二つの作業の役割を分ける
クロマツは一年に一回しか枝を伸ばさず、切った場所からは新しい芽が出にくい木です。そのため、伸びてから切るのではなく、伸びる前の芽の段階で量を調整します。春の新芽を摘む作業がみどり摘み、秋に古い葉をむしって日当たりを作る作業がもみあげで、この二つを毎年繰り返すと枝が短く密に保てます。
| 時期 | 作業 | 目的 |
|---|---|---|
| 4月中旬〜5月上旬 | みどり摘み | 新芽を短くし、枝の伸びを抑える |
| 6月中旬〜7月上旬 | 芽切り (仕立て木のみ) | 二番芽を出して葉を短くする |
| 11月〜12月 | もみあげ | 古葉を取り、日と風を通す |
| 11月〜2月 | 枝の透かし | 不要な枝を付け根から抜く |
みどり摘みは芽がろうそく状に伸びたころ
四月に入ると枝先の芽が白っぽいろうそくのように上へ伸びます。葉がまだ開かず、芽が五〜十センチになったころが摘みどきです。指で折れるほど柔らかいうちに、根元から折り取るか長さを詰めます。葉が開いてからでは固くなり、はさみで切ると切り口が茶色く残ります。
- 芽の本数を減らす
- 一つの枝先に三〜五本の芽が出ます。中央の一番太い芽を根元から折り取り、両脇の細い芽を二本残します。中央を残すと枝が上へ突っ走ります。
- 残した芽の長さを詰める
- 残した芽が長いなら、指で三分の一から半分に折って短くします。弱い枝の芽は摘まず、強い枝ほど強く摘むと全体の勢いがそろいます。
- 下枝は弱く、上枝は強く
- クロマツは上の枝ほど勢いが強く、下枝は弱りやすい木です。上部の芽は強く摘み、下枝の芽は残し気味にして、樹形の均衡を保ちます。
みどり摘みは一日で終えず、芽の伸びを見て二〜三回に分けても構いません。弱い枝は後回しにします。
もみあげで古葉を取る
十一月ごろ、前年以前の葉が黄ばんで落ちる時期に、枝に残った古葉を指でしごいて取ります。今年の葉は残し、枝の下側と内側の葉を中心に取ると、枝の付け根まで光が入り、翌年の芽が付きやすくなります。取り残した古葉は蒸れの元になり、害虫のすみかにもなります。
- 葉の付け根を持ってしごく
- 枝先から根元へ向かって、古葉を指の腹でしごき落とします。今年の葉は緑が濃く付け根が締まっているので、色の違いで見分けます。
- 今年の葉も間引く
- 勢いの強い枝は、今年の葉も三分の一ほど抜いて弱めます。葉数を減らした枝は翌年の芽が弱まるので、樹形の均衡を取るのに使えます。
- 残す葉の量の目安
- 一つの芽に対して葉を十〜十五対残すのが目安です。取りすぎると枝が枯れ込むので、心配なら多めに残して翌年に調整します。
透かし剪定は枝の付け根から
枝が混み合ったら、冬の間に不要な枝を付け根から切り取ります。途中で切ると芽が出ずに枯れ枝になるので、必ず分岐点で切ります。切るのは、内側に向かう枝、上に立つ枝、他の枝と交差する枝、同じ場所から三本以上出ている枝の真ん中です。
- 立ち枝と内向き枝を抜く
- 真上に伸びる枝と幹の内側へ向かう枝は、樹形を乱すので付け根から切ります。切り口が大きいなら癒合剤を塗って乾燥を防ぎます。
- 車枝は一本か二本に
- 同じ場所から放射状に出た枝は、残す一〜二本を決めて他を抜きます。その部分が太くこぶになるのを防げます。
- 一度に三割まで
- 一年に切る量は全体の三割までに留めます。それ以上抜くと翌年の芽が弱り、株全体の勢いが落ちて回復に数年かかります。
枝を切りすぎたときの立て直し
葉のない部分まで切り戻すと、クロマツはその枝から芽を出せず枯れ込みます。切りすぎに気づいたら、まず残った枝の葉を大切にし、翌年のみどり摘みを弱くして芽を伸ばさせます。二〜三年かけて枝が再び埋まるのを待つのが唯一の戻し方です。
| 状態 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 切った枝に葉がなく芽が出ない | 葉のない所まで切り戻した | その枝はあきらめ、隣の枝で埋める |
| 新芽が細く短くなった | みどり摘みが強すぎた | 翌春は摘まずに伸ばし、秋に整える |
| 下枝が枯れ上がる | 上部が茂りすぎて光が届かない | 上部を強く透かし、下枝の葉は残す |
| 樹形が上に間延びする | 頂芽を残して脇芽を取った | 翌春は頂芽を抜き、脇芽を残す |
道具と後始末
松やにが道具に付くと切れ味が落ち、次に切った枝の切り口を傷めます。作業後は刃を布でぬぐい、油を薄く塗っておきます。手にもやにが付くので、作業前に軍手ではなく薄い手袋を着けるとしごき作業がしやすくなります。
- 小枝は指、太枝ははさみ
- みどり摘みともみあげは指で行い、鉛筆より太い枝だけ剪定ばさみを使います。指で折る方が切り口が自然に治ります。
- 落ちた葉は集める
- もみあげで落とした葉を根元に残すと、病気や害虫の越冬場所になります。作業後に掃き集めて処分します。
- 切り口は乾かす
- 太い枝を切った切り口は、やにが出て自然にふさがります。癒合剤を塗るのは直径三センチを超える切り口だけで、小さな切り口は塗らずに乾かした方が治りが早いです。
クロマツの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
クロマツの上手に育てるコツは作物ページに
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