症状から原因を絞る
エンバクの不調は、葉に出るもの、穂に出るもの、株全体に出るものに分けて考えます。葉に橙色の粉が出るのはさび病、穂の実がなくなるのは鳥、株が冬に浮き上がって枯れるのは霜柱というのが典型です。時期と場所を照らし合わせて原因を絞ります。
| 症状 | 考えられる原因 | 見る時期 |
|---|---|---|
| 葉に橙色や茶色の粉状の斑点 | さび病 | 4月〜6月の雨が続いた後 |
| 葉の裏に小さな虫が群れる | アブラムシ | 4月〜5月 |
| 穂の実が抜かれて殻だけ残る | スズメなどの鳥 | 5月下旬〜7月 |
| 穂が黒い粉の塊になる | 黒穂病 | 5月〜6月 |
| 冬に株が浮いて枯れる | 霜柱による根の持ち上げ | 12月〜2月 |
| 葉が黄色く縮れ株が小さい | ウイルス病(アブラムシが媒介) | 4月〜5月 |
さび病:葉の橙色の粉
さび病は葉に橙色や茶色の小さな盛り上がりができ、指でこすると粉がつく病気です。春の雨が続いて葉が湿ったままになると広がり、ひどいと葉が枯れて実の入りが悪くなります。密植を避けて風を通すことが最も効果のある予防で、出始めに病葉を取れば広がりを抑えられます。
- 下葉から確かめる
- 四月に入ったら週に一度、株元近くの古い葉の裏を見ます。橙色の点が数枚に出た程度なら、その葉を取って畑の外へ出します。
- 風通しを良くする
- 密にまいた条は間引いて三センチ間隔にし、条の間の草を取ります。葉が早く乾けば病気は止まります。
- 広がったら殺菌剤
- 多くの株に広がったら、穀物や野菜に使える殺菌剤を葉の裏まで散布します。穂が出た後の散布は避けます。
病葉を取った手やはさみで健全な株を触ると病気が移ります。作業の後は手を洗い、はさみは拭いてから次に使います。
アブラムシとウイルス病
四月から五月、新しい葉の裏や穂にアブラムシがつきます。吸われるだけなら被害は小さいですが、ウイルス病を運ぶので、葉が黄色く縮れて株が小さいままの株が出たら抜き取ります。少ないうちは水で流し、テントウムシがいれば任せます。
- 葉の裏と穂を見る
- 四月から週に一度、葉の裏と出始めの穂を確かめます。群れが小さいうちは指でつぶすか水で流します。
- 縮れた株は抜く
- 葉が黄色く縮れて周りより明らかに小さい株はウイルス病の疑いがあります。抜いて袋に入れ、畑の外へ出します。
- 広がったら殺虫剤
- 多くの株に広がったら野菜用の殺虫剤を葉の裏に届くよう散布します。収穫前の使用制限日数を確かめます。
鳥害:穂の実を守る
穂が黄色くなり始めるとスズメが群れで来て、穂に止まって実を抜き取ります。光るものや音は数日で慣れられるので、目の細かい防鳥ネットで畝全体を覆うのが確実です。ネットは穂に触れないよう支柱で浮かせ、裾を土で押さえて下から入られないようにします。
- 色づき始めでかける
- 穂の先が黄色くなったころが目安です。気づいたときには食べられているので、五月下旬から穂を毎日見ます。
- 支柱で浮かせる
- 穂より三十センチ高い支柱を畝の両端と中間に立て、その上にネットをかけます。穂に触れている部分は外から突かれます。
- 裾を押さえる
- ネットの裾は土や石で隙間なく押さえます。下から入ったスズメは出られず、中で暴れて穂を傷めます。
ネットの目は二センチ以下を選びます。目が大きいとスズメがくぐり抜けます。
冬の霜柱と黒穂病
秋まきで冬に株が浮き上がるのは、霜柱が根を持ち上げるためです。見つけたら足で軽く踏んで根を土に戻し、麦踏みで予防します。黒穂病は穂の実が黒い粉の塊になる病気で、種から伝わります。見つけたら粉が飛ぶ前に袋をかぶせて穂ごと切り、その年の種は使いません。
| 見た目 | 原因 | 手当て |
|---|---|---|
| 冬に株が根ごと浮いている | 霜柱 | 足で踏んで押し戻し、麦踏みを続ける |
| 穂が黒い粉の塊になる | 黒穂病 | 袋をかぶせて穂ごと切り持ち出す。種は市販品に替える |
| 穂が出ても実が入らない | 出穂後の乾燥・肥料切れ | 穂が出たら水を確保し、翌年は茎立ち前に追肥 |
| 株全体が黄色く伸びない | 水はけ不良 | 畝を高くし、水がたまらないよう溝を切る |
薬剤に頼らない予防
エンバクは丈夫な作物で、株間を守り風通しを良くし、鳥にネットで備えれば薬剤なしで収穫できます。連作を避けて他の穀物と場所を分け、収穫後の茎葉を残さないことで、さび病と黒穂病の翌年の発生を減らせます。緑肥として使う場合は病気が出る前に刈り込むので、対策はほとんど不要です。
- 株間を守る
- 穀物用は三センチ間隔を守り、密にしないようにします。蒸れるとさび病とアブラムシが増えます。
- 他の麦類と離す
- コムギやオオムギもさび病にかかります。同じ畑で作るなら畝を離し、同じ場所で麦類を続けて作らないようにします。
- 残さを持ち出す
- 収穫後の茎葉に病気があれば畑の外へ出します。病気がなければ細かく切って堆肥にできます。
エンバクの収穫までのコツは作物ページに
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