症状から原因を切り分ける
びわの不調は、枝、葉、実のどこに出るかで原因がほぼ分かれます。枝にこぶや割れがあればがんしゅ病、葉に灰色の斑点があれば灰斑病、実が小さく種がないなら冬の寒害、実に穴やつつき跡があれば鳥です。まず症状の場所を見て、それから対処に入ります。
びわは丈夫な果樹で、薬を使わなくても育てられる部類です。あわてて薬をまく前に、症状が広がっているのか一部で止まっているのかを一週間ほど見て判断します。広がらないものは物理的に取り除くだけで済みます。
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 枝にこぶや縦の割れ | がんしゅ病 | 患部を削り取り癒合剤 |
| 葉に灰色の丸い斑点 | 灰斑病 | 病葉を集めて処分し風通しを改善 |
| 実が小さく種がない | 冬の寒害 | 翌年は防寒と摘果の徹底 |
| 実に穴、袋が破れる | 鳥害 | 袋かけと防鳥ネット |
| 葉裏に白い綿状の虫 | カイガラムシ | 歯ブラシでこすり落とす |
がんしゅ病は早めに削る
がんしゅ病はびわ特有の細菌病で、枝や幹にこぶ状のふくらみや縦の割れができ、進むと枝が枯れます。剪定の切り口や台風で傷ついた場所から入るため、剪定後の癒合剤と、傷ついた枝の早期除去が予防になります。
がんしゅ病は一度出ると根絶が難しく、毎年の見回りで抑え込む病気です。雨の日の剪定や、濡れた道具での作業は菌を広げます。晴れた日に切り、道具は一本ごとに消毒用アルコールで拭くだけでも感染の広がりがずいぶん違います。
- 冬に幹と枝を見回る
- 葉が少ない冬に幹をよく見て、こぶや割れ、樹皮が浮いている場所を探します。見つけたら場所に印をつけます。
- 患部を健全部まで削る
- 小刀で患部を周囲五ミリの健全な部分まで削り、削りかすは畑に残さず処分します。削った面には癒合剤を塗ります。
- 枝ごと切る判断
- 枝の半周以上に広がっていたら削っても助からないので、患部の十センチ下で枝ごと切ります。道具は使うたびに消毒します。
がんしゅ病に強い品種として茂木や田中が知られています。新しく植えるならこの二つが無難です。
寒害は種を見れば分かる
冬の氷点下で幼い実の胚が死ぬと、実は肥らずに小さいまま黄色くなります。割ってみて種が黒く縮んでいれば寒害です。病気ではないので薬は要りません。翌年は冷え込む夜の覆いと、寒さに当たりにくい遅咲きの花房を残す摘房で減らせます。
同じ木でも南側の枝の実は無事で北側だけ被害を受けることが多く、防寒は北側の枝を優先すると効率がよくなります。木の内側の花房も外側より守られるので、摘房で残す房を選ぶときの手がかりにもなります。
- 三月に実を割って確かめる
- 肥りの悪い実を二つ三つ割り、種が黒く縮んでいれば寒害と判断して摘果で取り除きます。
- 遅咲きの花房を残す
- 十一月の摘房では、開花が早すぎた房より、まだつぼみが多い房を残すと厳寒期に幼い実を抱えずに済みます。
鳥とカイガラムシの対策
六月の熟した実はヒヨドリやムクドリの格好の餌で、一晩で数十個がつつかれます。袋かけが基本で、それでも袋を破られる場合は防鳥ネットを木全体にかけます。カイガラムシは葉裏や枝に白い綿状にたかり、すす病の原因にもなります。
防鳥ネットは目の細かいものを木全体にすっぽりかけ、裾を地面で留めます。隙間があるとヒヨドリは入り込み、出られなくなって暴れるので、かけるなら隙間なくかけます。収穫が終わったらすぐ外し、枝に絡んだまま夏を越さないようにします。
| 種類 | 被害の姿 | 対策 |
|---|---|---|
| ヒヨドリ・ムクドリ | 実に穴、袋が破れる | 袋かけ、木全体に防鳥ネット |
| カイガラムシ | 枝葉に白い綿、葉が黒くすすける | 冬に歯ブラシで落とし果樹用のマシン油乳剤 |
| アブラムシ | 新芽が縮れる | 野菜用の殺虫剤か水で洗い流す |
| モモチョッキリ | 幼い実に穴があき落ちる | 四月の袋かけを早める |
病害虫を出しにくくする手入れ
びわの病害虫は、枝が込み合って風が通らない木、剪定の切り口を放置した木に集中します。九月の剪定で内側の枝を抜いて風を通し、切り口には必ず癒合剤を塗る、落ち葉と落果は集めて処分する、この三つを守るだけで発生が大きく減ります。
薬を使うなら、冬の休眠期に果樹用のマシン油乳剤でカイガラムシを抑えるのがもっとも効率的です。収穫前の時期の散布は避け、使う場合は果樹に登録のある薬剤の表示を確かめます。
- 落ち葉と落果を集める
- 灰斑病の菌は落ち葉で越冬します。冬に株元の落ち葉を集めて処分し、腐葉土として株元に戻さないようにします。
- 内側の枝を抜く
- 九月の剪定で木の中心に向かう枝を付け根から切り、木の中に手を入れられる空間を作ります。
株元に落ちた実は虫の温床になります。摘果した実と落果はその日のうちに袋に入れて処分します。
びわの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はびわの育て方にまとめています。
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