一年の流れをつかむ
菊芋の一年は、春の植え付けと囲い、夏の倒れ対策、秋の花、冬の掘り上げの四つに分かれます。手がかかるのは春と冬だけで、夏は支柱を見回る程度で済みます。世話の少なさが菊芋の持ち味です。
掘り上げは葉が枯れてからです。焦って早く掘っても芋は太っておらず、収穫量が半分以下になります。地上部が枯れ込むのを見てから始めるのが目安になります。
| 時期 | 菊芋の姿 | すること |
|---|---|---|
| 3月〜5月 | 芽が出て五十センチほどに | 植え付け、囲い作り、草取り |
| 6月〜8月 | 二メートルを超えて茂る | 支柱、先端切り、台風前の見回り |
| 9月〜10月 | 黄色い花が咲く | 花を楽しむ。倒れに注意 |
| 11月〜3月 | 葉が枯れて地上部が倒れる | 必要な分だけ掘る |
月別のやることカレンダー
関東平野部の露地を目安にした一覧です。暖地では植え付けが二週間ほど早く、寒冷地では四月中旬からになります。掘り上げの終わりは、土が凍って掘れなくなる時期で決まります。
菊芋は数年同じ場所で作ることになりがちなので、植えた日と初めて掘った日を記録しておくと便利です。二年目からは自分の畑の数字で計画が立てられます。
| 月 | 主な作業 | ねらい |
|---|---|---|
| 3月 | 種芋の植え付け、囲いの設置 | 広がる前に区画を決める |
| 4月 | 芽が出る。芽の数を確かめる | 欠株があれば植え直す |
| 5月 | 草取り、敷きわら | 小さいうちに草を抑える |
| 6月 | 支柱を立てて結ぶ | 夏の倒れを先に防ぐ |
| 7月 | 先端を切って背を抑える | 風の受け方を減らす |
| 8月〜9月 | 台風前の結び直し、開花 | 折れを防ぎ、花を楽しむ |
| 10月 | 花が終わり葉が枯れ始める | 掘り上げの準備をする |
| 11月〜3月 | 必要な分だけ掘る | 土の中で貯蔵しながら使う |
三月から五月は植え付けと囲い
春にやることは植え付けと囲い作り、それに一度の草取りだけです。この時期に囲いを作りそこねると、その年の秋には区画の外へ広がってしまい、翌年から毎年抜き続けることになります。
四月に芽が出そろったら、植えた数と芽の数を照らします。芽が出ていない場所は掘って種芋を確かめ、腐っていれば五月上旬までに植え直します。
- 三月に植えて同日に囲う
- 深さ十センチに種芋を埋め、株間は六十センチ。同じ日に囲いを深さ四十センチまで差し込みます。
- 四月に芽の数を数える
- 植えた数と芽の数が合うかを確かめます。足りない場所は掘って種芋を見て、腐っていれば植え直します。
- 五月に一度だけ草を抜く
- 株元の草を手で抜き、刈った草を敷きます。株が大きくなれば日陰になり、草はほとんど生えなくなります。
六月から八月は倒れ対策
夏の菊芋は放っておいてもぐんぐん伸びます。水やりも追肥(育ちの途中で足す肥料)も要りませんが、伸びた分だけ風に弱くなります。六月に支柱、七月に先端切り、八月に結び直し。この三つだけを忘れずに行います。
この時期に囲いの外へ芽が出ていないかも見ておきます。見つけたら小さいうちに根ごと掘り取ります。放つと秋には芋を作り、翌年からその場所でも生えてきます。
- 六月に支柱を立てる
- 株が一メートルほどのころ、支柱を土へ四十センチ差し込み、三か所で八の字に結びます。
- 七月に先端を切る
- 一メートル半の高さで切って背丈を止めます。切ったあと横枝が出るので、混んだら細い枝を落とします。
- 八月は囲いの外を見回る
- 囲いの外に芽が出ていないかを月に一度見ます。見つけたら根ごと掘り取り、そこに芋を作らせません。
九月から十月は花の季節
九月から十月にかけて、菊芋は小ぶりのヒマワリのような黄色い花を次々と咲かせます。切り花にもなり、この時期の畑でいちばん目立つ存在になります。花が咲くころ、地下では芋が急に太り始めます。
花を楽しみたい分だけ残し、あとは切っても構いません。花を切っても芋の育ちは落ちません。むしろ株が軽くなって倒れにくくなるので、台風の前は切ってしまう方が安全です。
- 咲いたら切り花にする
- 朝のうちに、つぼみが開き始めた茎を切ります。水につけて数日楽しめます。切っても芋の育ちは変わりません。
- 台風前は花を落とす
- 花と葉が茂ると風をよけいに受けます。予報が出たら上部の花を切って軽くし、結び目を確かめます。
- 花が終わったら掘る準備
- 花が枯れて葉が黄色くなり始めたら、掘り上げの支度をします。掘るのは葉が枯れてからです。
十一月から三月は掘り上げ
地上部が枯れて茶色く倒れたら掘りどきです。菊芋は土の中が最良の貯蔵庫なので、一度に全部掘らず、食べる分だけそのつど掘るのがいちばん良い持たせ方になります。
ただし翌年も同じ場所で作らないなら、三月までに掘り切ります。小さな芋一片でも残れば、翌年そこから生えてきます。掘ったあとの土は何度もふるって確かめます。
- 枯れた茎を刈る
- 地際から十センチほど残して茎を刈ります。残した茎が目印になり、雪や落ち葉の下でも株の場所が分かります。
- 食べる分だけ掘る
- 株の外側から少しずつ掘り、必要な分を取ったら土を戻します。残した芋は春まで土の中で持ちます。
- 三月までに掘り切る
- その場所をやめるなら、芽が動く前に全部掘ります。掘った土は手でふるい、小さな芋も拾い切ります。
時期を外したときの立て直し
植えそこねた、支柱が間に合わなかった、掘るのを忘れた。菊芋は丈夫なので、たいていの遅れは取り返せます。それぞれの締め切りだけ押さえておきます。
- 植え付けが五月になった
- 五月上旬までなら問題なく育ちます。それ以降は芋が小さくなるので、翌年の三月まで待つ方が確実です。
- 支柱が間に合わない
- 背が高くなってから差すと地下を傷めます。代わりに先端を切って背を抑え、株元に土を寄せて固めます。
- 掘り忘れて春になった
- 芽が動き始めても掘れます。ただし芋の中身がすかすかになっているので、味は落ちます。早めに掘り切ります。
- 囲いを作りそこねた
- 秋までなら間に合います。株の周りを半径四十センチで掘り、板を深さ四十センチまで差し込んで囲い直します。
菊芋の栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
菊芋の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は菊芋の育て方にまとめています。
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