完熟の見分け方
アケビと違い、ムベの実は熟しても割れません。そのため採り時を色と手触りで判断します。十月中旬から十一月にかけて、実の全体が濃い紫に染まり、軽く押すとわずかにへこんで戻る弾力が出たら収穫の目安です。
同じ棚でも、日の当たる南側の実が先に熟し、内側の実は二週間ほど遅れます。全体を一度に判断せず、実ごとに色と弾力を確かめて採り分けます。
| 見た目 | 状態 | 判断 |
|---|---|---|
| 緑に赤みが差す | まだ早い | 採らない |
| 半分以上が紫 | 熟し始め | 採って室内で数日追熟できる |
| 全体が濃い紫で艶がある | 完熟 | 採り頃、押して弾力があればすぐ食べられる |
| 紫が黒ずみ皮にしわ | 熟しすぎ | 早めに食べる、味は落ちる |
色は品種や日当たりで差があります。同じ株で一つ割ってみて、中の果肉が透き通った白色なら残りも採り頃です。
採り方
実は柄でつるにつながっています。引っ張ると枝ごと折れて来年の短枝を失うので、必ずはさみで柄を切ります。一度に全部熟さないので、色づいたものから三〜四回に分けて採ります。
雨の日や朝露で濡れているときに採ると、皮に付いた水分から傷みが始まります。晴れた日の午前中、表面が乾いてから採るのが長持ちさせるこつです。
- 柄を切る
- 実の付け根から一センチほど残して柄をはさみで切ります。短枝を傷めないよう、枝を手で押さえながら切ります。
- 傷を付けない
- 皮は薄く、落とすとすぐ傷みます。手で受けながら切り、かごには重ねずに並べます。かごの底に新聞紙を敷くと転がって当たるのを防げます。
- 高い所の実は棒で受ける
- 棚の上の実は脚立で採るか、先に袋を付けた棒で受けながら柄を切ります。落として割れた実はその日のうちに食べます。
鳥に取られる前に
ヒヨドリやムクドリは紫に色づいた実を狙います。人が完熟と判断する前日に食べられることが多いので、色づき始めたら守りに入ります。棚全体にネットをかけるのが確実ですが、実が少なければ一つずつ袋をかけるほうが手軽です。
ネットは実が色づく前、九月中に張ります。色づいてから張ると、鳥がすでに場所を覚えていて隙間から入ります。ネットの裾は地面まで下ろして石で押さえ、下から潜られないようにします。
| 目的 | 方法 | 向く場面 |
|---|---|---|
| 確実に守る | 棚全体に目合い二センチ以下のネット | 実が二十個以上 |
| 手軽に守る | 果実袋か洗濯ネットを一つずつかける | 実が十個前後 |
| 早採りで逃げる | 半分紫になったら採り室内で追熟 | ネットを張れない場所 |
追熟と食べ方
少し早めに採った実は、室温で三〜七日置くと甘みが増します。新聞紙に包んで暗い場所に置き、押して弾力が出たら食べ頃です。果肉は種を包んだゼリー状で、種ごと口に含んで果肉だけを味わい、種は出します。皮は食べません。
種は一つの実に三十個以上入っています。庭に捨てると春に芽が出ることがあり、実生の苗として育てることもできますが、実が付くまで五年以上かかります。
- 追熟する
- 新聞紙に包み、リンゴと一緒に袋に入れると早く熟します。毎日一度は触って弾力を確かめ、柔らかくなったものから食べます。
- 保存する
- 完熟した実は冷蔵庫で三〜四日が目安です。長く置くと皮がしわみ、果肉が水っぽくなります。
- 果肉を使う
- 果肉を裏ごしして種を除き、ゼリーやシロップにすると保存が利きます。裏ごしは種が多いので目の粗いざるを使います。
採り終えたらやること
十一月に収穫を終えたら、株は来年の花芽を作る準備に入ります。お礼肥として緩効性の肥料をひと握り株元に施し、傷んだ実や落ちた実は病気の元になるので拾って捨てます。袋やネットは外して乾かし、来年も使います。
- お礼肥を施す
- 株元から五十センチ離した場所に緩効性肥料をひと握りまき、軽く土と混ぜます。量が多いと冬につるが伸びて花芽が減ります。
- 落果を片付ける
- 地面に落ちた実は虫や病気の温床になります。ネットを外すときに一緒に拾い、堆肥には入れず捨てます。
実が甘くならないときの原因
採ったのに甘みが薄いときは、早採り、日照不足、摘果不足のどれかが多いです。早採りなら追熟で戻ります。毎年薄いなら、実に日が当たる位置に誘引を変え、翌年は一房一個に摘果して確かめます。
若い株は実の数が少ないうちは甘みも安定しません。植えて五年目までは味の評価を急がず、剪定と誘引で株を充実させることを優先します。年ごとに味を記録しておくと、株の成熟とともに甘みが増していくのが分かります。
| 原因 | 見分け方 | 直し方 |
|---|---|---|
| 早採り | 皮にまだ緑が残る | 室温で一週間追熟する |
| 日照不足 | 葉陰の実だけ薄い | 夏に実の上の葉を減らし日を当てる |
| 摘果不足 | 実が小さく数が多い | 翌年六月に一房一個へ絞る |
| 水の与えすぎ | 果肉が水っぽい | 収穫前二週間は水を控える |
ムベの収穫に使うもの
木の実は、落として拾うと傷みます。高さのあるところから、傷めずに下ろすための道具です。
- 収穫ばさみ(先丸)探す言葉「収穫ばさみ 果樹 先丸」
- 規格の目安
- 刃先が丸く、刃渡り 5cm 前後。
引っぱって穫ると、枝が裂けて翌年の芽まで落ちます。軸を残して切るのが基本です。
- 高枝切りばさみ(採果器付き)探す言葉「高枝切りばさみ 採果」
- 規格の目安
- 伸ばして 2〜3m。切った実を受ける籠の付いたもの。
脚立で無理な姿勢を取るより安全です。籠付きなら、切った実がそのまま落ちません。
- 収穫かご・コンテナ探す言葉「収穫かご 果樹 コンテナ」
- 規格の目安
- 20L 前後。浅めのものは実を重ねずに済みます。
深い容器に積むと、下の実が自分の重さで傷みます。柔らかい果実ほど浅い容器で。
- 保存用の緩衝材探す言葉「果物 緩衝材 ネット」
- 規格の目安
- 果実用のネットキャップか、新聞紙。
一つずつ包むと、傷んだ実から隣へ移りません。長く置く実ほど効きます。
- 手の届く高さに仕立てているなら、高枝切りばさみは要りません。低く保つほうが管理も楽です。
- 専用の収穫かごでなくても、浅い箱に新聞紙を敷けば足ります。
ムベの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はムベの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。