とう立ちの仕組み
からし菜は、一定期間の低温に当たると株の中に花芽ができ、その後に日が長くなると花茎が伸びます。つまり、寒さで準備が整い、春の日照で一気に立ち上がる、という二段構えです。
この性質は品種によって強さが違います。同じ時期にまいても早く立つ品種と粘る品種があるので、春まきをするなら、とう立ちが遅いと書かれた品種を選びます。
| 作型 | とう立ちの時期 | 対応 |
|---|---|---|
| 9月まきの秋どり | 翌年3月 | 冬の間に葉を採り切る |
| 10月まきの越冬 | 翌年3月中旬 | 花茎も収穫として楽しむ |
| 3月まきの春どり | 5月 | 若いうちに採り切る |
春まきで早く立つ理由
三月にまいた株は、育っている途中でまだ寒い日に当たり、そこで花芽ができます。そのあとすぐ日が長くなるので、株が十分大きくなる前にとう立ちしてしまいます。
対策は、まく時期を遅らせて低温に当たる期間を短くすることと、若いうちに採り切ることの二つです。春まきは大株を作ろうとせず、短期で採る作型だと割り切ります。
春まきでも、寒さに当たる時間が短ければ大きく育ってから立ちます。ビニールのトンネルは保温だけでなく、風から守る役目もあるので、春先の生育が安定します。
- 四月に入ってまく
- 三月上旬より四月上旬にまくほうが、低温に当たる期間が短くなります。そのぶんとう立ちも遅れます。
- トンネルで保温する
- 三月にまくなら、ビニールのトンネルで保温して低温に当てないようにします。晴れた日は開けて温度を逃がします。
- 若採りで終える
- 春まきは草丈二十センチで採り切ります。大きくしようと粘ると、とう立ちのほうが先に来ます。
秋まきでとう立ちを遅らせる
秋まきの株は冬をはさむため、必ず春にとう立ちします。避けることはできないので、とう立ちが来るまでにどれだけ葉を採るか、という組み立てにします。
九月上旬にまけば十一月から収穫が始まり、三月のとう立ちまで四か月採り続けられます。まくのが遅いほど収穫できる期間が短くなります。
- 九月上旬にまく
- 秋の生育できる時間を最大限に使えます。十月にまくと株が小さいまま冬に入り、収穫量が落ちます。
- 冬に採り進める
- 十二月から二月にかけて外葉を採り続けます。とう立ちが来る前にできるだけ収穫を済ませます。
- 二月に見切る
- 二月下旬に株の中心を見て、茎が立ち始めていたら葉の収穫を終え、花茎に切り替えます。
肥料が切れると株が弱り、とう立ちが早まることがあります。二月に一度、薄い追肥を与えると立ち上がりが遅くなります。
とう立ちのサインを読む
とう立ちは突然起きるように見えて、その前に必ず前ぶれがあります。株の中心を見る習慣をつけておくと、収穫の切り替えを早めに判断できます。
前ぶれの段階で葉を採り切れば無駄になりません。気づかずに放っておくと、葉が硬くなり花も咲いて、どちらも中途半端になります。
| 姿 | 段階 | すること |
|---|---|---|
| 中心の葉が立ち上がる | 花芽ができ始めた | 外葉の収穫を急ぐ |
| 中心に太い茎が見える | とう立ちの始まり | 葉の収穫を終える |
| 茎が十五センチ伸びた | 花茎が採りごろ | つぼみのうちに摘む |
| 黄色い花が開いた | 収穫終了 | 株を片づけて土を休ませる |
とう立ちを利用する
とう立ちは失敗ではありません。からし菜の花茎はやわらかく甘みがあり、辛味もおだやかで、菜の花として立派な収穫物になります。むしろこれを目当てに越冬させる人もいます。
つぼみを摘むとわき芽から次の花茎が出るので、三月の一か月で何度も採れます。葉の収穫が終わったあとの、もうひとつの旬だと考えると作型が組みやすくなります。
- 一番花茎を摘む
- 最初に立つ太い花茎を、つぼみが固いうちに手で折り取ります。ここを摘むことで次の芽が動きます。
- わき芽を伸ばす
- 摘んだ節の下から出るわき芽(茎の途中から出る新しい芽)を伸ばします。一週間おきに二番手、三番手の花茎が採れ、三月いっぱいは収穫が続きます。
- 花が咲いたら終える
- 花が開き始めたら味が落ちます。四月に入ったら株を抜いて片づけ、次の作物の準備をします。
- 花茎の太さを見る
- 一番花茎は太く、二番手からは細くなります。鉛筆より細い花茎になったら、収穫の終わりが近いと判断します。
早くとう立ちしたときの立て直し
思ったより早く立ってしまったときは、株を残しても葉は硬くなる一方です。粘るより切り替えたほうが、その年の収穫量は多くなります。
同じ畝にまき直すなら、アブラナ科が続くことになるので注意します。根こぶ病を避けるため、別の場所を使うか、時期をあけて別の科の作物をはさみます。
- 花茎に切り替える
- 葉を採るのをやめ、花茎の収穫に切り替えます。二週間から三週間は摘み続けられます。
- まき直しを判断する
- 四月上旬までなら、まき直して五月に若採りできます。それより遅いと暑さと虫で難しくなります。
- 場所を替える
- まき直すときはアブラナ科を作っていない場所を選びます。同じ場所を続けると根こぶ病が出やすくなります。
からし菜の育てている間に使うもの
植え付けたあとにやることは、追肥・除草・水やりの 3 つに集約されます。専用品より、切らさないことのほうが効きます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8 追肥」
- 規格の目安
- 粒状。ひとつまみがおよそ 5g、大さじ 1 がおよそ 10g です。
- 数量の目安
- 追肥 1 回で 1 ㎡あたり 30〜50g、畝 1 本で 50〜90g。1kg 袋なら 10 回以上もちます。
株から少し離した位置にまいて土と混ぜます。株元に直に置くと、濃さで根が傷みます。作物ごとの量は都道府県の施肥基準が正確です。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 液体肥料探す言葉「液体肥料 野菜 原液」
- 規格の目安
- 1000 倍に薄めて使う原液タイプ。800ml 前後の 1 本で、ジョウロ何十杯ぶんにもなります。
粒の肥料は効き始めるまで数日から 1 週間かかります。すぐ効かせたいとき、鉢やプランターで使います。
- 三角ホー(草かき)探す言葉「三角ホー 除草」
- 規格の目安
- 刃幅 10〜15cm、柄の長さ 120cm 前後。立ったまま使える長さを選びます。
雑草は根から抜くより、小さいうちに表土ごと削るほうが早く終わります。かがまずに済むので続けられます。
- 敷きわら・刈り草探す言葉「敷きわら 家庭菜園」
- 規格の目安
- 稲わら 1 束でおよそ 3〜4 ㎡ 分。刈った草を乾かしたもので代えられます。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 1 束の半分ほど。
夏の乾きと地温の上がりすぎを抑えます。マルチと違い、そのまま鋤き込んで土に返せます。
- 活力剤は肥料の代わりにはなりません。肥料を切らしていないなら急ぎません。
- 肥料は種類を増やすより、1 袋を切らさないほうが効きます。
からし菜の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はからし菜の育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。