目指す姿を先に決める
クロマツの仕立ては、直幹で真っすぐ立てるか、模様木として幹を曲げるか、庭木として横に広がる段作りにするかで、最初の数年の作業が変わります。植え付けの前に目指す姿と将来の大きさを決めておくと、あとで大きく切り戻す失敗が減ります。
| 目的 | 向く仕立て | 最初にすること |
|---|---|---|
| 庭の主木にする | 段作り (枝を横に広げる) | 幹を一本に決め、枝を三〜五段に絞る |
| 玄関脇に小さく | 模様木 (幹を曲げる) | 若木のうちに幹に針金をかける |
| 鉢で楽しむ | 鉢仕立て (盆栽風) | 葉の短い系統を選び、鉢で根を制限する |
| 生け垣・目隠し | 向かない | 他の常緑樹を選ぶ |
幹の曲げは若木のうちに
幹を曲げられるのは、幹の太さが指くらいまでの若木の間です。曲げたい方向に針金を巻き、少しずつ曲げて固定します。針金は幹に食い込む前、半年から一年で外します。太くなってからは曲がらず、無理に曲げると幹が裂けます。
- 針金は下から上へ
- 幹の根元に針金の端を差し込んで固定し、四十五度の角度で上へ巻きます。太さは幹の三分の一程度のアルミ線が扱いやすいです。
- 曲げるのは秋か早春
- 枝が固まった十月から十一月、または芽が動く前の二月から三月に曲げます。芽が伸びている最中は樹皮がはがれやすく避けます。
- 食い込む前に外す
- 月に一度は針金の跡を確かめ、幹に線が付き始めたら外します。跡が残ると数年消えません。
曲げた直後は水を控えめにし、日陰で一週間休ませます。折れた場合は折れた上を切り、下の枝を新しい幹にします。
枝の段を作る
クロマツの枝は幹の同じ高さから輪になって出ます。段作りでは、一つの高さから左右へ一本ずつ、または一本だけを残し、他を付け根から抜きます。段と段の間隔は下ほど広く、上ほど狭くすると、自然な三角形の姿になります。
段の枝は放っておくと先端ばかり伸びて根元側の葉が落ち、傘のように葉が先だけになります。枝先を毎年のみどり摘みで短く抑え、根元側の小枝を生かすことで、枝全体に葉が付いた厚みのある段になります。
- 一段目は最も太く長く
- 一番下の枝を最も長く伸ばし、上の段ほど短くします。下枝の芽は摘まずに伸ばし、上部の芽は強く摘んで均衡を取ります。
- 正面から見て枝を選ぶ
- 正面を決め、正面に向かって突き出す枝と真後ろへ伸びる枝は抜きます。左右と斜め後ろへ出る枝を段の枝にします。
- 枝先は平らに整える
- 段の枝先は、みどり摘みで高さをそろえて平らな面を作ります。上に立つ芽を抜き、横へ広がる芽を残します。
鉢仕立てで小さく保つ
鉢で育てると根が制限されて葉が短くなり、小さな姿を保てます。用土は水はけを最優先にし、二〜三年ごとに植え替えて根を整理します。六月中旬から七月上旬に新芽を根元から切る芽切りをすると、短い二番芽が出て葉がさらに短くそろいます。
- 芽切りは勢いの強い枝から
- 強い枝を先に、弱い枝を一〜二週間後に切ると、二番芽の伸びがそろいます。株が弱っている年は芽切りを休みます。
- 二番芽は二本残す
- 芽切りの後、切り口から複数の芽が出ます。九月ごろ左右の二本を残して他を取り、翌年の枝を決めます。
- 鉢は浅めを選ぶ
- 深い鉢は水が抜けにくく根腐れしやすいので、幅に対して浅めの鉢を使い、底穴の上に必ず網と鉢底石を入れます。
樹形が崩れたときの戻し方
上ばかり伸びて下枝が枯れた、片側だけ茂った、枝が間延びしたといった崩れは、光の当たり方と芽の摘み方で起きます。クロマツは切り戻しで芽が出ないので、残っている枝を生かして数年かけて姿を作り直します。
| 姿 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 上部だけ茂り下枝が枯れた | 上部の芽を強く摘まなかった | 上部を強く透かし、下枝は摘まない |
| 片側だけ枝が伸びる | 日当たりが片寄っている | 鉢なら回す、庭木なら反対側の芽を残す |
| 枝の途中から葉が消えた | 内側の葉が日陰で落ちた | 枝先を短く保ち、内側に光を入れる |
| 幹が一本に絞れない | 二本の主幹を放置した | 細い方を早めに付け根から抜く |
仕立ての年ごとの目安
仕立てはひと冬で終わらず、三〜五年で骨組みを作り、以降は毎年の芽摘みと葉取りで維持します。焦って一度に切りすぎるより、毎年少しずつ整える方が確実です。
途中で目指す姿を変えたくなったら、冬の透かし剪定で少しずつ移行します。残っている葉のある枝から次の骨組みを選び、一度に大きく切らないことが、クロマツを枯らさない唯一の近道です。
| 時期 | 主な作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 一年目 | 幹の曲げ、主幹を一本に決める | 植え付け後は根の活着を優先 |
| 二〜三年目 | 段の枝を選び、不要枝を抜く | 一年に三割までの剪定 |
| 四〜五年目 | 枝先の面をみどり摘みで整える | 各段の高さがそろえば完成 |
| 以降毎年 | みどり摘み、もみあげ、透かし | 姿を保つ管理に移る |
クロマツの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
クロマツの上手に育てるコツは作物ページに
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