一年の流れを表で見る
柿は作業の時期がはっきりしている木です。剪定は落葉期、摘果は生理落果のあと、収穫は色づいてからと、木の姿を見て判断できます。関東平野部の露地を基準にした月ごとの目安です。
| 月 | 主な作業 | 目安と注意 |
|---|---|---|
| 1月 | 剪定、寒肥 | 混み枝を抜く。枝先は切らない |
| 2月 | 剪定の仕上げ、植え付け | 芽が動く前に終える |
| 3月 | 植え付けの終わり、鉢の植え替え | 芽がふくらむ。株元の覆いを足す |
| 4月 | 芽吹き、新梢の確認 | 台木の芽をかき取る |
| 5月 | 開花、摘蕾 | 一枝に蕾1〜2個。受粉樹があれば吊るす |
| 6月 | 生理落果、軽い剪定 | 自然に落ちる。徒長枝を抜く |
| 7月 | 摘果、追肥、水やり | 葉20〜25枚に実1個。乾いたら水 |
| 8月 | 水やり、ヘタムシの確認 | 落ちた実のへたを見る。台風前に枝を支える |
| 9月 | 枝の支え、台風対策 | 実が重くなる。傷んだ実を落とす |
| 10月 | 収穫(早生)、お礼肥 | 色づきと硬さで判断。鳥よけ |
| 11月 | 収穫(晩生)、干し柿作り | 富有は上旬〜中旬。渋柿は干す |
| 12月 | 落葉、剪定開始、寒肥 | 落ち葉を片付け、菌と虫を減らす |
寒冷地は全体を二〜三週間遅らせ、暖地は早めます。特に収穫は地域差が大きいので、月より実の色づきを優先して判断します。
十二月から二月、剪定と施肥
落葉して枝が見える冬は、剪定と寒肥の季節です。柿は枝先に花芽が付くので、間引きが中心で切り詰めは最小限にします。寒肥は枝先の真下に埋め、春からゆっくり効かせます。
- 落ち葉を片付ける
- 落ち葉には炭疽病の菌や虫の卵が残ります。集めて袋に入れ、庭の外へ出します。株元の覆いも新しくします。
- 混み枝と徒長枝を抜く
- 枯れ枝、交差する枝、真上に伸びる枝を根元から切ります。実をならせる充実した枝は先端を残します。
- 寒肥を埋める
- 枝先の下に深さ二十センチの穴を掘り、腐葉土と油かすを混ぜて埋めます。木の大きさに合わせて量を決めます。
剪定は晴れて乾いた日に行います。雨の日や雨上がりに切ると切り口から菌が入りやすく、炭疽病の発生源になります。
三月から五月、芽吹きから開花
三月に芽がふくらみ、四月に新しい枝が伸びます。五月には葉の付け根に白っぽい花が咲きます。花が多すぎる年は、この段階で蕾を減らしておくと、夏の摘果が楽になります。
- 台木の芽を取る
- 四月に接ぎ口より下から出た芽はすべてかき取ります。放置すると台木が勢いを取り、品種の枝が弱ります。
- 五月中旬に摘蕾
- 一枝に上向きで大きい蕾を一〜二個残し、ほかを摘みます。枝の付け根側と先端の蕾は落とし、中ほどの蕾を残します。
- 受粉樹を用意する
- 落果が多い木は、開花期に雄花の付いた枝を吊るします。近所に禅寺丸があれば分けてもらいます。
開花中の雨が多い年は受粉が進まず落果が増えます。天気の悪い年は摘蕾を控えめにして、実の数に余裕を持たせます。
六月から八月、摘果と水やり
六月下旬から七月上旬に木が自然に実を落とします。これが終わってから残す実を決めて摘果します。七月〜八月の乾燥は落果と実の小ささにつながるので、二週間雨がなければ水をやります。
- 生理落果を待つ
- 六月下旬に小さな実がぱらぱら落ち始めたら、それが止まるまで摘果を待ちます。早く摘果すると残した実まで落ちます。
- 七月中旬に摘果
- 葉二十〜二十五枚に実一個を目安に、傷のある実、変形した実、上向きの実を落とします。日当たりのよい側の実を残します。
- 追肥と水
- 摘果のあと追肥(育ちの途中で足す肥料)を少量まきます。八月は落ちた実のへたを見て、穴があれば虫の被害と判断します。
八月の落果は虫害のことが多いので、落ちた実は毎日拾って袋に入れ、へたに穴があるかどうかを確かめてから処分します。
九月から十一月、収穫と後始末
九月に実が急に大きくなり、枝が垂れます。支柱で支え、台風の前には傷んだ実を落とします。十月から品種に応じて収穫し、収穫後にお礼肥を与えます。
| 月 | 確かめること | 作業 |
|---|---|---|
| 9月 | 枝の垂れ、台風情報 | 支柱で支える。多すぎる実を落とす |
| 10月 | へたの周りまで色づいたか | 早生の収穫。鳥よけの網をかける |
| 11月 | 晩生の色づき、霜の予報 | 富有の収穫。渋柿は皮をむいて干す。お礼肥 |
収穫が終わったら落ちた実と落ち葉を必ず片付けます。翌年の病害虫の発生を大きく減らせます。
作業の時期を外したときの戻し方
柿は多少時期を外しても枯れませんが、実の数に響きます。何を外したかを整理して翌年の計画に組み込めば、一年で立て直せます。
| 場面 | 起きること | 戻し方 |
|---|---|---|
| 摘果を忘れた | 実が小さく、翌年ならない | 翌年は少なくても摘果し、隔年結果を止める |
| 冬に枝先を切った | 花が咲かない | 翌冬は間引きだけ。充実した枝の先を残す |
| 夏の水やりを怠った | 落果が増え、実が小さい | 株元を覆い、翌年は7〜8月の水を確保する |
| 落ち葉を片付けなかった | 翌年に病害虫が増える | 冬のうちに片付け、春に予防の薬を検討する |
柿の栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
柿の上手に育てるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は柿の育て方にまとめています。
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