剪定の時期は九月上旬か三月
びわは十月から十二月に開花し、枝先に花房をつけます。そのため冬に剪定すると花ごと切ることになり、翌年の実がゼロになります。関東では花芽がふくらむ前の九月上旬に主な剪定をし、収穫直後の六月から七月にも軽く整えられます。
強く切りすぎると徒長(枝が間延びして勢いだけで伸びること)した太い枝ばかりが出て、かえって実がつかなくなります。一回に切る量は全体の二割までを目安にします。切り口が大きいほど反発も大きいので、太い枝を一度に何本も落とさないことが基本です。
| 時期 | できる剪定 | 注意 |
|---|---|---|
| 六〜七月(収穫後) | 込み合った枝の間引き | 夏の強剪定は日焼けの原因になる |
| 九月上旬 | 主な剪定、高さの切り戻し | 花芽がふくらむ前に終える |
| 十二〜二月 | 枯れ枝の除去だけ | 花房を切らない |
| 三月 | 花房のない枝の整理 | 寒さが抜けてから行う |
高さは二メートル半までで止める
放任すると五メートル以上になり、収穫も袋かけもできなくなります。若木のうちに主幹を切り、横に広がる枝を三本から四本残す開心自然形にすると、脚立なしで作業できる高さに収まります。
低く仕立てる利点は作業のしやすさだけではありません。高さを抑えた木は花房が手の届く範囲に集まるので、摘房や袋かけ、防寒の覆いを一人で済ませられます。びわは実を守る作業が多い果樹なので、脚立が要る高さは実質的に管理できない高さだと考えてください。
- 主幹を切る高さを決める
- 植えて二年目の九月に、地面から六十センチから八十センチの高さで主幹を切ります。そこから出た枝のうち、方向の異なる三本を主枝として残します。
- 主枝を斜め上に開く
- 主枝が立ち上がりすぎるときは、ひもで杭に引いて四十五度ほどに開きます。開いた枝ほど花芽がつきやすくなります。
- 毎年頂点を切り戻す
- 二メートル半を超えた枝は九月に横向きの枝の上で切り戻します。切り口には癒合剤を塗り、雨で腐るのを防ぎます。
残す枝と切る枝の見分け
びわは枝先の充実した芽に花房をつけます。葉が大きく枝が太い充実した枝を残し、細くて葉が小さい枝、内側に向かう枝、上に向かって勢いだけがある枝を切ります。切るときは枝の付け根から切り、途中で切ると芽が乱れて再び込み合います。
| 枝の姿 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 葉が大きく先が太い | 残す | 花房がつく充実枝 |
| 細く葉が小さい | 付け根から切る | 花がついても実が肥らない |
| 内側や下向きに伸びる | 切る | 日当たりを妨げる |
| まっすぐ上に伸びる徒長枝 | 付け根から切る | 養分を奪い花芽がつかない |
迷ったときは、枝先の芽を見て判断します。ふっくらと丸く太っている芽は花芽になる充実芽、細く尖った芽は葉芽で、後者ばかりの枝は切っても実の数に影響しません。
摘房と摘果で実を大きくする
びわの花房は一つに百個近い花をつけ、そのまま実らせると小さい実ばかりになります。開花中の十一月ごろに摘房(花房を減らす作業)を行い、三月から四月に摘果で一房三個から四個に絞ると、店で見るような大きさになります。
摘房と摘果は剪定の一部だと考えてください。枝を切って数を減らすのと同じで、木の力を残した実に集める作業です。若木ほど効果がはっきり出ます。
- 十一月に花房を減らす
- 一つの枝先に複数の花房があれば一つに減らします。残す花房は枝の先端で日当たりのよいものを選び、房の上半分を指で折り取って下半分だけ残します。
- 三月に実を三〜四個に絞る
- 実が小指の先ほどになったら、傷のないものを三個から四個残して他を取ります。房の中で下寄りの実のほうが大きく育つ傾向があります。
- 摘果と同時に袋をかける
- 摘果直後に果実袋をかけると、鳥害と虫の産卵を防げます。袋は房の付け根でしっかり留め、雨が入らないようにします。
摘果を怠った年は実が親指ほどにしかならず、種ばかりが目立ちます。摘果は面倒でも収穫の満足度を大きく左右します。
剪定で失敗したときの戻し方
冬に切りすぎて花がなくなった、あるいは強剪定で徒長枝だらけになった場合でも、木は枯れません。翌年に向けて枝の勢いを落ち着かせる方向で立て直します。
徒長枝は六月から七月に半分の長さで切り戻すか、ひもで水平近くまで引き下げます。勢いが落ち着いた枝は二年目に花房をつけ始めます。切り口から枝が枯れ込むときは、枯れた部分より五センチ下の健全な部分で切り直します。
| 失敗の姿 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 翌年まったく花がない | 冬に枝先を切った | 九月剪定に切り替え一年待つ |
| 太い枝ばかり上に伸びる | 一度に切りすぎた | 六〜七月に切り戻すか引き下げる |
| 切り口から枝が枯れ込む | 癒合剤なしで雨に当たった | 健全部で切り直し癒合剤を塗る |
太い枝を切った年は、翌年の実が減るのを受け入れます。急いで取り戻そうと肥料を増やすと徒長枝が増え、立て直しが二年延びます。
びわの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
びわの収穫までのコツは作物ページに
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