秋まきを軸に考える
からし菜の作型は、九月にまいて冬に採る秋まきが中心です。三月にまく春まきもありますが、とう立ちが早く来るため、若い葉を短期間採るための作型と考えます。
秋まきなら、十一月から翌年三月まで四か月以上収穫が続きます。冬に採れる葉物として畑の空きを埋めてくれるので、家庭菜園では使い勝手のよい作物です。
| 作型 | まき時 | 収穫の時期 |
|---|---|---|
| 秋まき | 9月上旬〜10月中旬 | 11月〜翌3月 |
| 春まき | 3月中旬〜4月上旬 | 5月 |
| ベビーリーフ | 9月〜10月、3月〜4月 | まいてから四週間 |
月別のやること
関東平野部の露地を基準にした表です。寒い地方では秋まきを二週間ほど早め、暖かい地方では逆に遅らせます。株の姿を見ながら前後させます。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 3月 | 春まき、越冬株の花茎を摘む | つぼみが固いうちに摘む |
| 4月 | 春まきの間引き、越冬株を片づける | 花が咲いたら終わり |
| 5月 | 春まきの収穫 | 草丈二十センチで採り切る |
| 6月 | 畑を休ませる | アブラナ科以外を作る |
| 7月 | 土づくりの準備 | 堆肥を入れて耕す |
| 8月 | 石灰をまいて耕す | まく二週間前に済ませる |
| 9月 | 種まき、防虫ネット、一回目の間引き | まいた日にネットをかける |
| 10月 | 二回目と三回目の間引き、追肥 | 株間二十センチにする |
| 11月 | 収穫開始 | 草丈二十センチから採る |
| 12月 | 外葉のかき取り | 霜に当たると甘みが増す |
| 1月 | 収穫を続ける、強い霜は不織布 | 凍る日が続く時だけ覆う |
| 2月 | 収穫を終える準備、薄い追肥 | 中心の茎の立ち上がりを見る |
九月と十月がいちばん忙しい
この二か月に、種まき、防虫ネット、三回の間引き、二回の追肥が集中します。ここを丁寧にやれば、あとは冬の間ほとんど手がかかりません。
特に大事なのが、まいた日にネットをかけることと、間引きを遅らせないことです。どちらも一週間の遅れがそのまま収穫量の差になって出ます。
九月にまいた株は、十月の間にどれだけ根を張れるかで冬の収穫量が決まります。十一月に入ると生育がゆっくりになるので、それまでに手をかけ切るという段取りにします。
- まいた日にネット
- 種をまいて水をやったら、その日のうちにネットをかけます。翌日に回すと卵を産まれます。
- 本葉二枚で二回目
- 本葉が二枚から三枚になったら株間五センチに間引きます。混んだままだと徒長します。
- 本葉五枚で最終間引き
- 株間を二十センチから三十センチにし、同時に追肥(育ちの途中で足す肥料)をします。ここで株の大きさが決まります。
冬の管理
十二月から二月は、収穫しながら見守るだけの時期です。からし菜は寒さに強く、霜に当たるほど葉が厚くなって味も良くなります。過保護にしないほうが良い作物です。
積雪の心配がない関東平野部なら、覆いもほとんど要りません。氷点下五度を下回る日が続くときだけ、不織布を軽くかけて葉が傷むのを防ぎます。
- 凍った葉は採らない
- 朝に凍った葉を採ると細胞が壊れて水っぽくなります。日が当たって解けてから収穫します。
- 採る量を減らす
- 冬は葉の伸びが遅いので、一株から二枚までにとどめます。採りすぎると春まで持ちません。
| 状態 | 冬の手当て | 収穫 |
|---|---|---|
| 晴れて霜が降りる | そのまま | 朝の凍った葉は溶けてから採る |
| 氷点下が続く | 不織布をかける | 採る量を減らす |
| 雪が積もる | 雪が消えるまで待つ | 溶けてから傷んだ葉を外す |
地域による時期のずれ
表の時期は関東平野部が基準です。まき時は気温で決まるので、寒い地方ほど早く、暖かい地方ほど遅くずらすのが原則になります。
目安は、平均気温が二十度前後になるころにまくことです。地域の初霜の日から逆算して、二か月前にまくと考えても大きく外れません。
| 地域 | 秋まきの適期 | 冬の手当て |
|---|---|---|
| 寒い地方 | 8月下旬〜9月中旬 | トンネルで保温する |
| 関東平野部 | 9月上旬〜10月中旬 | 強い霜の日だけ不織布 |
| 暖かい地方 | 9月中旬〜10月下旬 | 覆いは不要 |
ベランダのプランターは、地面より冷えにくいぶん露地より一週間ほど遅くまいても間に合います。
計画がずれたときの直し方
まくのが遅れた、間引きを忘れた、といったずれは家庭菜園ではよくあります。取り返せるずれと取り返せないずれを見分けると、その年の収穫を無駄にせずに済みます。
まき時の遅れは、若採りに切り替えることでほとんど取り返せます。逆に間引きの遅れは株の姿に残るので、早めに気づいて手を打ちます。
- まき遅れは若採りに
- 十月下旬以降にまいたら、大株はあきらめてベビーリーフとして刈り取ります。四週間で収穫できます。
- 間引き遅れは急いで直す
- 混んだまま徒長した株は、太い株を残して一気に間引きます。遅くても本葉五枚までに直せば形が戻ります。
- 追肥忘れは薄く足す
- 葉が小さく色が薄いなら肥料切れです。薄めた液体肥料を一週間おきに二回与えると回復します。
からし菜の栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
からし菜の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はからし菜の育て方にまとめています。
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