増やし方の選び方
イロハモミジやヤマモミジは秋に採った種をまくと翌春によく芽が出て、丈夫な苗になります。ただし赤葉や枝垂れなどの園芸品種は種から同じ性質が出ないので、品種を残すなら挿し木か取り木です。モミジの挿し木は他の花木より付きにくく、六月の緑枝挿しで五〜六割付けば上出来と考えます。取り木は時間がかかりますが、大きな株が確実に手に入ります。
| 方法 | 適期 | 向く場面 | 難しさ |
|---|---|---|---|
| 実生 | 10〜11月に取りまき | ヤマモミジなど原種、台木作り | 易しい |
| 挿し木 | 6月中旬〜7月上旬 | 園芸品種を数本増やす | やや難しい |
| 取り木 | 4〜6月 | 園芸品種を確実に、大きな株で | 時間がかかるが確実 |
実生の手順
十〜十一月に、翼の付いた種が茶色く乾いて落ち始めたら枝から採ります。乾かすと発芽率が落ちるので、翼を取ってすぐに赤玉土へまくか、湿らせた砂と混ぜて袋に入れ冷蔵庫で春まで保存します。冬の寒さに当たらないと芽が出ないので、鉢は屋外の軒下に置きます。三〜四月に一斉に芽が出て、本葉四〜五枚でポットに移します。
- 種を採ってすぐまく
- 翼を手でちぎり、赤玉土小粒に一センチ間隔で置いて五ミリほど土をかぶせます。乾かさないよう毎日霧を吹き、屋外の軒下で冬を越します。
- 春まで冷蔵する場合
- すぐまけないときは湿らせた砂と混ぜて袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。二月下旬に取り出してまくと三月に芽が出ます。
- 本葉四枚でポットへ
- 本葉が四〜五枚になったら一本ずつ三号ポットに移します。根が細いので土ごとすくって崩さないようにします。
- 二年育てて定植する
- 翌年の春に高さ三〇センチほどになったら庭か六号鉢へ植えます。葉の色や形は一本ずつ違うので、気に入った株を選べます。
六月の挿し木の手順
今年伸びた枝が緑からやや茶色に変わり始めた六月中旬〜七月上旬が適期です。枝を指で曲げてしなやかに戻るころが目安で、柔らかすぎると腐り、固くなりすぎると根が出ません。モミジは発根しにくいので、発根促進剤を切り口に付け、透明な袋をかぶせて湿度を保ちます。発根まで二か月ほどかかり、その間の乾燥が最大の失敗原因です。
- 挿し穂を切る
- 今年の枝の先から一〇〜一二センチを、朝のうちに切ります。下の葉を落とし、上の葉を二〜三対残して、それぞれ半分に切ります。
- 発根促進剤を付ける
- 切り口を一時間水に浸けてから、市販の発根促進剤を薄く付けます。モミジは付けるかどうかで発根率がはっきり変わります。
- 赤玉土に挿して袋をかぶせる
- 肥料の入っていない赤玉土に割りばしで穴を空けて三センチ挿し、鉢ごと透明な袋で覆います。明るい日陰に置き、直射日光は避けます。
- 二か月後に確かめる
- 新芽が動いても根が出ていないことがあります。二か月たってから穂を軽く引き、抵抗があれば九月下旬〜十月にポットへ移します。
取り木で大きな株を確実に作る
四〜六月に、鉛筆より太い枝の途中の皮を幅一〜二センチ輪状にはぎ、そこを湿らせた水苔で包んでビニールで覆い、上下をひもで縛ります。秋までに水苔の中に根が回るので、翌年の三月に親株側の枝を切って、水苔ごと鉢に植えます。挿し木より確実で、一年で高さ五〇センチ以上の株が手に入ります。枝垂れ性の品種はこの方法が最も向きます。
- 皮を輪状にはぐ
- 枝の途中の皮を一〜二センチ幅でぐるりとはぎ、白い木質部を出します。皮が残っているとそこから塞がって根が出ません。
- 水苔で包む
- 水で戻した水苔を握りこぶし大に丸めてはいだ部分を包み、ビニールで覆って上下を縛ります。水苔が乾かないよう月に一度ビニールを開けて確かめます。
- 翌春に切り離す
- 秋にビニール越しに白い根が見えたら、翌年三月に親株側で切り、水苔を付けたまま六号鉢に植えて一か月は日陰で養生します。
うまくいかないときの原因
種が春に芽を出さないのは、種を乾かしてしまったか、冬の寒さに当てなかったか、まいた後に土が乾いたかのどれかです。翌年の実で、採ってすぐまいて屋外で冬を越す方法をやり直します。挿し穂が黒く腐るのは枝が柔らかすぎるか土に肥料が入っていた場合、乾いて枯れるのは日なたに置いたか袋をかぶせなかった場合です。取り木で根が出ないのは、皮のはぎ方が浅く形成層が残っていたか、水苔が乾いた場合です。
| 見た目 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 種が春に出ない | 乾かした、寒さに当てていない | 採ってすぐまき、屋外で冬を越す |
| 挿し穂が黒く腐る | 枝が柔らかい、土に肥料 | 枝の固さを確かめ、新しい土で挿し直す |
| 挿し穂が乾いて枯れる | 日ざし、袋なし | 袋をかぶせて日陰に置く |
| 取り木の根が出ない | 皮が残っていた、水苔が乾いた | はぎ直して水苔を湿らせる |
育てた苗を庭木にするまで
実生や挿し木で育てた苗は、二年目までは幹を伸ばすことに集中させ、枝は切りません。三年目の十二月に、幹の下三分の一の枝を抜いて一本立ちにするか、地際で切って株立ちに作り直すかを決めます。若い苗は葉焼けにも弱いので、庭に出すのは根が十分に回った二年目の二月〜三月上旬にして、最初の夏は寒冷紗で守ります。
実生の苗は一本ずつ葉の形や紅葉の色が違います。二年目の秋に色づきを見て、気に入った株を残し、他は生け垣や台木に使うと無駄がありません。
- 二年目は切らない
- 幹を太らせるため、二年目までは枯れ枝以外を切りません。根が十分に張ってから樹形を作り始めます。
- 三年目の冬に形を決める
- 一本立ちなら下枝を抜き、株立ちなら地際で切って翌春に出る芽から三〜五本を選びます。どちらも十二月に済ませます。
モミジの挿し木・接ぎ木に使うもの
木を増やす方法は挿し木と接ぎ木で、要るものが違います。まず自分の木がどちらで増えるかを確かめます。
- 挿し木用土(鹿沼土・赤玉土小粒)探す言葉「挿し木 用土 鹿沼土」
- 規格の目安
- 鹿沼土か赤玉土の小粒、単用。肥料分のないもの。
- 数量の目安
- 3 号ポット 1 個で 0.2L。
肥料分があると、根が出る前に切り口が傷みます。清潔で肥料のない土であることが条件です。
- 発根促進剤探す言葉「発根促進剤 挿し木 ルートン」
- 規格の目安
- 粉末を切り口に付けるタイプ。
木は草花より根が出にくく、種類によっては差がはっきり出ます。
- 接ぎ木用ナイフ探す言葉「接ぎ木ナイフ 園芸」
- 規格の目安
- 片刃で、刃の平らなもの。よく研げるもの。
接ぎ木は切り口の面が合うかどうかがすべてです。普通のカッターでは平らな面を作れません。
- 接ぎ木テープ探す言葉「接ぎ木テープ 園芸」
- 規格の目安
- 伸びて自然に劣化するタイプ。幅 20〜30mm。
接いだところを密着させ、乾燥を防ぎます。外し忘れると幹に食い込むので、劣化するものが安全です。
- 挿し木で増える種類なら、接ぎ木の道具は要りません。
- 苗木を買うほうが早く実を付ける木も多く、増やすのは趣味の範囲と割り切る選択もあります。
モミジの上手に育てるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はモミジの育て方にまとめています。
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