出ている場所で絞り込む
桑はカイコの餌にする木なので薬に頼らない栽培が長く続けられてきました。家庭でも、症状が出ている場所を見て原因を絞れば、ほとんどは手で取り除いて対処できます。まず枝、葉、実のどこに異常があるかを確かめます。
| 症状の場所 | 見た目 | 疑うもの |
|---|---|---|
| 枝や幹 | 白い殻のような粒が並んで付く | クワシロカイガラムシ |
| 葉 | 糸で巻かれて筒状になり中に虫 | クワノメイガ |
| 葉 | 白い粉が広がる | うどんこ病 |
| 実 | 白くふくらんで固くなり落ちない | 菌核病 |
| 実 | 熟す前に赤いまま落ちる | 水切れか肥料過多 |
葉を食べる虫がいても、桑は葉が大きく次々に出るので少しの食害なら放っておいて構いません。実と枝に出るものを優先します。
クワシロカイガラムシ
枝や幹に白い小さな殻のような虫がびっしり付き、樹液を吸います。増えると枝が弱って枯れ、実も小さくなります。殻に覆われているので薬が効きにくく、冬に見つけて物理的に落とすのがいちばん確実です。
- 冬に歯ブラシで落とす
- 葉のない12月から2月に枝を見回り、白い殻を古い歯ブラシでこすり落とします。成虫は殻ごと落ちれば死ぬので、地面のものは集めて処分します。
- 混んだ枝を抜く
- 風通しが悪い株の内側に増えます。冬剪定で内向き枝を抜いて風を通すと、翌年の発生がはっきり減ります。
- 5月と7月の幼虫を狙う
- 殻から出たばかりの幼虫は薬が効きます。5月と7月ごろに枝に黄色い粉のような幼虫が見えたら、果樹用の殺虫剤か牛乳を薄めた液をかけます。
幹が白く粉をふいたように見えたら重症です。枝ごと切り取って処分し、残った幹をこすってから癒合剤を塗ります。
クワノメイガ
7月から9月に葉を糸で巻いて筒状にし、中に潜んで葉を食べる蛾の幼虫です。葉が巻かれているのですぐ分かり、見つけしだい葉ごと取れば広がりません。数が多くなると葉が穴だらけになり、枝の充実が遅れます。
- 巻いた葉を取る
- 筒状に巻かれた葉を見つけたら、開かずにそのまま枝からもぎ取り踏みつぶします。開くと中の虫が逃げて別の葉に移ります。
- 夏の切り戻しで減らす
- 7月の切り戻しで枝先の柔らかい葉を落とすと、産卵場所が減ります。切った枝は放置せず、その日のうちに片付けます。
- 多いときは薬を使う
- 毎週数十枚も巻かれるようなら、野菜用の殺虫剤を葉の裏まで散布します。実の収穫後なので、食用の実への影響はありません。
葉を桑茶やカイコの餌に使うなら殺虫剤はかけられません。その場合は手で取る方法だけで管理します。
実が白くふくらむ菌核病
実が黒く熟さず、白っぽく肥大して固くなり、枝に付いたまま残る病気です。病気の実の中に菌の塊ができて地面に落ち、翌春に胞子を飛ばして花に感染します。一度出ると毎年繰り返すので、落ちた実の片付けが最大の対策です。
- 白い実は見つけしだい取る
- 5月に白くふくらんだ実を見つけたら、落ちる前に枝から取って袋に入れて処分します。地面に落とすと菌が土に残ります。
- 落ちた実を全部拾う
- 収穫期に落ちた実は毎日拾います。株元にシートを敷いておくと拾い残しが減ります。健康な実でも腐ると菌の住みかになります。
- 春に株元を覆う
- 3月に株元へバークチップを5センチ敷き、土に残った菌の胞子が飛ぶのを抑えます。前年に出た株では特に効果があります。
薬で治す病気ではなく、出た実を残さないことで翌年を減らします。2〜3年続ければほとんど出なくなります。
うどんこ病と葉の病気
夏から秋に葉の表面に白い粉が広がるうどんこ病は、風通しの悪い株や鉢植えで出やすい病気です。実の収穫後に出ることが多いので収量への影響は小さいものの、放置すると葉が早く落ちて翌年の枝が充実しません。
| 症状 | 出やすい状況 | 対処 |
|---|---|---|
| 葉の表面に白い粉 | 枝が混んで風が通らない | 混んだ枝を抜き、ひどい葉は取る |
| 葉に茶色い斑点が広がる | 雨が続く時期の株元の泥はね | 株元を覆い、病葉は落ちたら処分 |
| 葉が縮れて黄色くなる | アブラムシが新芽に付く | 新芽を水で洗い流すか指でつぶす |
落ちた病葉を株元に残さないことが最大の予防です。11月の落ち葉は集めて処分し、堆肥に混ぜません。
虫や病気ではないトラブルの見分け方
実が落ちる、枝が枯れるといった症状の多くは病気ではなく、桑の性質や管理の結果です。熟した実が落ちるのは正常で、赤いうちに落ちるなら水切れです。見た目が似ていて慌てやすいものを分けておきます。
| 見た目 | 実際の原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 黒く熟した実がどんどん落ちる | 桑の性質で正常 | 毎日採るか、シートを敷いて拾う |
| 赤い実が小さいまま落ちる | 肥大期の水切れ | たっぷり与え、株元を覆う |
| 冬に枝先が枯れる | 秋の肥料で枝が固まらなかった | 8月以降の肥料を止める |
| 切り口から白い液が出る | 桑の乳液で正常 | 手袋をして作業し、皮膚に付けない |
白い乳液は素手に付くとかぶれる人がいます。剪定や収穫の際は手袋をし、目に入らないよう注意します。
桑の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は桑の育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。