接ぎ木苗か実生苗かを最初に決める
びわは種から育てても発芽はよくそろいますが、実生苗は実がなるまで八年から十年かかり、親と同じ実になる保証もありません。家庭で実を食べたいなら接ぎ木苗を選ぶのが近道で、三年から四年で最初の実がつきます。
苗を手に取ったら、接ぎ木部分がしっかりふさがっているか、葉の裏に白い綿のような毛が残っているかを見て判断します。葉が黄ばんで落ちかけている苗は根が乾いた可能性が高く、避けたほうが安全です。
品種は関東なら茂木か田中が手に入りやすく、田中は実が大きく寒さにもやや強いので初めての一本に向きます。暖地向けの長崎早生は開花が早く、関東では寒害を受けやすいので避けたほうが無難です。
| 種類 | 実がつくまで | 向いている人 |
|---|---|---|
| 接ぎ木苗 | 三〜四年 | 早く実を食べたい人 |
| 実生苗 | 八〜十年 | 観賞や実験として育てる人 |
| 大苗(鉢植え三年生) | 一〜二年 | すぐ収穫したい人、費用がかかってもよい人 |
関東より北では耐寒性のある品種か、鉢植えで移動できる形にしておくと冬の失敗が減ります。
植え付けは三月から四月の春一択
落葉果樹は冬に植えますが、びわは常緑で冬も葉から水を失うため、寒い時期に植えると根が動かず枯れ込みます。関東平野部なら三月中旬から四月上旬、寒さが抜けて土が温まったころが植え時です。
秋植えも不可能ではありませんが、根が張る前に冬を迎えるので、初心者は春に絞ったほうが失敗が少なくなります。暖地では十月にも植えられます。
- 植え穴を掘る
- 直径と深さがそれぞれ五十センチ前後の穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土をバケツ一杯と苦土石灰をひとつかみ混ぜます。びわは弱酸性から中性の土でよく育ちます。
- 根鉢を崩さず据える
- びわの根は太いわりに再生が遅いので、鉢から抜いた根鉢はほぐさずそのまま穴に置きます。接ぎ木部分が地面より上に出る高さに調節します。
- 水鉢を作りたっぷり注ぐ
- 株元に土手を作って水をため、土が沈んだら足します。植え付け直後の水切れが枯れる原因の一位なので、二週間は土の表面が乾いたら毎回与えます。
日当たりと風を避けられる場所を選ぶ
びわは日照が足りないと枝ばかり伸びて花芽がつきません。一日六時間以上日が当たる場所が目安です。同時に、冬の北風が直接当たる場所では葉が傷み、開花中の花が凍って実がつかなくなります。建物の南側や生け垣の内側が理想です。
放っておくと高さ五メートルを超える木になるため、隣家との距離や電線の位置も先に確かめておきます。狭い庭なら植え付け時点で主幹を一メートル前後で切り、低く仕立てる前提にします。
| 場面 | 適否 | 理由 |
|---|---|---|
| 建物の南側 | 最適 | 冬の北風を避け日照も確保できる |
| 北向きの庭 | 不向き | 花芽がつかず実が少ない |
| 風の通り道 | 不向き | 開花期の寒風で花が凍る |
| ベランダの鉢 | 可 | 十号鉢以上なら三年ほどは育てられる |
植え穴の場所を決めたら、まず一日の日の当たり方を観察してから掘ります。冬の低い太陽で建物の影が伸びることを見落としがちです。
鉢植えは十号鉢から始める
鉢植えなら寒い地域でも冬に軒下へ移せます。直径三十センチの十号鉢に、赤玉土七割と腐葉土三割を混ぜた土で植えます。びわは根が鉢いっぱいに回るのが早いため、二年に一回は一回り大きな鉢へ植え替える計画にしておきます。
鉢植えの弱点は根詰まりと夏の乾きです。鉢底から根が出てきたら、あるいは水を与えてもすぐ鉢底から抜けるようになったら根が回った合図なので、三月に一回り大きな鉢へ移します。植え替えのときも根鉢は崩さず、外側の古い土を軽く落とす程度にとどめます。
- 鉢底石を厚めに敷く
- 水はけが悪いと根腐れを起こします。鉢の底に軽石を三センチほど敷き、その上に用土を入れます。
- 主幹を切り戻す
- 鉢植えは高さを一メートル以内に収めます。植え付け時に主幹を六十センチ前後で切り、そこから出る枝を三本ほど残して樹形を作ります。
- 冬は軒下へ移す
- 氷点下三度を下回る予報が出たら軒下か玄関先へ移します。室内に入れると乾燥で葉が落ちるので、屋外の凍らない場所が向いています。
植え付け後に元気がないときの切り分け
植えて一か月ほどで葉が垂れたり黄ばんだりするときは、水の過不足か根の傷みのどちらかです。土を五センチ掘って乾いていれば水切れ、湿っていて臭うなら根腐れの疑いが強く、対処が正反対になるので必ず土を触って確かめます。
葉が数枚落ちる程度なら植え傷みの範囲で、新芽が動けば回復します。全部の葉が茶色く縮れたときは根が乾ききった可能性が高く、幹を少し削って緑色が残っているかで生死を判断します。
| 症状 | 考えられる原因 | 立て直し |
|---|---|---|
| 葉が垂れて土が乾いている | 水切れ | たっぷり水を与え敷きわらで乾きを抑える |
| 葉が黄ばみ土が湿って臭う | 根腐れ | 水を控え周りの土をほぐして空気を入れる |
| 新芽だけ枯れる | 寒風か霜 | 寒冷紗で囲い風を遮る |
| 幹を削っても茶色い | 根が枯死 | 植え直しを検討する |
びわの植え付けに使うもの
木は一度植えたら動かせません。植え穴と支柱をきちんと作るかどうかで、その後の何年かが決まります。
数量は苗木 1 本を単位にしています。
- 完熟堆肥・腐葉土探す言葉「完熟堆肥 バーク 40L」
- 規格の目安
- バーク堆肥か腐葉土。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つ(直径 60cm × 深さ 50cm)に 20〜30L を掘り上げた土と混ぜます。
穴を大きく掘って土を入れ替えるのが植え付けの本体です。ここを手抜きすると、根が広がらないまま何年も伸び悩みます。
- 支柱(添え木)探す言葉「園芸支柱 太い 180cm」
- 規格の目安
- 直径 25〜30mm × 長さ 180cm。1 本の添え木か、2 本の二脚(鳥居型)。
根が張るまでの 1〜2 年、風で株元が動くと細い根が切れ続けます。細い支柱では木の重さを支えられません。
- 樹木用の結束テープ探す言葉「樹木 誘引 テープ 幅広」
- 規格の目安
- 幅 20mm 前後の伸びる素材か、麻ひもと当て布。
幹は太ります。細いひもで縛ると食い込み、そこで水の通り道を締めてしまいます。幅の広いもので 8 の字に留めます。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 樹木」
- 規格の目安
- 粒状で長く効くタイプ。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つに 50〜100g。根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。
植え付け直後は根が傷んでいます。濃い肥料が触れると、そこから傷みが広がります。
- 鉢で育てるなら支柱は短いもので足ります。180cm の添え木は地植え用です。
- 植え穴に石を入れる必要はありません。水はけが悪いなら、盛り土にして高く植えるほうが効きます。
びわの収穫までのコツは作物ページに
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