系統で夏越しの難しさが決まる
ラベンダーは大きく四つの系統に分かれ、香りの強さと暑さへの弱さがほぼ反比例します。北海道の畑で有名なイングリッシュ系は香りが最も良い代わりに、関東平野部の蒸し暑い夏で株が蒸れて枯れやすい系統です。まずは自分の地域と置き場所で育てられる系統を選び、香りの好みは二番目に回すのが失敗しない順番です。
| 系統 | 暑さ | 寒さ | 向く地域と場所 |
|---|---|---|---|
| イングリッシュ系(アングスティフォリア) | 弱い | 強い | 寒冷地の露地、関東は鉢で夏に日陰へ |
| ラバンディン系 | やや強い | 強い | 関東の露地でも育つ。大株になる |
| フレンチ系(ストエカス) | やや強い | やや弱い | 関東以西の露地や鉢。うさぎの耳の花 |
| デンタータ系(フリンジ) | 強い | 弱い | 暖地。関東は冬に軒下か室内へ |
苗の札に系統名がなく品種名だけのことがあります。花穂の形と葉の縁で見分けられるので、次の節を参考にしてください。
苗の姿で系統を見分ける
札が頼りにならないときは、葉と花の姿で系統を確かめます。イングリッシュ系は葉が細く灰緑色で、花穂は短く詰まります。ラバンディン系は葉が長く株が大きく、花穂の下にもう一段の小さな穂が付くことがあります。フレンチ系は花穂の先に大きな苞(花びらのような葉)が二枚立ち、デンタータ系は葉の縁が細かくぎざぎざです。
迷ったときは店の人に「関東の露地で夏を越せますか」と一言聞くのが早道です。品種名で答えられなくても、系統さえ分かれば夏越しの難しさは判断できます。札に「耐暑性あり」とあっても、関東の梅雨と真夏の蒸れは別物なので、鉢で動かせる前提で考えておくと安心です。
- 葉の縁を見る
- 縁がぎざぎざならデンタータ系です。なめらかで細いならイングリッシュ系かラバンディン系、やや幅があり緑が濃いならフレンチ系の可能性が高いです。
- 花穂の先を見る
- 穂の先に耳のような苞が立っていればフレンチ系です。苞がなく紫の小花だけが並ぶなら、イングリッシュ系かラバンディン系です。
- 株の大きさで判断
- 同じ鉢の大きさで葉が長く株が横に広がるならラバンディン系の目安です。イングリッシュ系はこぢんまりと丸くまとまります。
関東平野部で育てやすい品種
関東の露地で一番手堅いのはラバンディン系のグロッソです。株が大きく香りも良く、多少の蒸れに耐えます。イングリッシュ系でも、ヒッドコートやムンステッドは比較的暑さに耐えるとされ、鉢で夏に半日陰へ動かせば関東でも越せることが多いです。フレンチ系は暖冬の年なら露地で越冬しますが、寒波が来る年は霜よけが要ります。
| 品種 | 系統 | 特徴 |
|---|---|---|
| グロッソ | ラバンディン | 大株、香り強い、関東露地向き |
| ヒッドコート | イングリッシュ | 濃い紫、比較的暑さに耐える |
| ムンステッド | イングリッシュ | 小型で鉢向き、早咲き |
| アボンビュー | フレンチ | 苞が大きく花期が長い |
置き場所から逆算して選ぶ
ラベンダーはどの系統も日当たりと風通しが命ですが、夏の置き場所を動かせるかどうかで選べる系統が変わります。庭植えしかできないなら、関東ではラバンディン系かフレンチ系に絞るのが安全です。鉢で夏に移動できるなら、イングリッシュ系も選択肢に入ります。マンションのベランダは西日と照り返しが強いので、デンタータ系やフレンチ系の方が長持ちします。
初めての一株なら、関東平野部ではグロッソを鉢で育てるのが最も失敗が少ない組み合わせです。株が大きくなったら翌年に庭へ下ろすこともでき、香りも十分に楽しめます。
- 庭植えで動かせない
- 関東平野部ならラバンディン系を第一候補にします。株が大きくなるので、植える場所は直径六十センチ以上の余裕を見ておきます。
- 鉢で夏に動かせる
- イングリッシュ系も育てられます。七月から九月は午後に日陰になる風通しの良い場所へ動かす前提で選びます。
- ベランダで西日が強い
- 暑さに強いデンタータ系かフレンチ系を選びます。冬は霜が当たらない軒下側に寄せれば、関東なら越冬できることが多いです。
買った直後の失敗と立て直し
春の店頭に並ぶ開花株は、温室で早く咲かせたものが多く、急に屋外の強い日に当てると葉先が焼けます。買って一週間は明るい日陰に置き、少しずつ日に慣らしてください。また鉢の中で根が回りきっている株は、水を吸えずに下葉が黄色くなります。鉢底から根が出ていたら、花が終わるのを待たずにひと回り大きな鉢へ植え替えて構いません。
- 葉先が茶色く焼けた
- 急な直射日光が原因です。焼けた葉は戻りませんが、半日陰で一週間過ごさせて新しい葉が出れば回復します。
- 下葉が黄色く落ちる
- 根詰まりか水切れの目安です。鉢底を見て根が出ていれば植え替え、出ていなければ水やりの間隔を見直します。
- 株元がぐらつく
- 苗の根鉢が崩れて根が傷んでいます。深植えせず支えの小さな支柱を立て、風の弱い場所で根が張るのを待ちます。
ラベンダーの長く咲かせるコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はラベンダーの育て方にまとめています。
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