雄花と雌花を見分ける
ムベの花は四月中旬から五月上旬に、白から淡い紫の小さな花が房で咲きます。一つの株に雄花と雌花の両方が付きますが、同じ株の花粉では実が付きにくい性質があります。まず雌花がどれかを見分けます。
花は房ごとに雄花が先に開き、雌花が数日遅れて開く傾向があります。株全体で見ると開花期間は二〜三週間あるので、毎朝十分ほど見回れば雌花を取りこぼしません。
| 見た目 | 雄花 | 雌花 |
|---|---|---|
| 大きさ | 小さめで一房に多い | やや大きく一房に一〜三個 |
| 中心の様子 | 黄色い小さな雄しべが集まる | 緑色の棒状の雌しべが三本立つ |
| 咲く位置 | 房の先の方 | 房の付け根側 |
| 咲いた後 | 数日で落ちる | 受粉すると付け根がふくらむ |
雌花は数が少なく見落としがちです。房の付け根側を見て、中心が緑色に太い花を探します。
人工授粉の手順
虫任せでも実は付きますが、二株が近くにない場合や天候が悪い年は人工授粉が確実です。晴れた日の午前中、花粉が乾いて出ている時間帯に行います。
受粉の適期は雌花が開いてから二〜三日です。柱頭がみずみずしく光っている間が受粉できる目安で、乾いて茶色くなったら遅すぎます。一度で終わらせず、開花期間中に二〜三回に分けて行うと取りこぼしが減ります。
- 別株の雄花を採る
- 受粉させたい株とは違う株から、開いたばかりの雄花を摘みます。指で軽く弾いて黄色い粉が出るかを確かめます。出なければ翌日に回します。
- 雌しべに触れさせる
- 雄花の花びらを外し、雄しべを雌花の緑色の柱頭に軽くなすりつけます。一つの雄花で雌花二〜三個を目安に付けられます。
- 筆を使う場合
- 柔らかい絵筆で雄花の花粉を集め、雌花の柱頭に触れさせます。株を変えるときは筆を乾いた布で拭いてから使います。
- 札を付けて記録する
- 受粉した雌花の枝に日付を書いた札を付けます。二週間ほどで付け根がふくらめば成功の目安で、しぼんで落ちれば付かなかった花です。
花粉が採れないときの工夫
二株の開花がずれると、雌花が咲いているのに雄花がない日が出ます。雄花は摘んだ後も冷蔵庫で二〜三日は使えます。先に咲いた株の雄花を密閉容器に入れて冷やしておき、遅れて咲く株の雌花に付けます。
- 雄花を保存する
- 開いたばかりの雄花を摘み、キッチンペーパーに包んで密閉容器へ入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。三日以内に使い切ります。
- 使う前に室温に戻す
- 冷たいままでは花粉が出にくいので、使う三十分前に容器ごと室温に出し、指で弾いて粉が出るのを確かめてから付けます。
虫を呼ぶ環境づくり
人工授粉をしなくても、ハチやハナアブが来る庭なら実は付きます。開花期に周りで殺虫剤をまかない、近くに同じ時期に咲く花を植えておくと虫が集まりやすくなります。四月に咲くタイムやネモフィラなどを株元に植えるのも一つの方法です。
雨が三日以上続く年は虫が飛べず、受粉がまとまって失敗します。天気予報を見て、晴れ間が出た午前中に人工授粉で補うと確実です。
| 場面 | 虫任せ | 人工授粉 |
|---|---|---|
| 二株が三メートル以内で晴れが続く | 十分 | 不要 |
| 二株あるが雨続き | 不足しがち | 晴れ間に補う |
| 一株のみ | ほぼ付かない | 近所の株から雄花をもらう |
| 鉢植え二株をベランダで | 虫が来にくい | 毎年行う |
受粉後の実の管理
受粉が成功すると五月下旬から実が目に見えてふくらみます。一房に三個以上付いたときは、大きい一〜二個を残して摘果すると実が大きく甘くなります。摘果は六月中に済ませ、遅れると残した実に栄養が回りにくくなります。
| 時期 | 実の様子 | やること |
|---|---|---|
| 5月下旬 | 付け根が豆粒大にふくらむ | 受粉の成否を見て札を整理 |
| 6月 | 梅の実ほどの大きさ | 一房一〜二個に摘果 |
| 7〜8月 | 卵大に太る | 水切れに注意、実に日を当てる |
| 9〜10月 | 紫に色づき始める | 袋掛けか鳥よけを準備 |
花は咲くのに実が付かないときの原因
毎年花は咲くのに実が付かない場合、ほとんどは受粉の問題です。一株しかない、二株が同じ親から取った苗で相性が悪い、雨続きで虫が来ない、のどれかに当てはまるかを確かめます。人工授粉を試して付けば受粉不足、付かなければ株の若さや日照を疑います。
受粉が成功した実は、六月に入ると急に太り始めます。摘果の判断はこのふくらみ方で決め、同じ房で明らかに小さい実は受粉が弱かった実なので優先して落とします。
- 人工授粉で切り分ける
- その年の雌花に別株の花粉を手で付け、二週間後にふくらむかを見ます。付けば翌年からは受粉樹の追加か人工授粉を続けます。
- 株の年数を数える
- 実生の苗は実が付くまで五〜七年かかることがあります。植えて四年未満なら、剪定と肥料を整えて待つのが正解です。
- 日照を見直す
- 花は付いても実が育たない場合は日照不足のことがあります。棚の上部が一日五時間以上日を受けているかを確かめ、周りの木の枝を払います。
ムベの受粉に使うもの
1 本では実らない木があります。自分の木がそれに当たるなら、道具の前に相手の品種が要ります。
- 授粉用の毛ばたき探す言葉「人工授粉 毛ばたき 園芸」
- 規格の目安
- 柔らかい毛のはたき。梵天と呼ばれる授粉専用のものもあります。
花から花へ軽く触れて回ります。強くこすると花が傷むので、撫でる程度で十分です。
- 授粉用の花粉探す言葉「授粉用 花粉 果樹」
- 規格の目安
- 品種の合う花粉。石松子(増量材)と混ぜて使うものが多いです。
受粉樹を植える場所がないときの代わりです。品種の組み合わせが合わないと実らないので、そこを先に確かめます。
- 綿棒・小筆探す言葉「綿棒 授粉 園芸」
- 規格の目安
- 普通の綿棒か、細い筆。
花の数が少ないときは、1 輪ずつ確実に付けられます。品種を変えるときは新しいものに替えます。
- 1 本で実る品種なら、受粉の道具は要りません。まず自分の品種を確かめます。
- 受粉樹を近くに植えられるなら、人工授粉そのものが要らなくなります。
ムベの収穫までのコツは作物ページに
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