まず二つの系統に分けて考える
ミントの種類は数百あるといわれるが、家庭で使うぶんには香りの出どころで二系統に分ければ足りる。清涼感の強い系統と、甘くまろやかな系統である。
この違いは好みではなく成分の違いなので、用途との相性がはっきり出る。冷たさを立てたいのか、素材の味を邪魔したくないのかで選ぶとよい。
| 系統 | 香りの特徴 | 得意な使い方 |
|---|---|---|
| ペパーミント系 | 鼻に抜ける強い清涼感 | ハーブティー、菓子、香りづけ |
| スペアミント系 | 甘くまろやかで刺激が弱い | 料理、冷たい飲み物、生葉のまま添える |
| マルバハッカ系 | 果実を思わせる穏やかな香り | 生食、砂糖漬け、地面をおおう植栽 |
どの系統も育て方は同じで、違うのは香りと使い道だけ。育てやすさで悩む必要はなく、好みで選んでよい。
よく出回る種類の見分け方
- ペパーミント
- 葉は細長く濃い緑で、茎が赤紫を帯びる。清涼感の元になる成分が多く、噛むと舌に冷たさが残る。香りが強いぶん、料理では主張しすぎることがある。
- スペアミント
- 葉に丸みがあり、しわが目立つ。清涼感より甘さが前に出るので、肉料理やヨーグルト、氷を入れた飲み物に合う。生葉をそのまま使う用途に向く。
- アップルミント
- 葉が丸く、表面が白い細かな毛でおおわれる。りんごを思わせる柔らかい香りで刺激が少ない。丈夫で日陰にも耐えるので、初めての一株に向く。
- パイナップルミント
- アップルミントの葉に白い斑が入る品種。香りは近いが株の勢いは穏やかで広がりにくい。鉢植えで観賞を兼ねたいときに選ぶ。
- ニホンハッカ
- 在来のハッカ。清涼感の元になる成分の割合が高く、香りは鋭い。ペパーミントより葉が細く、和の菓子や入浴に使われてきた。
ペニーロイヤルミントは地面をはって育つが、食用に向かない成分を含む。飲み物には使わず、観賞や被覆に用途を限る。
したいことから選ぶ
| したいこと | 第一候補 | 理由 |
|---|---|---|
| ハーブティーにする | ペパーミント | 乾かしても清涼感が残り、湯を注いだ瞬間に香る |
| 料理に生で添える | スペアミント | 刺激が弱く、素材の味を消さない |
| 冷たい飲み物に入れる | スペアミント | つぶしたときに苦味が出にくい |
| 香りを楽しむだけ | アップルミント | 毛のある葉が乾きにくく、触れるたびに香る |
用途が複数あるなら、ペパーミントとスペアミントを別々の鉢で一つずつ持つのが結局いちばん使い勝手がよい。
香りが薄くなる本当の理由
隣に別の種類を植えたから香りが混ざる、ということは起きない。植わっている株そのものの香りは変わらない。薄く感じるときは、株の状態のほうに原因がある。
多いのは根詰まり、肥料のやりすぎ、そして開花の三つである。いずれも葉に精油がたまりにくくなる条件で、原因を取り除いて株を若く保てば、元の香りはひと月ほどで戻ってくる。
- 根詰まりしている
- 鉢の中が根でいっぱいだと葉が小さくなり、香りも乗らない。春か秋に株を割って新しい土で植え直すと、ひと月ほどで香りが戻る。
- 肥料が多すぎる
- 窒素が効きすぎると葉は大きくなるが精油は薄まる。追肥(育てている途中で足す肥料)を止め、日当たりのよい場所で締めて育てると香りが濃くなる。
- 花が咲いてしまった
- つぼみが見えると葉の質が落ちて硬くなる。花芽を見つけたらその二節下で切る。切ったところから若い枝が出て香りが戻る。
こぼれ種で別物に入れ替わる
ミントは種類どうしで交雑しやすい。花を咲かせて種が落ちると、翌年その実生が親と違う香りで育つ。これが「いつのまにか香りが変わった」の正体である。
実生は勢いの強いものが多く、元の株を押しのけて群落を置き換える。数年で庭のミントが全部似た薄い香りになるのは、たいていこの経路をたどっている。
- 花を咲かせない
- 香りを一定に保つ最短の方法。つぼみのうちに刈り込めば種はできない。収穫を兼ねられるので手間も増えない。
- 種類ごとに鉢を分ける
- 同じ鉢や隣り合う地面で複数の種類を育てると、実生が混ざったときに見分けがつかない。鉢を離し、名札を付けておく。
- ふやすときは挿し木で
- 種まきでは親と同じ香りにならない。挿し木か株分けなら性質がそのまま受け継がれる。気に入った株ほど挿し木で残す。
苗を買うときに見るところ
- 葉をこすって嗅ぐ
- 同じ名札でも香りに幅がある。売り場で一枚こすり、目当ての香りかを確かめてから買う。名前より鼻で選ぶほうが外さない。
- 節が詰まった株を選ぶ
- 徒長(間のびして弱く伸びること)して間延びした苗は暗い場所で育っている。節が短く葉が密なものは、植えてからの立ち上がりが速い。
- 株元の芽の数を見る
- 土際から複数の芽が出ている株は根が充実している。一本立ちのものは挿し木したばかりのことがあり、夏まで小さいままになりやすい。
名札が「ミント」だけの苗は種類を特定できない。香りで選び、増やすときは挿し木で固定すれば、名前が不明でも困らない。
ミントの収穫までのコツは作物ページに
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