あえて間引かないという選択
1か所を1本に間引くと株の勢いが強くなり、茎が太くなって実の肥大も速くなります。速いということは、収穫適期の幅が狭いということです。家庭菜園で毎日見に行けないなら、勢いを落として実の育つ速度をゆるめたほうが失敗しません。
そこで1か所に2本から3本を残したまま育てます。株どうしが根と光を奪い合って生育が抑えられ、実がゆっくり肥大するので、一日見落としても硬くなりにくくなります。曲がり果も減り、収穫の総量は1本仕立てと大きく変わりません。
| 項目 | 1本仕立て | 2本から3本仕立て |
|---|---|---|
| 茎の太さ | 太くなる | 細くしなやか |
| 実の肥大 | 速い | ゆるやか |
| 採り遅れ | 硬くなりやすい | 硬くなりにくい |
| 1株あたりの数 | 多い | 少ない |
密植は本数を増やすほど良いわけではありません。4本以上残すと日照と肥料の取り合いになり、実が細って止まります。
1か所を何本にするか決める
- 標準は2本から3本
- 本葉が2枚から3枚のころに、まっすぐで葉色の濃いものを2本から3本残します。曲がったもの、極端に小さいものを地際でハサミで切ります。
- 抜かずに切る
- 残す株の根が絡んでいるので、引き抜くと隣の根まで持ち上がります。必ず地際で切って、根は土の中に残したままにします。
- 肥沃な畑では3本
- 前作に堆肥を入れたよく肥えた畑では3本にします。勢いが強い土ほど、密植で抑える側に振ったほうが実が軟らかく仕上がります。
- やせた畑では2本
- 砂質でやせた畑や小さめの容器では2本にとどめます。株数を欲張ると根の張る余地がなくなり、8月を待たずに実が細くなります。
株間と畝の取り方
株間は1か所につき30センチが基準です。1本仕立てなら25センチでも足りますが、複数株を残すぶん地下で根が競合するので、間隔を詰めすぎると密植の狙いを外して単なる肥料不足になります。
| 場面 | 株間 | 条の取り方 |
|---|---|---|
| 畑に1条で植える | 30センチ | 畝幅60センチ、高さ15センチ |
| 畑に2条で植える | 30センチ | 条間45センチの千鳥 |
| 長方形の容器で育てる | 25センチから30センチ | 幅65センチに2か所 |
| 丸鉢で育てる | 1鉢1か所 | 直径30センチ以上、10リットル以上 |
オクラは草丈が2メートル近くまで伸びます。北側に高い作物を置くと日陰になるので、畝の並びは南北方向にとります。
苗を植えるときは根鉢を崩さない
オクラは直根性で、主根を切られると新しい根が出るまで生育が止まります。ポット苗を植えるときの作法は、トマトやナスよりずっと厳しく考えます。根鉢を割らない、深植えしない、植えたその日にたっぷり水をやる、の三つが条件です。
- 植え穴を先に湿らせる
- 穴を掘ったら先に水を注ぎ、引いてから苗を置きます。乾いた土に置いてから水をやるより、根鉢の周りが均一に湿って活着が早まります。
- 深さは根鉢と同じ
- 根鉢の上面が畑の面と同じ高さになるように置きます。深植えすると地際の茎が過湿になり、苗立枯病の入り口になります。
- 植え付けの適期
- 本葉2枚から3枚、草丈10センチ前後で植えます。大きい苗ほど根が回っていて、植え傷みで一週間から二週間立ち止まります。
- 植えた後の風対策
- 活着するまでの数日は風で株が揺れると根が切れます。仮支柱を1本立てて麻ひもでゆるく留め、揺れを止めます。
容器で密植する場合
容器栽培でも密植の理屈は同じですが、根の張れる体積が限られるぶん本数の上限が下がります。1株あたり10リットル以上の土量が目安なので、25リットルの長方形容器なら2か所に各2本、合計4本までが現実的な範囲です。
- 深さを優先する
- 直根が伸びるので、幅より深さを見ます。深さ30センチ以上の容器を選び、浅いプランターしかない場合は1か所2本に抑えます。
- 土を減らさない
- 縁から2センチ下まで土を入れます。水やりのたびに土が沈むので、7月に一度、株元に土か堆肥を足して根の露出を防ぎます。
- 水切れの見張り
- 盛夏の容器は朝夕2回の水やりが必要になります。昼にしおれてから夕方戻る程度なら許容ですが、翌朝も戻らなければ根が傷んでいます。
- 肥料切れが早い
- 容器は雨と水やりで肥料が流れるため、畑より短い2週間おきに追肥(育てている途中で足す肥料)します。実が急に小さくなるのが最初のサインです。
密植でうまくいかないとき
密植して実が細く短くなったなら、それは狙いどおりの生育抑制ではなく単なる栄養不足です。抑えるのは勢いであって、肥料と光まで足りない状態にすることではありません。切り分けは葉の大きさで判断します。
- 葉が小さく黄色い
- 肥料切れです。追肥を1回増やし、株元から離した位置に施します。改善は数日から一週間で葉色に現れます。
- 葉は大きいが実が付かない
- 窒素過多で茎葉に養分が回っています。追肥をひと回休み、下葉を数枚かいて光と風を株の内側に入れます。
- 株元が蒸れる
- 本数が多すぎて風が抜けていません。1か所4本以上残っていれば1本を地際で切り、下葉も同時に整理します。
- 片側だけ弱る
- 同じ穴の中で強い株が勝っている状態です。弱ったほうを無理に残さず切り、残りに養分を集めたほうが収量は落ちません。
オクラの間引きに使うもの
間引きで残す株を傷めないことがすべてです。抜くより切るほうが、残す株の根を動かしません。
- 先の細いはさみ探す言葉「園芸 はさみ 細かい作業」
- 規格の目安
- 刃先が細く、刃渡り 3〜5cm のもの。クラフト用のはさみでも足ります。
密に生えたところは、抜くと隣の根まで一緒に動きます。地際で切れば残す株が動きません。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式、長さ 10cm 前後。
間引いた日を書いておくと、次の間引きまでの間隔と、生育の速さを判断できます。
- 手で抜けるうちに間引くなら、はさみは要りません。
- 間引いた芽は食べられる作物が多く、捨てる前に確かめる価値があります。
オクラの収穫までのコツは作物ページに
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