月別の種まきと収穫
小松菜は暖地なら3月から11月、寒冷地なら4月から9月が露地の基本です。表の空欄はまけないという意味ではなく、保温資材なしでは実用的な日数で採れないという意味になります。
| 月 | 暖地 | 中間地 | 寒冷地 |
|---|---|---|---|
| 1月 | トンネルでまける | 収穫のみ | 作業なし |
| 2月 | トンネルでまける | トンネルでまける | 作業なし |
| 3月 | まき始め | トンネルでまき始め | まだ早い |
| 4月 | まき・収穫 | まき始め | まき始め |
| 5月 | まき・収穫 | まき・収穫 | まき・収穫 |
| 6月 | まき・収穫 | まき・収穫 | まき・収穫 |
| 7月 | 高温期のまき | 高温期のまき | まき・収穫 |
| 8月 | 下旬から秋まき | 下旬から秋まき | まき・収穫 |
| 9月 | まきの最盛期 | まきの最盛期 | 秋まきの最終盤 |
| 10月 | まき・収穫 | まき・収穫 | 収穫のみ |
| 11月 | 保温してまく | 収穫が中心 | 収穫のみ |
| 12月 | 収穫と寒締め | 収穫と寒締め | 作業なし |
春から夏(3〜8月)の作業
春はまき時が広く日数も30〜40日と読みやすい季節ですが、気温の上昇とともに虫が一気に動き出します。3月と5月では別の作物のつもりで管理を変えます。
夏は20〜30日で収穫まで到達する一方、発芽不良と徒長(間のびして弱く伸びること)、そして虫害が同時に押し寄せます。作れる季節ではありますが、最も歩留まりが落ちる季節でもあります。
- 3月はまだ保温する
- 地温が上がりきらないので、べたがけかトンネルで覆います。露地に直まきすると発芽までに10日近くかかります。
- 4月からネットを必須に
- アブラムシとキスジノミハムシが動き始めます。まいた当日に防虫ネットをかけ、収穫まで開けません。
- 5月は日数が縮む
- 30日前後で収穫サイズに届きます。畝が空くのが早いので、次のまき付けの準備を先に済ませておきます。
- 春まき品種を選ぶ
- 低温にあたった株は気温上昇でとう立ち(花茎が伸びて葉や根が硬くなること)します。3〜4月まきはとう立ちの遅い性質をうたった品種を選びます。
- まく量を分散する
- 1週間ずらして少量ずつまきます。一度に大量にまくと、収穫適期の数日を逃した分がすべて硬くなります。
- 発芽まで遮光する
- 寒冷紗を浮かせてかけ、地温の上がりすぎを抑えます。発芽したら外し、代わりに防虫ネットに切り替えます。
- 梅雨は畝を高くする
- 畝を10〜15センチ高くして排水を確保します。過湿は白さび病と根の傷みを同時に招きます。
- 8月下旬が転換点
- 下旬にまいた分から作りやすさが変わります。秋の主力にするならここから本数を増やします。
秋(9〜10月)の作業
9月から10月が小松菜の最適期で、生育も速く品質も安定します。ただし虫が消えるのは10月下旬以降なので、防虫を早く外しすぎるとここで一気にやられます。
- 9月は本数を増やす
- 最も作りやすいので、家庭で食べる量の主力をここに置きます。30〜40日で採れる計算が立ちます。
- ネットは最後まで残す
- 気温が下がってもアブラムシは残ります。収穫の直前に外すのではなく、収穫のときに初めて開けます。
- 10月まきで年内どり
- 10月中にまけば年内に収穫できます。11月に入ると60日以上かかるため、年内どりはここが最終ラインです。
- 大株どりの株間にする
- 秋以降は日数をかけられるので株間を7センチほどに広げます。株元の太い、甘みの乗った姿になります。
冬(11〜2月)の作業
冬は生育がほぼ止まるため、まく季節ではなく「畑に置いて甘くする季節」と考えます。11月までに育てた株を寒さに当てると、糖度が上がって別物の味になります。
- 11月はトンネルへ
- 新たにまくならトンネルが前提です。露地のままだと発芽から収穫まで60日を大きく超えます。
- 12月は寒締めに使う
- 収穫サイズに達した株の被覆を外し、霜に当てます。葉が地面に寝るように広がり、甘みが濃くなります。
- 1月は少しずつ採る
- 畑が冷蔵庫代わりになります。必要な分だけかき取り、株は畑に残しておくと鮮度が落ちません。
- 2月にとう立ちが来る
- 日が伸びると花芽が立ち上がります。とう立ちの気配が出たら、残りは一気に採り切って畝を空けます。
ずらしまきの組み方
小松菜は収穫適期が短く、まとめてまくと同じ週にすべてが収穫適期を迎え、食べ切れない分が硬くなります。少量を何度もまく設計にすると、家庭で消費できるペースに合います。
| 季節 | まく間隔 | 1回にまく長さ |
|---|---|---|
| 春(4〜5月) | 10日おき | 1メートルの条を1本 |
| 夏(6〜8月) | 7日おき | 1メートルの条を1本 |
| 秋(9〜10月) | 2週間おき | 1メートルの条を2本 |
| 冬(11月以降) | まかず在圃で調整 | 畑に置いて順次かき取る |
畝を区画で分けず、同じ畝の端から順にまいていくと、収穫した側から次をまけて畝が常に回ります。
記録しておくと効く項目
小松菜は年に何度も回せるので、記録が最も効く作物です。まいた日と収穫した日の差を季節ごとに残しておくと、翌年から自分の畑での日数で予定が組めます。
- まいた日と条の位置
- どの条にいつまいたかを残します。ずらしまきでは見た目が似ているので、記録がないと収穫順が分からなくなります。
- ネットをかけた日
- 播種と同じ日になっているかを確認する意味で残します。ずれた年には必ず虫害が出ているはずです。
- 収穫までの実日数
- 公称の日数ではなく自分の畑の実測を残します。翌年の同じ月のまき付け計画がそのまま立ちます。
- とう立ちを見た日
- 春先にとう立ちした日を残すと、翌年の春まきをどこで打ち切るかの判断材料になります。
つまずいた月ごとの立て直し方
小松菜は回転が速いぶん、判断が数日遅れるだけで一作を落とします。ただし、まき直しの機会も年に何度もあります。月ごとにどこで取り戻せるかを決めておくと、畝を空けたまま迷う時間が減ります。
- まき直しをためらわない
- 欠株の多い条は、埋めるより全部まき直すほうが早く終わります。夏なら二十日、秋なら四十日で収穫まで戻せます。
- 畝を空けておかない
- 失敗した条をそのままにすると、虫と雑草の居場所になります。抜いた日のうちに次の種をまくと、畝が止まりません。
- 収穫が重なったら
- 同じ週に適期がそろってしまったら、小さいうちから順に採ります。置いて大きくするより、早採りのほうが味も日持ちもよいです。
- 翌年の暦を直す
- つまずいた月と実日数を並べて見ると、自分の畑での適期が見えます。公称の日数ではなく、この記録で翌年の計画を組みます。
| つまずいた月 | 起きること | 戻し方 |
|---|---|---|
| 3月に露地でまいた | 発芽まで十日以上かかる | べたがけをかけ、次は保温してからまく |
| 6月にネットが遅れた | 子葉が食われて欠株する | その条を抜いてまき直し、当日に張る |
| 9月にまとめてまいた | 同じ週に全部が適期になる | 早採りで分散し、次は一週間ずらす |
| 11月に露地でまいた | 六十日たっても採れない | トンネルに替え、年内どりはあきらめる |
取り返しがつかないのは、まき遅れよりネットの遅れです。虫に入られた条は、まき直すほうが結局は早く済みます。
小松菜の栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
小松菜の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は小松菜の育て方にまとめています。
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