夏の間ずっと採れる葉物
つるむらさきの強みは、暑さで他の葉物が姿を消す七月から九月に採り続けられることです。ほうれん草や小松菜が育たない時期の緑を埋める役目を果たします。まくのは一度、収穫は三か月以上続きます。
作業が集中するのは種まきの五月と、支柱を立てる六月だけです。あとは水やりと月一回の追肥(育ちの途中で足す肥料)、そして週に何度かの収穫で夏が過ぎます。
| 作型 | 種まき | 収穫 | 要点 |
|---|---|---|---|
| 標準 | 5月中旬〜6月 | 7月〜10月 | もっとも一般的。長く採れる |
| 遅まき | 7月 | 8月下旬〜10月 | 夏野菜の後作にも入る |
| 苗から | 5月下旬〜6月 | 7月〜10月 | 二株程度なら苗が手軽 |
月別のやることカレンダー
関東平野の露地を目安にした一覧です。地温が二十度を超えてからまくという一点さえ守れば、あとは伸びるにまかせて摘み続けるだけで収穫が続きます。手のかからない作物です。
まいた日、初収穫の日、霜で終わった日の三つを残しておくと、翌年に何株必要かがはっきりします。二株もあれば家族分は足りることが多いです。
| 月 | 主な作業 | ねらい |
|---|---|---|
| 4月 | 畝の準備、たい肥と元肥 | 水はけと保水の両立した土を作る |
| 5月中旬〜下旬 | 種まき(一晩浸水) | 地温20度を確かめてからまく |
| 6月 | 間引き、支柱とネット、摘心 | つるの数を増やす |
| 7月 | 収穫開始、敷きわら、追肥 | 先端を摘んで枝分かれさせる |
| 8月 | 収穫、水やり、混みすぎの整理 | 蒸れとハダニを防ぐ |
| 9月 | 収穫、追肥 | 秋の伸びを支える |
| 10月 | 収穫、花が咲いたら摘む | 霜の前まで採り切る |
| 11月 | 株の片付け、実の処分 | こぼれ種を残しすぎない |
六月にやることを済ませる
六月は間引き、支柱立て、摘心(先端を摘んで枝分かれさせること)の三つが重なります。どれも一度きりの作業で、ここを終えれば夏は収穫だけになります。逆にここで手を抜くと、地面をはう株になって収穫しにくくなります。
つるが伸び始めてから支柱を立てると、絡まったつるをほどく作業が加わります。草丈二十センチのころに立ててしまうのが、結局いちばん楽な進め方です。株の姿を見て、つるが横に倒れかけていたら立てどきと判断します。
- 本葉四枚で一本に間引く
- 二本出た株は、茎が太く節の詰まった方を残して、もう一方を地際で切ります。抜くと残す株の根が動きます。
- 草丈二十センチで支柱
- 高さ二メートル以上の支柱を立て、ネットを張ります。つるの先を軽く結んで方向を教えます。
- 本葉七枚で摘心
- つるの先端を摘みます。一週間ほどで下の節からわき芽が伸び、収穫できるつるが増えます。
十月は花と実の扱い
日が短くなる十月に入ると、つるむらさきは花を咲かせて実をつけます。花に力が回ると葉の伸びが落ちるので、収穫を続けたいうちは花穂を見つけ次第摘み取ります。摘めば葉の生育が戻ります。
実は黒紫に熟して濃い色の汁を出します。服や手すりにつくと落ちにくいので、ベランダで育てている場合は熟す前に切り取ります。落ちた実からは翌年こぼれ種が出ます。
| 時期 | 株の状態 | すること |
|---|---|---|
| 10月上旬 | 花穂が出始める | 見つけ次第摘んで葉を伸ばす |
| 10月下旬 | 実が黒紫に熟す | 汚れが困る場所では切り取る |
| 11月 | 初霜で枯れる | 株を抜いて片付ける |
こぼれ種は翌年ばらばらに芽を出します。増やしたくない場所では、熟した実を落とさないうちに片付けます。
遅れたときの立て直し
つるむらさきは生育が速いので、多少の遅れは取り返せます。六月にまき遅れても七月にまけばよく、支柱を忘れて地面をはっていても、途中から立てて持ち上げれば収穫は続けられます。
取り返しがつかないのは、霜に当ててからの遅れだけです。一度霜に当たった株は数日で溶けるように枯れるので、初霜の予報が出たらその前に採れる分をすべて摘んでおきます。
| 場面 | 起きること | 立て直し方 |
|---|---|---|
| まきそびれた | 収穫開始が遅れる | 7月中ならまき直せる |
| 支柱を忘れた | つるが地面をはう | そっと持ち上げてネットに載せる |
| 摘心しなかった | つるが一本だけ伸びる | 今からでも先端を摘めば枝分かれする |
| 霜に当たった | 株が枯れる | 翌年に回す。株は片付ける |
地域でずれる時期の目安
上の表は関東平野の露地が基準です。暖地は五月上旬からまけて、収穫も十一月まで続きます。寒冷地は六月にまき、九月下旬から十月上旬の初霜で終わるので、収穫期間は二か月ほどになります。
寒冷地でも夏の間はよく育ちます。期間が短い分、株数を増やすか、黒マルチで地温を上げて生育を早めると収穫量を確保できます。
| 地域 | 種まき | 収穫 |
|---|---|---|
| 暖地(九州・四国南部) | 5月上旬〜7月 | 6月下旬〜11月 |
| 中間地(関東・近畿) | 5月中旬〜7月 | 7月〜10月下旬 |
| 寒冷地(東北・北海道) | 6月 | 7月下旬〜9月下旬 |
収穫が続く間の見回り
七月から十月までは、水やりのついでに株全体を見て回るのが唯一の仕事です。葉の色、つるの太さ、内側の混み具合の三つを見れば、その週に手を入れるべきかどうかが決まります。
葉が黄緑になっていたら追肥、内側が暗くなっていたら葉の整理、つるが細ければ摘みすぎです。どれも一度に全部やる必要はなく、気づいた一つを直せば株はすぐ応えます。
| 状態 | 見えること | その週にすること |
|---|---|---|
| 葉が濃い緑で太いつる | 順調 | 収穫を続ける |
| 葉が黄緑で小さい | 肥料切れ | 化成肥料を施して水を与える |
| 内側の葉が黄色い | 蒸れ | 混んだ葉とつるを整理する |
| つるが全部細い | 摘みすぎ | 二週間ほど収穫を控えめにする |
つるむらさきの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
つるむらさきの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はつるむらさきの育て方にまとめています。
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