実を採るなら果実用の品種を選ぶ
桑は古くからカイコの餌として葉を採るために植えられてきた木で、園芸店には葉用と実用の両方が並びます。葉用の品種でも実は付きますが、小さくて酸っぱいものが多く、食べるなら果実用に選ばれた品種を選びます。
果実用の品種は一本で実が付く自家結実性があり、受粉樹は要りません。関東平野部の露地なら防寒も不要で、ベランダの鉢植えでも二年目から実が採れます。品種で実の大きさと熟す時期が変わるので、表で見比べて決めます。
| 品種 | 実の大きさと味 | 向く育て方 |
|---|---|---|
| ララベリー | 3〜4センチの長い実で甘みが強い | 鉢植え向き。樹勢が穏やかで扱いやすい |
| ポップベリー | 2〜3センチで甘酸っぱく多収 | 地植え向き。実が次々に熟し収穫期が長い |
| スイートマルベリー | 1〜2センチで酸味が少ない | 鉢植えでもよく実る |
| 在来の山桑 | 1センチ前後で酸味が残る | 庭木として大きく育てる |
「クワ」とだけ書かれた苗は葉用のことがあります。ラベルに果実の写真か品種名があるものを選ぶと失敗しません。
植え付け適期は落葉している間
植え付けは葉が落ちて休眠している11月から3月上旬が適期です。桑は芽吹きが早く、3月下旬には芽がふくらみ始めるので、春に植えるなら3月中旬までに終えます。暖地は12月、寒冷地は凍結が終わる3月に植えます。
- 苗の根を確かめる
- 桑の苗は根が太く少なめです。白い根が数本しっかり出ているものを選び、根が黒くぬめるものや、幹の皮がしわになって乾いたものは避けます。
- 夏に買ったら鉢のまま待つ
- 夏場に葉付きの苗を買ったら、無理に植えず鉢のまま半日陰で秋まで管理します。葉が落ちたころに植えると、翌春の芽出しに合わせて根が動き始めます。
- 植えたら幹を切り詰める
- 植え付け時に主幹を地上40〜60センチで切り戻します。桑は切っても強く芽吹くので、低い位置から枝を出させ、収穫しやすい高さに株を作ります。
植え付け直後に肥料を株元へ直接入れないこと。根が伸びる前に傷んで、春の芽出しが遅れます。
地植えは大きくなる前提で場所を決める
桑は放任すると5メートルを超えて育ち、根も横に広く伸びます。地植えするなら建物の基礎や塀から2メートル以上離し、日当たりのよい場所を選びます。土質は選ばず、水はけさえよければ酸性でも中性でも育ちます。
- 穴は直径50センチ
- 直径50センチ、深さ40センチの穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土を2〜3割混ぜて埋め戻します。石灰は不要で、ペーハーの調整も要りません。
- 浅めに植える
- 根鉢の上面が地面と同じ高さになるように置き、深植えを避けます。桑は根元が湿ると幹の皮がはがれやすく、そこから枯れ込むことがあります。
- 株間は3メートル以上
- 複数本植えるなら3メートル以上あけます。1本で実が付くので受粉用の株は不要です。狭く植えると内側が暗くなり、実は外側だけに付きます。
- 支柱を1本添える
- 植えた年は風で根が揺れて活着が遅れます。幹に添えて1本支柱を立て、ゆるく結んでおきます。翌年の冬には外して構いません。
熟した実は落ちて地面を紫色に染めます。コンクリートの通路やテラスのそばは避け、落ちても困らない場所を選びます。
鉢植えは8号から始める
鉢植えなら大きさを抑えられ、ベランダでも育てられます。最初は8号鉢に植え、2年ごとに一回り大きくして最終的に10号から12号で止めます。用土は市販の果樹用か、赤玉土7に腐葉土3を混ぜたもので十分です。
| 鉢の大きさ | 苗の年数 | 目安の樹高 |
|---|---|---|
| 8号 | 1〜2年生 | 60〜80センチ |
| 10号 | 3〜4年生 | 1〜1.2メートル |
| 12号以上 | 5年生以上 | 1.5メートルまでで剪定して止める |
鉢底石を薄く敷き、赤玉土の細かい粉を目の細かいふるいで落としてから使うと、水はけが長く保てます。
植えた年の管理
植えた年は実を成らせず株づくりに専念します。桑は1年目から花を付けることがありますが、実を付けさせると枝が伸びず、翌年以降の収量が減ります。見つけたら摘み取り、枝を伸ばすことだけを考えます。
- 春の芽は3〜4本残す
- 切り戻した幹から多数の芽が出ます。勢いのよい芽を3〜4本残して、ほかは指でかき取ります。残した枝が将来の主枝になります。
- 夏の水切れに注意
- 根付くまでの最初の夏は、地植えでも雨がなければ週に1〜2回たっぷり与えます。葉がしおれてから与えるのでは根が傷みます。
- 肥料は6月に少量
- 根が動き出した6月に緩効性の化成肥料を一握り、株元から30センチ離してまきます。それ以上は要りません。
1年で1メートル以上伸びるのが桑の普通です。伸びすぎて心配になっても、冬に切ればよいので夏は切りません。
根付かない・伸びないときの原因と直し方
桑は丈夫な木なので、植えた翌春に芽が出ないなら植え方に原因があります。芽がふくらむ3月下旬に枝を見て、芽の様子と株元の状態から手当てを判断します。
| 症状 | 疑う原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 芽が動かず枝が乾く | 根が乾いた状態で植えた | 幹を切り詰め、株元を厚く覆って湿りを保つ |
| 芽は出るが伸びが止まる | 深植えで根元が蒸れた | 根鉢の肩が出るまで土を取り除く |
| 葉が出てすぐしおれる | 植え付け後の水切れ | 半日陰へ移すか遮光し、毎日与える |
| 株元の皮がはがれる | 過湿か凍害 | 水やりを減らし、傷んだ皮を削って癒合剤を塗る |
枝が全部枯れても株元が生きていれば、桑は根元から芽を吹きます。掘り上げる前に、初夏まで待って様子を見ます。
桑の植え付けに使うもの
木は一度植えたら動かせません。植え穴と支柱をきちんと作るかどうかで、その後の何年かが決まります。
数量は苗木 1 本を単位にしています。
- 完熟堆肥・腐葉土探す言葉「完熟堆肥 バーク 40L」
- 規格の目安
- バーク堆肥か腐葉土。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つ(直径 60cm × 深さ 50cm)に 20〜30L を掘り上げた土と混ぜます。
穴を大きく掘って土を入れ替えるのが植え付けの本体です。ここを手抜きすると、根が広がらないまま何年も伸び悩みます。
- 支柱(添え木)探す言葉「園芸支柱 太い 180cm」
- 規格の目安
- 直径 25〜30mm × 長さ 180cm。1 本の添え木か、2 本の二脚(鳥居型)。
根が張るまでの 1〜2 年、風で株元が動くと細い根が切れ続けます。細い支柱では木の重さを支えられません。
- 樹木用の結束テープ探す言葉「樹木 誘引 テープ 幅広」
- 規格の目安
- 幅 20mm 前後の伸びる素材か、麻ひもと当て布。
幹は太ります。細いひもで縛ると食い込み、そこで水の通り道を締めてしまいます。幅の広いもので 8 の字に留めます。
- 緩効性肥料(元肥)探す言葉「緩効性肥料 元肥 樹木」
- 規格の目安
- 粒状で長く効くタイプ。
- 数量の目安
- 植え穴 1 つに 50〜100g。根に直接触れないよう、土を一枚かぶせてから植えます。
植え付け直後は根が傷んでいます。濃い肥料が触れると、そこから傷みが広がります。
- 鉢で育てるなら支柱は短いもので足ります。180cm の添え木は地植え用です。
- 植え穴に石を入れる必要はありません。水はけが悪いなら、盛り土にして高く植えるほうが効きます。
桑の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は桑の育て方にまとめています。
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