植える前に置き場所を決める
菊芋はヒマワリの仲間で、育つと二メートルから三メートル近くまで伸びます。地下では茎が横に走って次々と新しい芋を作り、掘り残した小さな芋から翌年もまた生えてきます。植えてから場所を悔やまないよう、先に置き場所と広がりの限界を決めます。
畑の隅、通路で区切られた区画、あるいは大きめの容器。この三つのどれかを選んでから種芋を買うのが正しい順番です。花壇の真ん中や、ほかの作物と地続きの畝に植えると、数年後には畑の一角が菊芋だけになってしまいます。
| 場面 | 向く育て方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 畑の隅で作る | 深さ四十センチまで板か波板で囲う | 囲いの外に出た芽は見つけ次第抜く |
| 通路で区切れる区画 | その区画をまるごと菊芋専用にする | 隣の畝との間を五十センチ以上あける |
| ベランダや庭先 | 四十リットル以上の深い容器で作る | 容器の底穴から根が地面へ逃げない置き方に |
菊芋は一度根づくと数年は生え続けます。来年もそこで作ってよい場所かどうかを、種芋を買う前に決めておきます。
三月から四月に種芋を植える
植え付けの適期は三月から四月です。関東の露地なら三月中旬から四月上旬が目安で、土が凍らなくなり、手で握って軽くほぐれるくらいまで乾いたころが植えどきになります。遅れても五月上旬までなら十分に育ちます。
種芋は握りこぶしより小さい、こぶし半分ほどの大きさで構いません。大きい芋は芽が二つか三つ付くように包丁で切り分けて使えます。切り口は半日ほど日陰で乾かしてから植えると、土の中で腐りにくくなります。
- 種芋を選ぶ
- しわが寄らず、しっかり硬い芋を選びます。芽の出っ張りが二つ以上あるものが確実です。しなびた芋は水を吸えず、芽が出ないことがあります。
- 深さ十センチに埋める
- 穴を深さ十センチほど掘り、芽の出っ張りを上に向けて置きます。土をかぶせて手のひらで軽く押さえ、地面と平らにならします。
- 株間は六十センチあける
- 背が高くなるので、株と株の間は六十センチから七十センチとります。詰めて植えると倒れやすく、芋も小さくなります。
- 植えた日に囲いを作る
- 後回しにすると茎が横に走り始めます。植え付けと同じ日に囲いを土へ差し込んでおくのが、いちばん楽な進め方です。
封じ込めが最初の仕事
菊芋の栽培でいちばん大事なのは、育てることではなく広がりを止めることです。地下の茎は一年で五十センチ以上も横へ走り、その先に新しい芋を作ります。掘り残しが一片でもあれば翌年そこから芽が出ます。
囲いは深さ四十センチまで土に差し込みます。浅いと下をくぐられます。容器で育てるのがいちばん確実で、掘り上げも容器をひっくり返すだけで済み、掘り残しがほぼ出ません。
| タイプ | 封じ込めの仕方 | 確実さ |
|---|---|---|
| 容器で育てる | 四十リットル以上の深い容器に一株だけ植える | いちばん確実。掘り残しがほぼ出ない |
| 板や波板で囲う | 深さ四十センチまで差し込み、継ぎ目を重ねる | 確実だが継ぎ目と囲いの下に注意 |
| 通路と畝で区切る | 周りを踏み固めた通路にして毎年掘り返す | 手間はかかる。見回りを続けられるなら可 |
土づくりはほとんど要らない
菊芋は荒れ地でも育つほど丈夫で、肥えた土も石灰も必要としません。むしろ肥料を入れすぎると背丈ばかり伸びて倒れやすくなります。前の作物の肥料が残っている畑なら、元肥(前もって入れる肥料)は入れなくて構いません。
気をつけるのは水はけだけです。雨のあと水がたまる場所では芋が腐ります。低い場所に植えるなら、高さ十五センチほどの畝を立てて水が抜けるようにしておきます。石が多い土でも問題なく育ちます。
- 深さ三十センチ耕す
- 芋は浅い場所にできますが、土がかたいと形がいびつになります。三十センチほど掘り返し、大きな塊をくずしておけば十分です。
- 肥料は入れなくてよい
- やせた土なら完熟堆肥をひとにぎり混ぜる程度にします。化成肥料を入れると茎ばかり伸び、倒れる原因になります。
- 水がたまる場所は畝を立てる
- 雨のあと水が引かない場所は、高さ十五センチほどの畝を立てます。水はけさえ確保できれば土質は問いません。
日当たりと周りへの配慮
菊芋は背が高くなるので、南側に植えるとその北側の作物が日陰になります。畑の北の端か西の端に植えて、ほかの畝に影を落とさないようにします。ベランダなら、夏の午後に手すりから頭が出ることも計算に入れます。
日当たりは半日でも育ちますが、日が少ないと茎が細く伸びて余計に倒れます。一日五時間以上日が当たる場所を選ぶと、太くしっかりした茎になり、芋の付きもよくなります。
- 畑の北か西の端に置く
- 夏の菊芋は生きた壁のようになります。北の端に一列並べると、ほかの畝への影を最小にでき、風よけにもなります。
- 隣の畝と五十センチあける
- 地下の茎が隣へ入るのを見つけやすくするため、間に通路を作ります。通路は毎年踏み固めておくと芽が出にくくなります。
- 容器は倒れない場所へ
- 背が高くなるので、風の通り道に置いた容器は丸ごと倒れます。壁ぎわや手すりのそばに寄せ、支柱を結べる場所にします。
植え付けでつまずいたときの切り分け
芽が出ない、一株だけ育たない、思っていた場所と違うところから生えた。植え付けのころの悩みはこの三つがほとんどで、原因が分かればその年のうちに手を打てます。
- 一か月たっても芽が出ない
- 種芋がしなびていたか、深く埋めすぎです。掘って芋を確かめ、やわらかく崩れていれば新しい芋を植え直します。
- 芽が出たのに伸びない
- 水がたまって根が傷んでいます。株の周りに溝を切って水を逃がし、土が乾いてくるかを数日見て判断します。
- 植えていない場所から芽
- 地下の茎が伸びた先か、前の年の掘り残しです。小さいうちに根ごと掘り取ります。放つと秋には芋を作ります。
- 囲いを作りそこねた
- 六月までなら間に合います。株の周りを半径四十センチで掘り、板を深さ四十センチまで差し込んで囲い直します。
菊芋の植え付けに使うもの
植え付けの日にそろっていないと後から張り直しになるのが、マルチと防虫ネットです。苗を買う前に用意しておきます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 穴あき 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が早いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。両端を埋めるぶんが要るので、畝の長さ + 1m で見ます。
地温を上げ、雨のはね返りを止め、雑草を抑えます。土からはねる泥は病気の入り口なので、病気が出やすい畑ほど効きます。
- マルチ押さえ(U 字ピン)探す言葉「マルチ押さえ ピン」
- 規格の目安
- 長さ 15cm 前後の鉄製。プラスチック製より風に強いです。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 20〜30 本。50cm 間隔が目安。
マルチは土をかぶせて留めるのが基本ですが、風の通る場所ではピンを足さないと一晩でめくれます。
- 防虫ネット探す言葉「防虫ネット 目合い1mm」
- 規格の目安
- 目合い 1mm、幅 180cm。トンネル支柱(長さ 210cm・直径 8mm)と合わせて使います。
- 数量の目安
- ネットは畝 1 本(3m)で 4m。支柱は 50cm 間隔で 7 本。
1mm はモンシロチョウやコナガなど、卵を産みに来る蛾や蝶を止めるための目です。アブラムシやアザミウマはこれでは通ります。狙う虫で目合いを決めてください。
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm のステンレス製。目盛りの付いたものは植え穴の深さを見るのに使えます。
根鉢と同じ大きさの穴を掘るための道具です。柄と刃が一体になっているものは曲がりません。
- 支柱を立てない作物なら、トンネル支柱は要りません。
- 穴なしマルチをカッターで開ければ、株間の違う作物にも 1 本で使い回せます。
菊芋の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は菊芋の育て方にまとめています。
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