残す枝と切る枝を見分ける
オリーブの花芽は前年に伸びた充実した枝に付きます。全体を刈り込むと花芽を全部落とすことになり、翌年の実がなくなります。まず枝を一本ずつ見て種類を見分け、残す枝を先に決めてから、不要な枝だけを付け根から切ると判断に迷いません。
切る量は全体の二割から三割が目安です。生育が旺盛なので強く切ると徒長(勢いよく上へ伸びて実が付かない状態)した枝ばかりが出て、実の付く落ち着いた枝がなくなります。切り終えたら一歩下がって木の内側に空が見えるか確かめます。
| 枝の姿 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 前年に伸びた鉛筆ほどの太さの枝 | 残す | 花芽が付く枝 |
| 真上に勢いよく伸びた太い枝 | 付け根で切る | 実が付かず日陰を作る |
| 幹の内側に向かう枝、交差する枝 | 付け根で切る | 風通しが悪くなる |
| 株元から出るひこばえ | 切る | 養分を奪い樹形を乱す |
| 垂れ下がった細い枝 | 切る | 実が付いても小さい |
枝を切る前に、木を一周してどの枝を残すか決めます。切りながら考えると、気づいたときには花芽の枝がなくなっています。
冬剪定は2月から3月
本格的な剪定は寒さが緩む2月中旬から3月に行います。常緑樹ですが真冬に切ると切り口から寒風が入り、枝先が枯れ込みます。花芽が膨らみ始める4月に入ってからでは、残す枝の見極めが遅れます。
- 枯れ枝と混み枝を抜く
- 枯れた枝、内側に向かう枝、交差する枝を付け根から切ります。木の内部に日が入り、下の枝まで葉が茂るようになります。
- 徒長枝を根元で切る
- 真上に伸びた太い枝は実が付きません。付け根から切り、その周りの落ち着いた枝を残します。途中で切ると同じ枝がまた出ます。
- 高さを決めて止める
- 手が届く2メートル前後で主幹の先を切り、上への伸びを止めます。脚立なしで収穫できる高さに保つと管理が続きます。
- 太い切り口は保護
- 直径2センチを超える切り口には癒合剤を塗ります。塗り忘れると乾燥して枯れ込み、そこから病気が入ります。
切り口は枝の付け根のふくらみを残して切ります。ふくらみごと削ると傷がふさがらず、幹まで枯れ込むことがあります。
樹形は開心形か主幹形
庭植えでは主枝を三本ほど斜めに広げる開心形にすると、内側まで日が入って実が付きやすくなります。鉢植えやシンボルツリーとして高く見せたいなら、主幹を一本立てて枝を左右に振る主幹形にします。どちらも最初の三年で骨格を作ります。
- 一年目は主枝を選ぶ
- 植え付け時に高さ60センチ前後で切り戻し、そこから出た枝のうち方向の異なる三本を主枝にします。ほかは付け根から切ります。
- 二年目は主枝を伸ばす
- 主枝の先端は切らずに伸ばし、主枝から出た枝のうち外向きのものを残します。内向きの枝はかき取ります。
- 三年目から実の枝を残す
- 主枝から出た側枝の先に付く前年枝を残し、それ以外を間引きます。ここからは毎年同じ量を切る維持剪定に移ります。
鉢植えでは高さ1.5メートル以内に抑えます。大きくなりすぎると鉢の水では足りず、真夏に葉が落ちます。
夏の軽い整理
夏は本格的に切りませんが、ひこばえと徒長枝だけは6月から7月に取り除きます。柔らかいうちなら手でかき取れ、木への負担もありません。実が付いた枝には触らず、日陰を作る枝だけを整理します。
- ひこばえは根元から
- 株元から出る芽は見つけ次第、土を少し掘って付け根から取ります。地上で切ると同じ場所から何本も出てきます。
- 徒長枝は柔らかいうちに
- 6月に真上へ伸びる勢いのよい枝は、30センチになる前に手で折り取ります。木質化してからでは切り口が大きくなります。
- 実の枝は触らない
- 小さな実の付いた枝は、混み合っていても夏には切りません。実が落ちるだけでなく、翌年の花芽の枝まで失います。
夏に葉を多く落とすと幹に直射日光が当たり、樹皮が日焼けして割れます。木の骨格が見えるほどは切りません。
隔年結果を防ぐ切り方
オリーブは実が多く付いた翌年に実が減る隔年結果(一年おきに実の量が大きく変わること)が起きやすい木です。原因は、実に養分を取られて翌年の花芽の枝が伸びないことです。実の多い年ほど枝を更新する剪定を続けると、毎年の量が安定します。
| 前年の実の量 | 冬の切り方 | 狙い |
|---|---|---|
| 多かった | 実の付いた枝を三分の一ほど切り戻す | 新しい枝を出して翌々年に備える |
| 少なかった | 間引き中心で前年枝を残す | 今ある花芽を生かして採る |
| ほとんど付かなかった | 混み枝と徒長枝の整理だけ | 枝を落ち着かせて花芽を待つ |
実を採る年と枝を育てる年を交互に考えると分かりやすいです。毎年同じ量を狙わず、二年で一回り分を採る感覚で切ります。
切りすぎたときの立て直し
剪定の失敗は、ほぼ切りすぎか、前年枝を全部落としたかのどちらかです。オリーブは萌芽力が強いので枯れることはまずありませんが、実が二年戻らないことがあります。姿を見て、翌冬の切り方を変えます。
| 翌春の姿 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 徒長枝が乱立して花が咲かない | 全体を強く刈り込んだ | 夏に徒長枝を三本残して間引き、翌冬は切らない |
| 花は咲くが実がほとんど付かない | 受粉樹の枝を切りすぎた | 両方の木で前年枝を残す剪定に変える |
| 切り口から枝が枯れ込む | 真冬に切った、癒合剤を塗らなかった | 枯れた部分を緑の位置まで切り直す |
| 下枝が枯れて上ばかり茂る | 何年も切らず内部が日陰になった | 上部の混み枝を抜き、二年かけて内側に日を入れる |
強く切った年は、実より枝を育てる年と割り切ります。翌年の枝が落ち着けば花芽は戻ります。
オリーブの剪定に使うもの
剪定でいちばん多い失敗は、切れない道具で無理に切ることです。切り口が潰れると、そこから枯れ込みます。
- 剪定ばさみ探す言葉「剪定ばさみ バイパス 果樹」
- 規格の目安
- 刃渡り 5〜6cm、直径 2cm まで。バイパス式。手の大きさに合ったものを。
生きた枝を切るならバイパス式です。アンビル式は枝を潰すので、切り口がふさがるまでに時間がかかります。
- 剪定のこぎり探す言葉「剪定のこぎり 折込 24cm 生木」
- 規格の目安
- 刃渡り 24cm 前後、生木用の粗い刃。折込式は持ち運べます。
直径 2cm を超えたらのこぎりに切り替えます。太い枝は下側に受け口を入れてから切ると、樹皮が裂けません。
- 癒合剤探す言葉「癒合剤 トップジン 剪定」
- 規格の目安
- ペースト状で刷毛の付いたもの。
直径 3cm を超える切り口に塗ります。乾燥と雨から切り口を守るためで、小さい切り口には要りません。
- 消毒用アルコール探す言葉「消毒用アルコール スプレー」
- 規格の目安
- 濃度 70〜80%。スプレー式。
木を変えるたびに刃を拭きます。切り口から入る病気は、道具が運ぶことが少なくありません。
- 直径 3cm 以下の切り口には癒合剤は要りません。塗りすぎると内側が乾かないこともあります。
- 電動の剪定ばさみは、木が何本もあるようになってからで十分です。
オリーブの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はオリーブの育て方にまとめています。
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