秋だけの一年に一度の作物
野沢菜は春にまくととう立ち(花芽が伸びて茎が固くなること)してしまうため、実質は秋まきだけの作物です。八月の土作りから始めて、十二月に漬け込むところまでが一続きの流れになります。
作業そのものは多くありません。まく、間引く、追肥する、穫る、漬ける。それぞれの時期を外さないことが、太い株を作るいちばんの近道です。
| 月 | 主な作業 | 株の状態 |
|---|---|---|
| 8月下旬 | 石灰と堆肥を入れて耕す | まだ種はまかない |
| 9月 | 種まきと一回目の間引き | 本葉2〜4枚 |
| 10月 | 間引きと追肥、土寄せ | 草丈20〜40センチ |
| 11月 | 追肥と霜待ち | 草丈50〜70センチ |
| 12月 | 収穫と漬け込み | 草丈60〜80センチ |
月別のやることカレンダー
関東平野部の露地を前提にした流れです。寒冷地は全体に半月早く、暖地は半月遅らせると同じ姿になります。畑の記録に照らして毎年少しずつ調整してください。
十月までは虫との勝負、十一月からは寒さとの勝負です。前半にネットで守り切れていれば、後半は見回るだけの作物になります。逆に前半で虫を入れてしまうと、後半にできることはほとんどありません。
| 月 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 8月下旬 | 苦土石灰を混ぜて深く耕す | 1平方メートルに100グラム |
| 9月上旬 | 堆肥と元肥、畝立て、すじまき | 溝は深さ1センチ |
| 9月中旬 | 一回目の間引きとネット点検 | 株間3センチ |
| 10月上旬 | 二回目の間引きと追肥 | 株間8センチ |
| 10月下旬 | 最終間引き、追肥、土寄せ | 株間25〜30センチ |
| 11月中旬 | 仕上げの追肥。霜を待つ | 草丈50センチ |
| 12月上旬 | 収穫、洗い、漬け込み | 草丈60〜80センチ |
九月は虫を入れない月
九月はまだ気温が高く、モンシロチョウやコナガが飛んでいます。この時期に卵を産みつけられると、十月に入ってから穴だらけになります。まいた日にネットをかけるのが唯一の確実な手です。
同時に間引きも始まります。ネットをめくる回数が増えるので、開けたらすぐ閉じる癖をつけてください。夕方に開けたまま置くと一晩でやられます。
- まいた日にかける
- 水をやったらすぐにネットをかけ、裾に土をかぶせます。芽が出てからでは中に虫を閉じ込めることになります。
- 間引きは短時間で
- めくる時間を短くするため、間引く場所を決めてから開けます。作業が終わったらその場で裾を留め直します。
- 葉裏を確かめる
- 間引きのたびに葉の裏を見ます。細かい卵や小さな幼虫が見つかったら、その場でつぶしておきます。
ネットは目の細かいものを選びます。目が粗いとコナガが通り抜け、かけている意味がなくなります。
十月は太らせる月
十月は気温が下がって虫が減り、株が一気に大きくなる月です。最終の間引きで株間を広げ、追肥(育ちの途中で足す肥料)と土寄せをして、あとは伸びるにまかせます。ここで肥料を切らすと最後まで細いままです。
株間を広げるのを惜しんで詰めておくと、葉が重なって風が通らず、下の葉から腐ります。二十五センチから三十センチは思い切って空けてください。
| 時期 | 見えること | すること |
|---|---|---|
| 10月上旬 | 本葉4〜5枚で葉が触れ合う | 株間8センチに間引き、追肥 |
| 10月中旬 | 本葉6〜7枚で立ち上がる | 最終間引きで25〜30センチに |
| 10月下旬 | 草丈30センチを超える | 追肥と土寄せで倒れを防ぐ |
十一月から十二月は待つ時間
十一月に入ると伸びは緩やかになり、霜が降りるたびに葉が厚くなります。この時期の作業は見回りだけです。倒れた株を起こし、傷んだ下葉を取るくらいで十分です。
収穫は漬け込む日から逆算します。洗って干す時間が要るので、漬ける二日前に穫るのが段取りとして楽です。寒い日を選ぶと作業中に葉が傷みません。
- 下葉を掃除する
- 黄色くなった下葉は取り除きます。地面についた葉をそのままにすると、そこから腐って株全体に広がります。
- 漬ける日を決める
- 先に漬け込む日を決め、その二日前を収穫日にします。洗って水を切る時間を見込んでおくと当日慌てません。
- 寒い日に穫る
- 気温の低い日の午前中に穫ると葉がしゃきっとしています。暖かい日中に穫るとしおれて洗いにくくなります。
- 倒れた株を起こす
- 風のあとは傾いた株を起こし、株元に土を寄せ直します。倒れたままだと葉が地面につき、そこから腐って漬けられなくなります。
予定が狂ったときの立て直し
まくのが遅れた、寒波が早く来た、漬ける日がずれたといった場面は毎年のように起きます。どこまでなら間に合うかを決めておくと落ち着いて対処できます。
| 場面 | 起きること | 立て直し方 |
|---|---|---|
| まくのが半月遅れた | 草丈40センチで止まる | 小株のまま浅漬けやおひたしにする |
| 寒波が早く来た | 葉が凍って崩れる | 不織布をかけ、晴れた日に穫り切る |
| 漬ける日がずれた | 穫った菜がしおれる | 根を水につけて立てて保管する |
| 虫にやられた | 葉に穴が多く漬けに向かない | 傷んだ葉を外し、残りを刻んで炒め物に |
野沢菜の栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
野沢菜の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方は野沢菜の育て方にまとめています。
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