一年の流れを表で見る
秋まきは十月にまいて冬を越し、翌年六月に収穫します。春まきは三月にまいて七月に収穫します。緑肥として使うなら、どちらの作型でも穂が出る前に刈り倒すか鋤き込みます。関東平野部の露地を基準にし、寒冷地は春まきのみで半月ほど遅れます。
| 月 | 秋まきの作業 | 春まきの作業 |
|---|---|---|
| 1月 | 麦踏み二回目 | 畑の準備を始める |
| 2月 | 麦踏み三回目 | 苦土石灰と堆肥を入れて耕す |
| 3月 | 追肥(葉色次第)・土寄せ一回目 | 種まき |
| 4月 | 草取り・土寄せ二回目・支柱 | 間引き・草取り・土寄せ一回目 |
| 5月 | 出穂・水やり・防鳥ネット | 追肥(葉色次第)・土寄せ二回目 |
| 6月 | 収穫・乾燥 | 出穂・水やり・防鳥ネット |
| 7月 | 脱穀・保存 | 収穫・乾燥 |
| 8月 | 畑の片付け | 脱穀・保存 |
| 9月 | 畑の準備 | 畑の片付け |
| 10月 | 種まき | 緑肥として秋まきするならこの月 |
| 11月 | 発芽の確認・鳥よけ | なし |
| 12月 | 麦踏み一回目 | なし |
十月から十二月:秋まきの立ち上がり
十月上旬から十一月上旬にまき、十一月中に本葉三枚まで育てます。冬に入る前に株元がしっかりしていれば霜に耐えます。十二月に草丈十センチになったら一回目の麦踏みをします。まき遅れて十一月中旬を過ぎたら、春まきに切り替える方が確実です。
- 十月中にまき終える
- 十月中旬までにまくと、冬までに根が張って霜で浮き上がりません。遅くなるほど冬枯れの危険が増します。
- 発芽したら鳥を見る
- 秋は鳥が種と芽を食べに来ます。芽が出るまで不織布をかけ、本葉が見えたら外して光を当てます。かけたままだと芽が曲がります。
- 十二月に一回目の麦踏み
- 草丈十センチで条に沿って踏みます。土が乾いた日中に行い、霜柱の立った朝は根が切れるので避けます。
一月から四月:冬越しと春の伸び
一月と二月は麦踏みを続け、株元から茎が三本以上分かれるのを目安にします。三月に茎が立ち上がり始めたら麦踏みをやめ、下葉の色を見て追肥(育ちの途中で足す肥料)をするか決めます。四月は草が伸びる時期なので、草取りと二回目の土寄せをまとめて行います。
- 二月までに麦踏みを終える
- 茎が立ち上がった後に踏むと折れます。三月に入ったら踏まず、株元から茎が三本以上分かれているかを見て仕上がりを確かめます。
- 三月に葉色で追肥を判断
- 下葉が黄色いなら化成肥料をひとつかみ条の間にまき、土寄せと一緒に混ぜます。濃い緑なら省きます。
- 四月に支柱とひもを準備
- 草丈五十センチになったら二回目の土寄せをし、畝の周りに支柱を立ててひもを張ります。穂が出てからでは遅くなります。
五月から七月:出穂から収穫
五月に穂が出ると、そこから三十日から四十日で収穫です。穂が出た後は水を切らさず、穂が色づき始めたら防鳥ネットをかけます。穂の中ほどの実を指でつぶして白い液が出なくなり、穂全体が黄色くなったら刈りごろです。春まきは一か月ほど遅れて同じ流れになります。
- 穂が出たら水を確保
- 十日以上雨がなければ畝の間に水を流します。穂が出てから実が入るまでの乾燥は収量に直結します。
- 色づいたら防鳥ネット
- 穂が黄色くなり始めたら畝全体をネットで覆います。スズメが穂に止まって実を抜き取るので、穂に触れないよう支柱で浮かせます。
- 穂の色と実の固さで刈る
- 穂全体が黄色くなり、実をかんで固いなら刈りごろです。晴れた日の午前に刈り、束ねて軒下につるします。
春まきは秋まきより一か月ほど遅れて同じ流れになります。七月の収穫期は梅雨明け後の晴れを待って刈ります。
緑肥として使う場合の流れ
緑肥なら収穫の作業はなく、穂が出る前に刈り倒すか鋤き込むだけです。刈った茎葉は畝の間に敷いて雑草を抑えるか、細かく切って土に混ぜます。鋤き込んでから次の作物を植えるまでは、分解が進むよう三週間以上空けます。
| 作型 | 鋤き込む時期 | 次に植えるまで |
|---|---|---|
| 秋まき緑肥 | 3月〜4月、穂が出る前 | 三〜四週間空けて五月の夏野菜へ |
| 春まき緑肥 | 5月下旬〜6月 | 三週間空けて六月下旬以降の作物へ |
| 畝間の敷き草 | 草丈三十センチで刈り倒す | そのまま敷いておく |
鋤き込む茎葉が多すぎると分解に時間がかかり、次の作物の根が傷むことがあります。背が高くなったら一度刈って半分は持ち出します。
作業が遅れたときの立て直し
秋まきの種まきが遅れたら、無理に冬にまかず春まきに回します。麦踏みを忘れても収穫はできますが、倒れやすくなるので土寄せと支柱で補います。収穫が遅れて実がこぼれ始めたら、穂だけを切って袋で受けながら集めます。
| 場面 | 影響 | 立て直し |
|---|---|---|
| 種まきが十一月中旬を過ぎた | 冬までに根が張らず枯れる | 三月の春まきに切り替える |
| 麦踏みをしなかった | 茎の分かれが少なく倒れやすい | 土寄せを念入りにし、支柱とひもで囲う |
| 穂が出てから追肥した | 背が伸びて倒れる | 支柱で支え、翌年は追肥を茎立ち前に限る |
| 収穫が遅れて実がこぼれる | 収量が減る | 穂だけを切り、袋の中で受けながら集める |
エンバクの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
エンバクの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はエンバクの育て方にまとめています。
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