甘柿か渋柿か、まず品種を決める
柿は品種によって、木で完全に甘くなる完全甘柿、種が入ると甘くなる不完全甘柿、そして渋抜きか干し柿にして食べる渋柿に分かれます。関東平野部なら完全甘柿がそのまま食べられますが、寒冷地では秋の気温が足りず渋が残ることがあり、渋柿を干し柿にするほうが確実です。
| 品種 | タイプ | 特徴と向く地域 |
|---|---|---|
| 富有 | 完全甘柿 | 11月上旬〜中旬。果汁が多く定番。関東以西の暖地向き |
| 次郎 | 完全甘柿 | 10月下旬〜11月上旬。歯ごたえがあり日持ちする |
| 太秋 | 完全甘柿 | 10月中旬〜下旬。大玉でさくさく。落果しやすい |
| 禅寺丸 | 不完全甘柿 | 10月中旬。種が入ると甘い。受粉樹にも使う |
| 平核無 | 渋柿 | 10月中旬〜下旬。種なし。干し柿と渋抜きに。寒冷地も可 |
| 蜂屋 | 渋柿 | 11月上旬。大玉で干し柿の定番 |
完全甘柿は秋の平均気温が高い地域ほど甘くなります。東北や高地なら渋柿の干し柿が向きます。
一本で実がなるか、受粉樹が要るか
富有や次郎などの完全甘柿は雌花しか付けない品種が多く、受粉しなくても実がなる性質があるので一本で収穫できます。ただし受粉して種が入ったほうが落果しにくく、実も大きくなります。不完全甘柿は種が入らないと渋いままなので、雄花を付ける禅寺丸などを近くに植えます。
- 完全甘柿は一本でよい
- 富有、次郎、太秋は一本でも実がなります。庭に一本だけ植えるならこのどれかを選びます。落果が多いと感じたら受粉樹を足します。
- 不完全甘柿は受粉樹を
- 禅寺丸や西村早生は種が入らないと渋いので、雄花を付ける品種を五メートル以内に植えるか、開花期に雄花の付いた枝を吊るします。
- 渋柿は種なしを選べる
- 平核無は受粉しなくても実がなり、種なしになります。干し柿や渋抜きにするなら種がないほうが扱いやすいです。
苗の見方と買う時期
柿の苗は接ぎ木した一年生か二年生で売られています。接ぎ口がしっかりつながり、幹の太さが鉛筆以上で、根が黒く傷んでいないものを選びます。柿は根の再生が遅いので、掘り取り苗より根鉢付きのポット苗のほうが失敗が少なく、初心者にはおすすめです。
| 苗の状態 | 見るところ | 判断 |
|---|---|---|
| 接ぎ口 | つなぎ目がふくらまず一体化している | ぐらつく苗は避ける |
| 幹 | まっすぐで鉛筆以上の太さ | 曲がりや傷のある苗は避ける |
| 根 | 白〜淡い茶色で太い根が数本ある | 黒くて細い根ばかりなら避ける |
| 芽 | ふくらんで色つやがある | しなびた芽は乾燥している |
苗は十一月〜三月に出回ります。買ってすぐ植えられない場合は、根を湿らせて日陰に仮植えしておきます。
植える場所は日当たりと水はけ
柿は日当たりを好み、日陰では実が少なく甘さも落ちます。一日六時間以上日が当たる場所を選びます。根は深く太い直根が伸びるので、地下の障害物がなく、水はけがよい場所が向きます。成木は幅五メートルほどになるため、建物や隣地から三メートルは離します。
- 日照を確かめる
- 秋の晴れた日に午前と午後の日の当たり方を見ます。実が色づく九月〜十一月に日が当たることが甘さを決めます。
- 水はけを試す
- 三十センチの穴に水を入れ、一時間で引くかを見ます。引かなければ腐葉土と軽石を混ぜて土を入れ替えるか、高植えにします。
- 強風を避ける
- 柿の枝は折れやすく、台風で実が落ちます。北風や海風が強く当たる場所は避けるか、風よけを設けます。
植え付けの手順と直根の扱い
植え付けは落葉後の十二月〜三月上旬です。柿の根は切ると再生に時間がかかるので、できるだけ切らず、傷んだ部分だけを落とします。接ぎ口が土に埋まらないよう浅めに植え、植えたあと幹を五十〜六十センチの高さで切り詰めて根との釣り合いを取ります。
- 穴を大きく掘る
- 直径六十センチ、深さ五十センチほど掘り、掘った土に腐葉土を三割と元肥(植えるときに土へ混ぜる肥料)の緩効性肥料を混ぜます。
- 根を広げて置く
- 穴の中央に土を盛り、その上に根を放射状に広げて置きます。接ぎ口が地面より五センチ上になる高さに合わせます。
- 土を戻して水を注ぐ
- 土を戻しながら根の間に隙間ができないよう棒で突きます。最後にバケツ一杯の水を注ぎ、引いたらもう一度注ぎます。
- 幹を切り詰める
- 地上五十〜六十センチの芽の上で幹を切ります。もったいなく感じますが、これで根付きが早まり、低い位置から枝が出ます。
- 支柱と株元の覆い
- 支柱を立てて幹を結び、株元を腐葉土で五センチ覆います。一年目の夏は雨が一週間なければ水をやります。
鉢植えで育てるなら
柿は鉢でも育てられますが、直根が伸びる木なので深めの鉢が必要です。十号以上の深鉢に赤玉土六、腐葉土三、軽石一で植え、二〜三年ごとに根を整理して植え替えます。鉢植えは実を五〜十個に絞ると毎年収穫できます。
| 鉢の大きさ | 苗と実の目安 | 管理 |
|---|---|---|
| 10号深鉢 | 植え付け〜3年目。実は3〜5個 | 夏は毎日水やり。2年で植え替え |
| 12号深鉢 | 4年目以降。実は5〜10個 | 春秋に置き肥。3年で根を切り植え替え |
| ゴロ土入り大型プランター | 複数株の寄せ植えは不可 | 一株ずつ。移動には台車を使う |
植えたあと芽が出ない、しおれるときの手当て
柿は植えた年の芽吹きが遅く、四月下旬まで動かないこともあります。芽が出ないからと掘り返すのは禁物で、幹の皮を爪で少し削って緑なら生きています。一年目の夏は根が少ないため水切れしやすく、株元の覆いと水やりで乗り切ります。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 5月になっても芽が出ない | 根の乾燥、深植え | 幹を削って緑なら待つ。接ぎ口が埋まっていれば土を除く |
| 夏に葉が垂れる | 水切れ | 朝夕たっぷり水やり。株元の覆いを厚くする |
| 葉が黄色く落ちる | 過湿、根腐れ | 水を控え、周りに溝を掘って排水する |
| 接ぎ口の下から芽が出る | 台木の芽 | 見つけ次第かき取る。穂木の芽に養分を集める |
植えて一〜二年は実を付けません。三年目に花が咲いても数個に絞り、木を育てることを優先します。
柿の植え付けに使うもの
木は一度植えたら動かせません。植え穴と支柱をきちんと作るかどうかで、その後の何年かが決まります。
数量は苗木 1 本を単位にしています。
- 完熟堆肥・腐葉土探す言葉「完熟堆肥 バーク 40L」
- 規格の目安
- バーク堆肥か腐葉土。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つ(直径 60cm × 深さ 50cm)に 20〜30L を掘り上げた土と混ぜます。
穴を大きく掘って土を入れ替えるのが植え付けの本体です。ここを手抜きすると、根が広がらないまま何年も伸び悩みます。
- 支柱(添え木)探す言葉「園芸支柱 太い 180cm」
- 規格の目安
- 直径 25〜30mm × 長さ 180cm。1 本の添え木か、2 本の二脚(鳥居型)。
根が張るまでの 1〜2 年、風で株元が動くと細い根が切れ続けます。細い支柱では木の重さを支えられません。
- 樹木用の結束テープ探す言葉「樹木 誘引 テープ 幅広」
- 規格の目安
- 幅 20mm 前後の伸びる素材か、麻ひもと当て布。
幹は太ります。細いひもで縛ると食い込み、そこで水の通り道を締めてしまいます。幅の広いもので 8 の字に留めます。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 樹木」
- 規格の目安
- 粒状で長く効くタイプ。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つに 50〜100g。根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。
植え付け直後は根が傷んでいます。濃い肥料が触れると、そこから傷みが広がります。
- 鉢で育てるなら支柱は短いもので足ります。180cm の添え木は地植え用です。
- 植え穴に石を入れる必要はありません。水はけが悪いなら、盛り土にして高く植えるほうが効きます。
柿の上手に育てるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は柿の育て方にまとめています。
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