刈り込む理由は三つある
ミントは切って弱る植物ではない。むしろ放任すると茎が伸びて下葉が落ち、株元が蒸れて香りの薄い葉ばかりになる。刈り込みは若い枝を出し直させる作業だと考えるとよい。
- 香りを保つため
- 精油は若い葉に多い。刈って新しい枝を出させれば、収穫できる若葉が絶えない。開花させた古い株の葉は硬く、香りも鈍くなる。
- 蒸れを防ぐため
- 茎が密になると株元に風が通らず、下葉が黒く枯れる。梅雨に入る前に高さを半分以下にすると、株の内側まで風と光が入る。
- 草丈を抑えるため
- 伸びた茎は倒れて地面に触れ、その節から根を下ろして株が増える。低く保つことは、広がりを抑えることにも直結する。
刈る量に迷ったら、株全体の三分の一を残す高さが目安。葉を全部落としても地下茎が生きていれば芽は出る。
年に何回、いつ刈るか
| 時期 | 刈る高さ | ねらい |
|---|---|---|
| 5月から6月上旬 | 株元から三分の一まで | 梅雨前に風を通し、蒸れを予防する |
| つぼみが見えたとき | 花芽の二節下 | 開花を止め、葉の質と香りを保つ |
| 8月下旬から9月 | もとの半分の高さ | 秋の若葉を出させ、収穫期を延ばす |
| 11月から12月 | 地際まで | 枯れた地上部を片づけ、病気を越冬させない |
四回すべてを守る必要はない。どれか一回だけ選ぶなら、梅雨前の刈り込みが株の寿命にもっとも効く。
梅雨前の切り戻しの手順
- 刈る前に株を見る
- 混み合った茎、内側に向かう茎、下葉が落ちた茎を先に選ぶ。全体を同じ高さで刈るより、抜く茎を決めてから高さをそろえるほうが風が通る。
- 節の上で切る
- 節のすぐ上五ミリで切ると、その節から二本の枝が出る。節と節の間で切ると切り口が枯れ込み、そこから傷みが下へ広がることがある。
- 株元の落ち葉を除く
- 地面に張りついた枯れ葉は湿気をため、病気の出どころになる。刈ったあとに株元を軽く掃除し、土の表面を乾かしておく。
- 刈ったら水と少量の肥料
- 切り戻し直後は根が余る状態になる。水を切らさず、緩効性の肥料をひとつまみ置けば、二週間ほどで若い枝がそろう。
刈った枝はそのまま収穫物になる。使いきれない分は挿し木にすれば、勢いの落ちた株を新しい株に入れ替えられる。
夏に株が傷んだときの見分けと手当て
| 症状 | 考えられる原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 下葉が黒ずんで落ちる | 株元の蒸れと過湿 | 半分に刈って風を通し、鉢は半日陰へ移す |
| 葉が白くかすれる | 乾燥した時期の小さな害虫 | 葉裏に水をかけ、傷んだ枝は根元から切る |
| 葉裏に橙色の粉が出る | 密生と多湿による病気 | 出た葉を集めて処分し、株全体を低く刈る |
| 新芽が縮れて虫が群がる | 春から続く吸汁性の害虫 | 新芽ごと摘み取り、勢いのよい枝を伸ばす |
刈りすぎ・刈り遅れのリカバリー
刈る失敗はほとんど取り返せる。地下茎に力が残っているかぎり、条件を戻せばひと月ほどで芽が立ち上がる。判断が遅れて花が咲いてしまった場合も同じ。
- 地際まで刈ってしまった
- 真夏でなければ問題ない。水を切らさず日当たりに置けば二週間で芽が動く。動かなくても土を掘り返さずに待つ。地下茎は生きている。
- 花が咲いてから気づいた
- 花の下で切り戻して構わない。硬くなった葉は香りが鈍いので乾燥用に回し、次に出る若葉を生食に使えばよい。
- 真夏に強く刈った
- 葉が減ると直射で株元が焼けやすい。刈った直後だけ日よけをし、朝夕に土を確かめる。本格的な回復は秋の涼しさが戻ってからになる。
刈り込みと水・肥料・置き場所
- 刈ったら水は多めに
- 葉が減れば蒸散も減るが、新芽を出すには水がいる。鉢は表面が乾いたらたっぷり与える。乾かし気味に管理すると芽の伸びが止まる。
- 肥料は控えめのまま
- 多肥にすると葉は大きくなるが香りは薄い。刈り込み後にひとつまみ置く程度でよく、そのあとは月に一度で足りる。
- 日当たりを確保する
- 半日陰でも育つが、精油は日を浴びた葉に多い。刈ったあと新芽が伸びる時期だけでも、半日以上日が当たる場所に置く。
刈った直後に置き場所を大きく変えると葉焼けや徒長(間のびして弱く伸びること)が出る。移すなら数日かけて明るさに慣らすとよい。
何年目かで刈り方を変える
同じ株をいくつも年を越させると、中心が古くなって芽が出なくなり、外側だけが生きた輪のような姿になる。刈り込みだけでは戻せないので、年数に応じて手を変える。
- 一年目は浅く刈る
- 植え付けの年は根を張ることが先。摘む量は株の三分の一までにとどめ、梅雨前の切り戻しも半分の高さで止めておくと秋によく茂る。
- 二年目から本格的に刈る
- 根が充実するので、年三回の刈り込みに耐える。収穫量が一番多いのもこの年で、刈るほど新しい枝が出て香りも安定する。
- 三年目は株を更新する
- 中心が枯れ上がってきたら刈り込みでは戻らない。春か秋に外側の若い部分だけを取って植え直し、古い中心は処分する。
更新する年を決めておくと迷わない。二年ごとに植え直す前提なら、古株を惜しまず処分できて香りも落ちない。
ミントの剪定・切り戻しに使うもの
切り戻しは株を若返らせる作業です。切る位置と、切り口を乾かすことに関わるものだけで足ります。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 園芸 ステンレス」
- 規格の目安
- 刃渡り 5cm 前後。バイパス式(刃が交差するもの)は切り口がきれいです。
アンビル式(刃が台に当たるもの)は茎を潰します。生きた枝を切るならバイパス式を選びます。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
株を変えるたびに刃を拭きます。病気の株から健全な株へ、はさみが運んでしまうのを防げます。
- 園芸用手袋探す言葉「園芸手袋 背抜き」
- 規格の目安
- 手のひらにゴムを張った背抜きタイプ。細かい作業ができる薄手のもの。
茎の汁でかぶれる植物があります。厚い革手袋だと、切る位置を指で確かめられません。
- 柔らかい茎の草花は、指で摘めばはさみは要りません。
- 癒合剤は木の太い枝を切るときのもので、草花には要りません。
ミントの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はミントの育て方にまとめています。
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