一年の流れを表で見る
金柑の一年は三月の剪定と施肥から始まり、七月から九月に開花、十一月から一月にかけて実が色づいて収穫となります。作業の山は春と夏で、冬は収穫と防寒だけです。
表の月は関東平野部の露地を基準にしています。寒冷地では春の作業を二〜三週間遅らせ、冬は鉢植えにして室内へ取り込みます。暖地では開花が半月早まり、収穫も十一月から始まることがあります。実際の木の姿を見て、表の月より木の状態を優先してください。
| 月 | 木の様子 | 主な作業 |
|---|---|---|
| 1月 | 実が完熟 | 収穫の続き、寒風よけ |
| 2月 | 休眠 | 何もしない。鉢は室内か軒下 |
| 3月 | 芽が動く前 | 剪定、春肥、植え付け準備 |
| 4月 | 新芽が伸びる | 植え付け、鉢は植え替え |
| 5月 | 新梢が伸びる | アブラムシの見回り |
| 6月 | 枝が充実 | 施肥、摘心、アゲハの幼虫取り |
| 7月 | 一番花が咲く | 水やり、カイガラムシ確認 |
| 8月 | 実がつき始める | 水やり、二番花 |
| 9月 | 実が太る | 摘果、三番花は摘む |
| 10月 | 実が緑から黄へ | 水やりを減らす |
| 11月 | 実が色づく | お礼肥、鳥よけ |
| 12月 | 実が熟し始める | 収穫開始、防寒 |
春(三月〜五月)
三月は剪定と春肥を済ませます。剪定は新芽が動く前に終わらせ、肥料は枝先の真下に施します。四月は植え付けと植え替えの適期で、桜が散るころに合わせて行うと根の動きが良くなります。冬の間に葉が傷んでいたら、新芽が出てから古い葉が落ちるのを待ちます。
- 剪定と施肥を同じ月に
- 三月上旬に剪定、下旬に施肥の順で行います。同時に行うと切り口から肥料の刺激が入ることがあります。
- 五月は新芽の虫を見る
- 柔らかい新芽にアブラムシが集まります。見つけたら水で洗い流すか、指でつぶします。放置すると葉が縮れます。
初夏(六月〜七月)
六月は施肥と摘心(枝の先を摘んで脇枝を出させる作業)の月です。伸び過ぎた新梢の先を摘み、花のつく短い枝を増やします。七月に白い一番花が咲き、香りが漂います。この花の実が一番大きく育つので大切にします。
梅雨の間は病気が出やすい時期でもあります。雨が続いたあとに葉に灰色の斑点が出ていないかを確かめ、見つけたら病葉を摘んで処分します。鉢植えは雨の当たらない軒下に移すだけで発生をかなり抑えられます。
- アゲハの幼虫を取る
- 六月から九月はアゲハが卵を産みに来ます。新芽の裏に黄色い小さな卵や黒い幼虫がいたら、割りばしで取り除きます。
- 梅雨明け後の水やり
- 梅雨が明けて十日以上雨が無いなら、地植えでも週に一回たっぷり与えます。実が太る時期の水切れは落果につながります。
夏〜初秋(八月〜九月)
八月は二番花が咲き、一番花の実が親指の先ほどになります。九月には三番花が咲きますが、この実は冬までに熟さないので摘みます。摘果は葉八枚から十枚に一果を目安にします。
台風の前には鉢植えを風の当たらない場所へ移し、地植えは支柱に結び直します。実が擦れて傷つくと、そこから腐りが入ります。台風が過ぎたら葉の裏まで水で洗い、潮風を受けた場合は特に念入りに流します。
| 時期 | 咲く花 | 実の扱い |
|---|---|---|
| 7月中旬〜下旬 | 一番花 | 最優先で残す |
| 8月中旬 | 二番花 | 一番花が少なければ残す |
| 9月中旬以降 | 三番花 | 熟さないので摘む |
猛暑で葉が丸まっていたら夕方にも水を与えます。ただし葉に水をかけると夕方の湿気で病気が出やすいので、株元にだけ注ぎます。
秋〜冬(十月〜二月)
十月に実が緑から黄色に変わり始めます。水やりを減らすと甘みが乗ります。十一月にお礼肥(収穫後に木を回復させる肥料)を施し、鳥よけのネットを用意します。十二月から一月が収穫の盛りで、皮が濃い橙色になった実から順に取ります。
関東平野部の地植えは防寒なしで越冬しますが、マイナス五度以下が続く年は寒冷紗を掛けます。鉢植えは軒下か玄関先など、寒風の当たらない場所に移します。
- 鳥から実を守る
- ヒヨドリが色づいた実を食べに来ます。十一月下旬までに防鳥ネットを木全体に掛け、裾を地面に留めます。
- 冬は水を控える
- 十二月以降は鉢植えでも五日から一週間に一回で十分です。冬に土が常に湿っていると根が傷み、春の芽出しが遅れます。
作業が遅れたときの立て直し
剪定を三月に済ませられなかったら、四月上旬までなら軽い間引きだけ行い、切り戻しは翌年に回します。施肥が遅れた場合は次の回に量を増やさず、予定通りの量で続けます。摘果を忘れて小さな実ばかりになったら、その年は全部収穫して甘露煮にし、翌年に摘果を徹底します。
| 遅れた作業 | いつまでなら可能か | 遅れたときの対応 |
|---|---|---|
| 剪定 | 4月上旬 | 間引きだけ行い切り戻しは翌年 |
| 春肥 | 4月中 | 量は増やさず通常量を施す |
| 摘心 | 7月中旬 | 過ぎたら翌年に回す |
| 摘果 | 9月中 | 遅れたら小さい実だけでも落とす |
| 防鳥ネット | 11月下旬 | 食べられ始めたらすぐ掛ける |
金柑の栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
金柑の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は金柑の育て方にまとめています。
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