花が付く枝を見分ける
ムベの花は、前年に伸びたつるから出る五〜十センチほどの短い枝の付け根に付きます。長く伸びたつるの先には花はほとんど付きません。剪定の基本は、勢いよく伸びる長いつるを減らし、短い枝が並んだ部分を残すことです。
剪定の前に、棚やフェンスの上で一年前に伸びたつるを一本たどってみます。節ごとに短い枝が出ていて、その付け根に丸い芽があれば、そのつるは残す価値があります。短枝がなく、節と節の間が二十センチ以上空いた徒長枝(勢いだけで長く伸びた枝)は切り詰める候補です。
| 枝の姿 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 節間が詰まった短い枝 | 残す | 翌春の花芽が付いている |
| 一メートル以上伸びた太いつる | 先を三分の一切る | 栄養を取られ実が付かない |
| 棚から垂れて地面に触れたつる | 元から切る | 地面で根を出し株が乱れる |
| 絡み合って中に光が入らない部分 | 間引く | 風通しが悪く病害虫が付く |
花芽は冬でも短い枝の付け根に丸くふくらんで見えます。切る前に指で触って確かめると失敗が減ります。
冬の整理は二月まで
主な剪定は十二月から二月、花芽が動く前に行います。常緑なので落葉樹ほど枝の姿が見やすくはありませんが、葉をかき分けて長いつるを追うと構造が分かります。三月に入ると芽が動き、切り口から樹液がにじむので早めに終えます。
- 枯れ枝と細い枝を落とす
- 茶色く乾いて曲げると折れる枝、鉛筆より細い枝を元から切ります。棚の内側で葉が落ちている枝は光が届いていない目安なので同じく落とします。
- 長いつるを切り詰める
- 前年に一メートル以上伸びたつるは、短い枝が付いている位置まで戻します。目安は三分の一から半分です。切り口は節のすぐ上にします。
- 重なりを間引く
- 同じ方向に何本も走るつるは、太くて短枝の多い一本を残し、ほかを元から切ります。棚の上から光が地面に少し落ちる密度が目安です。
- 誘引し直す
- 残したつるを棚やフェンスに均等に広げ、ひもでゆるく結びます。強く縛るとつるが太るときに食い込むので指一本分の余裕を持たせます。
夏は伸びすぎたつるだけ
六月から八月は新しいつるがどんどん伸びます。全部を切ると来年の花枝がなくなるので、棚からはみ出したものと、実に日が当たらなくなるほど茂った部分だけを軽く切ります。強く切ると秋にまた伸びて花芽が付かなくなります。
夏に切ったつるの切り口からは、秋にまた細いつるが数本出ます。これは放っておくと来年の花芽を持たないので、冬の整理でまとめて落とします。
- はみ出しを止める
- 棚の外へ出たつるは、棚の端から二十センチほどの位置で先を摘みます。摘心(先端を摘んで伸びを止めること)で栄養を実と短枝に回します。
- 実の周りを開ける
- 実の上に葉が三重四重に重なっていたら、直上のつるを一〜二本外に振るか切ります。実に朝の光が当たると秋の色づきが良くなります。
若い株の仕立て方
植えて一〜三年目は実より骨格づくりを優先します。主となるつるを二〜三本選んで棚やフェンスに広げ、ほかは付け根で切ります。骨格が決まってから短枝を増やす剪定に切り替えると、実が付き始めるのが四〜五年目の目安です。
| 年数 | 剪定の目的 | やること |
|---|---|---|
| 一年目 | つるを登らせる | 先を切らず支柱に巻き、根元の細いつるを整理 |
| 二〜三年目 | 骨格を決める | 主となるつるを二〜三本残し、棚に均等に広げる |
| 四年目以降 | 短枝を増やす | 長いつるを切り詰め、花芽の付く短枝を残す |
道具と切り口の扱い
つるは意外に硬く、太いものは直径三センチを超えます。細い枝は剪定ばさみ、太いつるは剪定のこぎりを使い、無理にはさみで押し切ると切り口がつぶれて枯れ込みます。切り口が直径二センチを超えたら、癒合剤を塗って乾燥と雑菌を防ぎます。
- 刃を消毒する
- 株を移るごとに刃をアルコールで拭きます。カイガラムシや病気を刃で運ばないためです。切れ味が落ちたら研いで、つぶさずに切れる状態を保ちます。
- 切り口を確かめる
- 切った断面が白く湿っていれば生きた枝、茶色く乾いていれば枯れ枝です。枯れ枝は生きた部分まで戻って切り直します。
切りすぎて花が付かないときの戻し方
冬に強く切りすぎると、春に太いつるばかり伸びて花が付かない年になります。慌ててもう一度切ると悪循環です。その年は伸びたつるを切らずに棚へ横に寝かせて誘引し、勢いを弱めます。横に寝たつるには翌年短枝が並び、花が戻ってきます。
- その年は切らない
- 太いつるを切らず、水平に誘引して先を下向きに曲げます。上へ伸びる勢いが落ちて短枝が出やすくなります。
- 肥料を止める
- 窒素の多い肥料はつるの勢いを助長します。花が付かない年は追肥(育ちの途中で足す肥料)を止め、秋のお礼肥だけにします。
- 翌冬に軽く戻す
- 翌年の冬は切る量を前年の半分にとどめ、短枝の付いた部分を残します。二年で元の実付きに戻るのが目安です。
ムベの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
ムベの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はムベの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。