種まきではなく挿し木にする理由
ミントは交雑しやすく、種からでは親と同じ香りにならない。とくにペパーミントは雑種で、種の実りも安定しない。気に入った香りを残す道は挿し木か株分けの二つになる。
どちらも成功率が高く、刈り込みで出た枝がそのまま材料になる。発根促進剤も温床もいらないので、増やすために特別な準備をする必要はまったくない。
- 挿し木が向く場面
- 気に入った一株を複数に増やしたいとき、人に分けたいとき。親株を掘り返さずに済むので、鉢を動かせない場所でも使える。
- 株分けが向く場面
- 根詰まりした鉢を仕立て直すとき、一度に大きな株がほしいとき。掘り上げのついでに広がった範囲を戻せる。
- 種まきが向く場面
- 香りにこだわらず数をそろえたいときだけ。芽は出るが香りは株ごとにばらつく。名前どおりの香りは期待しない。
水挿しの手順
- 枝を十センチで切る
- 先端から数えて四節ほど、茎がまだ柔らかい部分を選ぶ。木質化(茎が硬い木のようになること)して硬くなった下部は根が出にくい。切り口は斜めにして水を吸わせる。
- 下半分の葉を落とす
- 水に浸かる葉は腐って水を濁らせる。上の二枚から四枚だけ残す。残す葉が大きければ半分に切ると、水切れしにくくなる。
- 明るい日陰に置く
- 容器に水を三センチほど入れ、直射日光を避けて置く。水は毎日替える。濁ったまま放置すると切り口が茶色くなって失敗する。
- 根が三センチで植える
- 一週間から二週間で白い根が出る。三センチほど伸びたら培養土に植える。長く水に置くと水中向きの根になり、土に移したときにしおれる。
植えた直後の一週間は土を乾かさない。ここで水を切らすと、せっかく出た根が枯れて株が立ち上がらない。
土に直接挿す方法
- 適期は五月と九月
- 気温が二十度前後の時期がもっとも早く発根する。真夏は挿し穂がしおれ、真冬は根が動かない。梅雨のころは湿度が高く成功しやすい。
- 肥料の入らない土に挿す
- 赤玉土の小粒やバーミキュライトを使う。培養土の肥料分は切り口を傷めることがある。挿したあとは土を押さえて茎を安定させる。
- 半日陰で乾かさない
- 透明な袋をかぶせて湿度を保つと確実。二週間ほどして軽く引き、抵抗があれば発根している。抜いて確かめると根が切れるので触らない。
株分けの手順
- 時期は三月か九月
- 芽が動く前の早春か、暑さがゆるんだ秋に行う。夏の株分けは根の傷みが回復しにくく、冬は根が動かないので鉢の中で傷む。
- 外側の若い部分を使う
- 根鉢の外側は若い地下茎が多く勢いがある。中心の古い部分は根が詰まって香りも落ちているので、思いきって捨ててよい。
- 一株に芽を三つ以上
- 手で裂くか清潔なはさみで切る。芽が一つだけの断片でも育つが、収穫できる大きさになるまで時間がかかる。
- 植えたらたっぷり水を
- 新しい土に植え、鉢底から流れるまで水を与える。二週間は肥料を入れず、根が動き出してから追肥(育てている途中で足す肥料)に切り替える。
増やしすぎないための出口を決める
ミントは増やすのが簡単すぎて、気づくと鉢が余る。増やす前に置き場所と使い道を決めておかないと、管理しきれない鉢が並ぶことになる。
- 本数は使う量から逆算
- 毎日ハーブティーを飲むなら大鉢一つで足りる。年に数回の料理用なら小鉢一つで余る。一年使ってみて、足りなければ増やす。
- 古株と入れ替える
- 増やした苗を新しい主役にし、三年目に入った古株は処分する。株を若く保つことが、香りを保つもっとも確実な方法になる。
- 余った鉢を地面に置かない
- 庭の隅に直置きすると底穴から根が抜け、地植えと同じ状態になる。使わない鉢は早めに片づける。
植え替えと根詰まりの見分け
| 株の見た目 | 起きていること | 対応 |
|---|---|---|
| 水がすぐ抜ける | 根鉢が土を押し出している | 一回り大きな鉢か株分けで仕立て直す |
| 葉が小さく色が薄い | 根詰まりと肥料切れ | 春か秋に植え替え、新しい土に替える |
| 株元だけ枯れ上がる | 中心部が古くなっている | 外側を残して中心を捨て、外側だけ植え直す |
| 鉢底から根が出る | 根が下へ逃げている | 鉢を持ち上げ、植え替えの時期を早める |
| 土が水をはじく | 根鉢が固まっている | 鉢ごと水に沈めて含ませ、次の適期に植え替える |
植え替えは三月と九月が最適。真夏や真冬に鉢から抜くと、根が動かず回復に季節をひとつ余分に使う。
うまく根が出ないときの原因
- 穂が硬すぎた
- 茎の下のほうの茶色く硬くなった部分は発根しにくい。先端寄りの、まだ緑で柔らかい部分を選び直すだけで結果が変わる。
- 葉を残しすぎた
- 葉が多いと水を吸う前に蒸散して穂がしおれる。上の二枚から四枚に減らし、大きい葉は半分に切ってから挿し直す。
- 時期が合っていない
- 真夏と真冬は根が動かない。しおれてから何日も置かず、五月か九月にやり直すほうが早い。失敗しても株は減らない。
切り口が黒く溶けたときは水の傷み。容器を洗い、水を毎日替えれば同じ枝から取り直した穂でも発根する。
ミントの挿し芽・株分けに使うもの
ハーブは挿し芽で増やしやすいものが多く、水に挿すだけで根が出る種類もあります。
- 挿し芽用土(赤玉土小粒)探す言葉「挿し芽 用土 赤玉土 小粒」
- 規格の目安
- 赤玉土の小粒か鹿沼土の単用。肥料分のないもの。
- 数量の目安
- 3 号ポット 1 個で 0.2L。
肥料分があると、根が出る前に切り口が傷みます。清潔で肥料のない土が条件です。
- よく切れるはさみ探す言葉「園芸ばさみ 切れ味 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 3〜5cm。使う前にアルコールで拭きます。
切り口が潰れると水を吸えません。節の少し下を斜めに一度で切ります。
- 3 号ポット探す言葉「ポリポット 3号 育苗」
- 規格の目安
- 直径 9cm(3 号)。
根が出るまでは小さい容器のほうが乾き具合を見やすく、管理も楽です。
買わなくてよいもの・代わりになるもの
- ミントやバジルのように水挿しで根が出るものは、用土も促進剤も要りません。
- 発根促進剤は、根の出にくい木質のハーブ以外では急ぎません。
ミントの収穫までのコツは作物ページに
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