えて三年以内の木だけ丁寧に守れば十分です。
カイガラムシとすす病
葉や実が黒いすすで覆われたようになっていたら、カイガラムシかアブラムシの排せつ物にかびが生えたすす病です。すす病そのものは拭けば落ちますが、元の虫を減らさないと繰り返します。枝に白や茶色の小さな粒がびっしり付いているなら、カイガラムシが原因です。
- 歯ブラシでこすり落とす
- 枝に付いたカイガラムシは殻で守られており、薬が効きにくいので古い歯ブラシでこすり落とします。数が多い枝は切り取ります。
- 冬にマシン油乳剤をかける
- 一月から二月に果樹用のマシン油乳剤を枝全体にかけると、越冬中の虫を減らせます。三月以降の新芽には薬害が出るので時期を守ります。
- 枝を透かして風を通す
- 混み合った枝の内側に発生が集まります。三月の剪定で内側の枝を抜き、日と風が通るようにすると翌年から減ります。
凍害と日焼けの見分けと戻し方
八朔の実は冬に枝に付いているため、寒さの害を受けやすい柑橘です。実の一部が水っぽくしぼむ、皮が浮いて中がすかすかになるのは凍害で、病気ではありません。夏に実の上面が茶色く硬くなるのは日焼けです。どちらも薬では治らず、環境で防ぎます。
| 実の状態 | 原因 | 戻し方・次の年の対策 |
|---|---|---|
| 皮が浮き中の袋が水っぽい | マイナス三度以下の凍害 | 早めに採って果汁に回し、翌年は寒波前に採る |
| 袋の一部が茶色く苦い | 凍った後に解けた | 十二月から寒冷紗で木全体を覆う |
| 実の上面が茶色く硬い | 夏の日焼け | 上向きの実は七月の摘果で落とす |
| 葉が縮れ枝先から枯れる | 木そのものの寒害 | 枯れた枝を四月に切り戻し、株元にマルチを厚く |
凍害を受けた実は貯蔵しても直りません。傷んだ実を一つ入れると箱の中で腐りが広がるので、貯蔵前に選別します。
八朔の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は八朔の育て方にまとめています。
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