最大の失敗要因は虫害
小松菜がうまくいかない理由の大半は、病気でも肥料でもなく虫です。アブラナ科の柔らかい葉は害虫にとって最上の餌で、発芽したその日から狙われます。葉物なので、食害された葉はそのまま商品価値も食べる価値も落ちます。
しかも小松菜は生育期間が20〜60日と短く、被害が出てから手を打っても間に合いません。芽が出るのを待ってからネットをかける、という順番が、そもそも間違っているという点が最も重要です。
| いまの状態 | 起きていること | 先に打つ手 |
|---|---|---|
| まだまいていない | これから飛来する | 種まきと同じ日に網を張る |
| 発芽したが網がない | 子葉が食われはじめる | その日のうちに張り、食害株を抜く |
| 網の中で虫が増えた | 閉じ込めたまま増えている | 開けて取り除き、卵の付いた葉を落とす |
発芽直後の子葉を食われた株は、その後ほぼ回復しません。虫対策は「守る」対策ではなく「最初から入れない」対策として設計します。
ネットは播種と同時に張る
キスジノミハムシは体長2ミリほどで、発芽したての子葉に小さな穴を無数にあけます。飛んでくるのは芽が出た後ではなく、土が動いた直後です。だからまき終えたその場でネットまで済ませます。
- 目合いは1ミリ以下
- キスジノミハムシもアブラムシも1ミリの網目を通ります。0.6〜0.8ミリの目合いを選ぶと、この2種をまとめて防げます。
- 支柱でトンネルにする
- 葉に密着させると網越しに産卵され、葉も傷みます。支柱で持ち上げ、株と網のあいだに空間をつくります。
- 裾を土で埋める
- すき間があれば必ず入られます。裾を土に5センチほど埋めるか、資材で全周を押さえて閉じ切ります。
- 開けるのは収穫のとき
- 間引きや追肥(育てている途中で足す肥料)のたびに開けると意味が薄れます。作業はまとめて短時間で済ませ、その場で閉じ直します。
季節ごとの警戒対象
相手は季節で入れ替わります。いつ何が来るかを知っていれば、被覆を外してよい時期と絶対に外せない時期の区別がつき、無駄な見回りも減らせます。
どの害虫も共通して、発見が早いほど手当ての費用が小さくなります。表の「出るサイン」を頭に入れておき、水やりのついでに葉裏まで見る習慣にします。
| 時期 | 主な相手 | 出るサイン |
|---|---|---|
| 4〜6月 | キスジノミハムシ | 子葉や本葉に小さな丸い穴 |
| 5〜9月 | アブラムシ | 新葉の裏に群れ。葉がべたつく |
| 6〜9月 | アオムシ・コナガ | 葉が透けて薄皮だけ残る |
| 9〜11月 | ヨトウムシ | 夜間に食害。日中は株元の土中 |
10月を過ぎても虫が完全にいなくなるわけではありません。ネットを外す判断は気温ではなく、収穫するかどうかで決めます。
入られてしまったときの対処
ネットの中で虫が増えたときは、閉じ込めた状態になるので放置すると被害が加速します。まず数を減らし、それから閉じ直すという順番で動きます。
- 葉裏を必ず見る
- アブラムシもコナガの幼虫も葉の裏にいます。表だけ見て「いない」と判断すると増えてから気づくことになります。
- 数が少ないうちに取る
- 見つけた群れは葉ごと取り除きます。数株分の葉を捨てるほうが、畝全体を諦めるより安く済みます。
- 食害株は畑から出す
- 抜いた株を畝に置いたままにすると、卵や幼虫がそこから戻ります。畑の外に持ち出して処分します。
- 間に合わなければ採る
- 収穫サイズに近いなら早採りが正解です。小さくても食べられる作物なので、粘って全滅させる意味がありません。
白さび病を出さない条件づくり
白さび病は葉の裏に白く盛り上がった斑点が並び、表側は黄色く抜けます。低温と多湿、そして株が濡れている時間の長さで発生が決まるため、秋の長雨と春先に集中します。
- 株間を詰めない
- 密植は株のあいだの風通しを奪い、葉が乾かない時間を長くします。間引きの遅れがそのまま発病条件になります。
- 窒素を効かせすぎない
- 葉が過剰に軟らかいと発病しやすくなります。追肥は間引きに合わせた量にとどめ、濃くしません。
- 水は朝にやる
- 夕方の水やりは夜間に葉を濡らしたままにします。朝にやれば日中に乾き、菌の条件から外れます。
- 畝を高くする
- 排水の悪い畑では畝を10〜15センチ高くします。根圏の過湿は株を弱らせ、発病の下地になります。
出た葉は伝染源になります。斑点を見つけたらその葉だけをちぎるのではなく、広がっている株ごと抜いて畑の外へ出します。
連作と畑の設計
小松菜は回転が速いぶん、同じ畝で続けてしまいがちです。アブラナ科を続けると根こぶ病や害虫の密度が上がり、年を追うごとに作りにくくなります。
- アブラナ科を続けない
- 大根、カブ、白菜、ブロッコリーはすべて同じ科です。輪作の順番はこれらをまとめて1枠と数えます。
- 1〜2年あける
- 同じ畝でのアブラナ科は1〜2年あけます。区画が狭いなら、プランターを混ぜて逃がすのが現実的です。
- 酸度を下げすぎない
- 根こぶ病は酸性土で出やすくなります。ペーハーを6.0〜6.5に保つことが、そのまま予防になります。
- 残さを畑に残さない
- 収穫後の株元や落ち葉を残すと、病害虫の越冬場所になります。収穫が終わった畝はその日のうちに片づけます。
小松菜の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は小松菜の育て方にまとめています。
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