年間の全体像
ムベの一年は、四〜五月の開花と受粉、六月の摘果、七〜八月の水管理、十〜十一月の収穫、十二〜二月のつる整理で回ります。常緑なので葉は一年中ありますが、根が動くのは三月から十一月までです。関東平野部の露地を基準にし、寒冷地は一か月遅く、暖地は半月早く見ます。
表の月は関東平野部の露地を基準にしています。同じ月でも株の姿で判断するのが確実で、たとえば開花は「新芽が五センチ伸びて房が見えたら」、収穫は「実が紫に染まって押すと弾力が出たら」を目安にします。鉢植えは地植えより半月ほど早く進みます。
| 月 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 1月 | つる整理、寒風よけ | 花芽の付いた短枝を残す |
| 2月 | つる整理の仕上げ、寒肥 | 芽が動く前に終える |
| 3月 | 植え付け、誘引 | 新芽がふくらみ始めたら |
| 4月 | 開花始まり、人工授粉 | 雌花を見つけたら別株の花粉を |
| 5月 | 開花終わり、受粉確認 | 付け根がふくらんだら成功 |
| 6月 | 摘果、追肥 | 一房一〜二個に |
| 7月 | 水やり、はみ出しつるの摘心 | 鉢は朝夕、地植えは乾いたら |
| 8月 | 水やり、実に日を当てる | 葉が三重に重なる部分を開ける |
| 9月 | 秋の植え付け、鳥よけ準備 | 実が色づき始めたら |
| 10月 | 収穫始まり | 紫に染まって軽く押すと弾力 |
| 11月 | 収穫、お礼肥 | 実が落ち始める前に採り終える |
| 12月 | つる整理始まり | 長いつるの切り詰めから |
冬 12月から2月
つる整理の季節です。常緑なので葉をかき分けながら、長く伸びたつるを短枝の付いた位置まで切り詰めます。二月には根元に寒肥として有機質の肥料を施し、春の芽出しに備えます。寒冷地では寒風で葉が傷むので、風の当たる側に寒冷紗を張ります。
この時期は水やりがほぼ不要ですが、鉢植えは乾き切ると葉を落とします。十日に一度、鉢土の表面を触って乾いていれば午前中に与えます。
- 寒肥を施す
- 二月に株元から五十センチ離した場所に浅い溝を掘り、油かすや堆肥をひと握りから二握り入れて土を戻します。
- 葉の傷みを見る
- 葉が茶色く縮れたら寒風の目安です。枯れた葉は春まで放置し、三月に新芽が出てから落とします。冬に取ると枝が乾きます。
春 3月から5月
三月に新芽が動き出し、四月中旬から花が咲きます。花の時期は雨が続くと虫が来ないので、人工授粉の準備をしておきます。五月下旬に雌花の付け根がふくらんでいれば受粉成功です。この時期に肥料は不要で、与えるとつるばかり伸びます。
- 誘引を結び直す
- 三月につるが太る前に、冬に結んだひもを確かめ、食い込みそうな所はゆるめます。新しく伸びる方向に余裕を残しておきます。
- 雌花を毎朝探す
- 四月中旬から房の付け根側を見て、中心が緑色の太い花を探します。見つけたら別株の雄花を触れさせ、札を付けます。
| 月 | 株の姿 | やること |
|---|---|---|
| 3月 | 新芽がふくらむ | 植え付け、誘引のひもを結び直す |
| 4月 | 白い花が房で咲く | 雌花を探して別株の花粉を付ける |
| 5月 | 実が豆粒大に | 受粉の成否を札で記録 |
夏 6月から8月
六月に摘果をして一房一〜二個に絞り、あわせて追肥(育ちの途中で足す肥料)を少量施します。七〜八月は実が太る時期で、水切れすると実が落ちます。鉢植えは朝夕、地植えは十日以上雨がなければたっぷり与えます。棚からはみ出したつるは先を摘みます。
- 摘果をする
- 六月中に、一房に三個以上付いた実は大きい一〜二個を残して摘みます。傷のある実、小さい実から取ります。
- 水切れを防ぐ
- 実が急にしわむ、葉が昼にしおれて夕方戻らないときは水不足の目安です。根元に腐葉土を敷いて乾きを遅らせます。
秋 9月から11月
九月から実が色づき始め、十月中旬から十一月に収穫します。鳥が来るので色づき始めたらネットや袋で守ります。収穫を終えたらお礼肥として緩効性肥料をひと握り施し、来年の花芽を充実させます。秋の植え付けは十月までに済ませます。
収穫期は水を控えると甘みが乗ります。十月に入ったら鉢植えは葉が軽くしおれてから水をやる程度にし、地植えは雨任せにします。
| 月 | 実の様子 | やること |
|---|---|---|
| 9月 | 緑から赤みが差す | 鳥よけネットか袋掛け |
| 10月 | 紫に染まる | 軽く押して弾力があれば収穫 |
| 11月 | 全体が濃い紫 | 採り終えてお礼肥 |
やり損ねた月の立て直し方
作業が遅れても、翌年に響かないよう戻す方法があります。摘果を忘れたら小さい実がたくさん付きますが、味は落ちても食べられます。つる整理を三月にずれ込ませたら、切る量を半分に減らします。
| やり損ねたこと | 起きること | 戻し方 |
|---|---|---|
| 人工授粉をしなかった | 実が少ない | その年はあきらめ、翌年は雄花の保存から準備 |
| 摘果を忘れた | 実が小さく甘みが薄い | 七月中なら遅くても小さい実を落とす |
| つる整理が三月にずれた | 切り口から樹液が出る | 切る量を半分にし、切り口を保護剤で覆う |
| お礼肥を忘れた | 翌年の花が減る | 二月の寒肥を少し増やす |
ムベの栽培に一年を通して使うもの
木の作業は冬と夏に固まります。冬に剪定と寒肥、生育期に袋かけと防鳥。この 4 つを季節の前にそろえておきます。
数量は植えて数年たった木 1 本を単位にしています。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm 程度まで切れるもの。バイパス式(刃が交差するもの)。
アンビル式は枝を潰します。生きた枝を切るならバイパス式で、切り口が滑らかなほど早くふさがります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後の折込式。生木用の刃(目の粗いもの)を選びます。
直径 2cm を超える枝は、はさみで切ろうとすると枝も刃も傷めます。工作用ののこぎりは生木で目が詰まります。
- 有機質肥料(寒肥用)探す言葉「油かす 骨粉 有機質肥料」
- 規格の目安
- 油かすと骨粉の配合肥料。5〜10kg 袋。
- 数量の目安
- 成木 1 本に 1〜2kg。樹冠(枝の広がり)の外周に沿って埋めます。
冬に入れて、春に効き始めるのを狙う肥料です。ゆっくり分解するので、休眠期のうちに入れておきます。樹種と樹齢で必要な量は変わるので、詰めたいときは施肥基準を見てください。
出典: 農林水産省「施肥基準 — 果樹」
- 防鳥ネット探す言葉「防鳥ネット 目合い25mm」
- 規格の目安
- 目合い 20〜25mm。小鳥まで防ぐなら 15mm。
- 数量の目安
- 高さ 2m の木 1 本を覆うのに 4m × 4m 程度。
色づく直前にかけます。目合いが大きすぎると小鳥が入り、細かすぎると風で煽られて枝を傷めます。
- 高枝切りばさみは、木が背を越してからで十分です。低く仕立てるならずっと不要です。
- チェーンソーは家庭の果樹には要りません。剪定のこぎりで足ります。
ムベの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はムベの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。